報道発表資料本文

中間報告書の主要なポイント


○黄砂問題の背景と現状

 近年、日本、中国及び韓国において、黄砂観測日数は増加
 我が国では、現時点では中国及び韓国ほどの激甚な被害及び影響は報告されていないが、浮遊粒子状物質による大気汚染、視程障害、洗濯物や車両の汚れに加え、農業関係でも被害が懸念されている。また、酸性雨を中和する可能性がある一方で、大気汚染物質を吸着、移送しているとの指摘もある

○黄砂現象の科学的解明

 黄砂現象の科学的解明のためには、まず、黄砂発生地域及び黄砂移送ルートにおけるモニタリングデータ等の科学的データの蓄積が必要。特に、近年、黄砂が人の健康に与える影響についての懸念が広まる中、黄砂の物理的性状(粒径分布等)や化学的性状(鉱物組成、付着した農薬等大気汚染物質等)のモニタリングを行い、データを収集する必要がある

○対策と評価

 黄砂対策には、発生源地域及び影響地域における対症療法的な対策、予報・警報等の短期的な対策と発生源地域の植生保全や土地利用の変更等の長期的対策があり、短期的・中期的に実施すべき対策について、地域の優先度を踏まえて判断し、計画的に進める必要がある。

○国際連携による黄砂問題への取組

 アジア開発銀行(ADB)と地球環境ファシリティ(GEF)の支援により実施されている、日本、韓国、中国及びモンゴルの4か国並びに国連環境計画(UNEP)などの国際機関による国際共同プロジェクト(注1)に基づき、モニタリング及び発生源対策を実施する必要がある。
 特に、最新の観測機器(ライダー)(注2)を用いたモニタリングネットワークについては、機器の設置に加え、観測データの共有も行うソフト面でのネットワークが重要。このため、ライダーによって得られるリアルタイムデータを正確に収集・処理し、予報や一般市民への周知等への利用を図るために、データの検証を国際的に行い、より精度の高いデータを共有することが必要である。


(注1)ADB-GEF黄砂対策プロジェクト:別紙1参照

(注2)ライダー:レーザー光線を上空に発射し、返ってくる光を測定・解析することにより、上空に浮遊する黄砂等粒子状物質の鉛直分布やダストの識別をリアルタイムで観測する装置




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