第1.改正の概要 |
(1) | 指定有害廃棄物及びその処理に関する基準(法第16条の3関係) | ||||
ア | 指定有害廃棄物として指定する廃棄物 硫酸ピッチ(廃硫酸と廃炭化水素油との混合物で著しい腐食性を有する(pH2.0以下)もの) |
||||
イ | 基準内容 指定有害廃棄物の処理基準は、現行の特別管理産業廃棄物の処理基準を基本とし、基準違反が人の健康や生活環境の重大な被害を生ずるおそれがあり、直ちに直罰の対象とする必要がある事項を選定した。 |
||||
(運搬されるまでの間の保管基準) | |||||
○ | 排出者は、生じた指定有害廃棄物が運搬されるまでの間の保管は、次によること。 | ||||
- | 密閉性、耐腐食性等の構造を有する容器による保管 | ||||
- | 保管場所においては、次のものを設置すること | ||||
・ | 周囲の囲い | ||||
・ | 指定有害廃棄物の保管場所である旨等を表示した掲示板 | ||||
・ | 他の物との混合防止のための仕切り等 | ||||
・ | 指定有害廃棄物の飛散、流出、地下浸透及び亜硫酸ガスの発散を防止するための排水溝や貯留槽、亜硫酸ガスの発散防止設備等 | ||||
- | 保管量は20キロリットル(ドラム缶換算約100本)を超えないようにすること |
||||
(収集又は運搬の基準) | |||||
○ | 指定有害廃棄物の収集又は運搬は、次によること。 | ||||
- | 密閉性、耐腐食性等の構造を有する運搬容器による収集又は運搬 | ||||
- | 他のものと区分して収集し、又は運搬すること | ||||
- | 運搬車は、運搬容器を固定できる等、指定有害廃棄物の飛散や流出、亜硫酸ガスが漏れるおそれのない構造を有するものであること | ||||
- | 運搬用パイプラインの使用を禁止 | ||||
- | 指定有害廃棄物の積替え場所においては、次のものを設置すること | ||||
・ | 周囲の囲い | ||||
・ | 指定有害廃棄物の積替え場所である旨等を表示した掲示板 | ||||
・ | 他の物との混合防止のための仕切り等 | ||||
- | 保管は、積替え(運搬先が予め決まっている等の場合に限る)を行う場合以外は禁止 | ||||
- | 保管場所においては、次のものを設置すること | ||||
・ | 周囲の囲い | ||||
・ | 指定有害廃棄物の保管場所である旨等を表示した掲示板 | ||||
・ | 他の物との混合防止のための仕切り等 | ||||
・ | 指定有害廃棄物の飛散、流出、地下浸透及び亜硫酸ガスの発散を防止するための排水溝や貯留槽、亜硫酸ガスの発散防止設備等 | ||||
- | 保管量は平均搬出量の7倍(20キロリットル(ドラム缶換算約100本)を上限とする)を超えないようにすること |
||||
(処分の基準) | |||||
○ | 指定有害廃棄物の処分は、次によること。 | ||||
- | 焼却又は中和の方法による処分 | ||||
- | 密閉性、耐腐食性等の構造を有する容器による保管 | ||||
- | 保管場所においては、次のものを設置すること | ||||
・ | 周囲の囲い | ||||
・ | 指定有害廃棄物の保管場所である旨等を表示した掲示板 | ||||
・ | 他の物との混合防止のための仕切り等 | ||||
・ | 指定有害廃棄物の飛散、流出、地下浸透及び亜硫酸ガスの発散を防止するための排水溝や貯留槽、亜硫酸ガスの発散防止設備等 | ||||
- | 保管量は平均処理能力の14倍(20キロリットル(ドラム缶換算約100本)を上限とする)を超えないようにすること | ||||
- | 14日間を超えて保管を行ってはならないこと | ||||
- | 埋立処分の禁止 | ||||
- | 海洋投入処分の禁止 |
||||
(2) | 事故時の措置を講じなければならない廃棄物の処理施設(法第21条の2関係) | ||||
○ | 事故時の措置を講じなければならない廃棄物の処理施設は、事故時における生活環境保全上の支障を生じる可能性を考慮して以下のとおりとする。 | ||||
- | 廃棄物処理法第8条第1項又は第15条第1項に基づく設置許可対象施設 | ||||
- | 一般廃棄物の処理施設又は産業廃棄物の処理施設であって、以下の設備を有するもの | ||||
・ | 焼却設備 | ||||
・ | 油化設備 | ||||
・ | 炭化設備 | ||||
・ | 乾燥設備 | ||||
・ | 廃油の蒸留設備 | ||||
・ | 廃プラスチック類の溶融加工設備 | ||||
・ | 廃プラスチック類の固形燃料化設備 | ||||
・ | メタン回収設備 | ||||
・ | 特別管理産業廃棄物に該当する廃酸又は廃アルカリの中和設備 | ||||
ただし、処理能力1トン/日以上のもの(焼却については焼却能力50kg/時又は火床面積0.5m2以上のもの)に限るものとする。 |
|||||
(3) | 廃棄物処理施設の設置許可の申請に係る生活環境影響調査書の添付の特例対象(法第8条第3項ただし書き及び第15条第3項ただし書き関係) | ||||
○ | 廃棄物処理施設の設置許可の申請に当たり、当該申請に係る法第8条第2項又は第15条第2項の各号に掲げる申請書に記載すべき事項のうち、第2号(設置場所)、第3号(施設の種類)、第4号(処理する廃棄物の種類)、第5号(処理能力)、第6号(設置に関する計画)及び第7号(維持管理に関する計画)に掲げる事項が、過去になされた許可に係るこれらの事項と同一である場合には、生活環境影響調査書の添付を不要とすることとする。 | ||||
○ |
法第8条第2項第5号又は第15条第2項第5号(処理能力)については、廃棄物の最終処分場に関しては、埋立処分の用に供される場所の面積及び埋立容量であるが、これらについては、稼働するに従って減っていくものの、その変動により当該最終処分場が周辺地域の生活環境に及ぼす影響が異なるということはない。 このため、申請に係る廃棄物処理施設が廃棄物の最終処分場である場合には、当該申請に係る法第8条第2項又は第15条第2項の各号に掲げる申請書に記載すべき事項のうち、第2号から第4号まで、第6号及び第7号に掲げる事項が、過去になされた許可に係るこれらの事項と同一であれば、生活環境影響調査書の添付を不要とすることとする。 |
【不法投棄の撲滅と適正処理対策の更なる推進を目的とする改正】 |
|||||||||||
(1) | 産業廃棄物収集運搬車に係る表示及び書面備え付けの義務付け 悪質な産業廃棄物の不法投棄が多発する中、その運搬車に対する取締りを強化することが喫緊の課題となっているところ、自社の産業廃棄物の運搬も含め走行中の運搬車が産業廃棄物の適正な運搬を行っているかどうかを判断することが困難であることから、以下の事項を産業廃棄物の運搬車に義務付けることとする。 |
||||||||||
ア | 表示の義務付け | ||||||||||
○ | 運搬車を用いて産業廃棄物の収集又は運搬を行う場合には、以下の事項を車体の両側面に見やすいように表示しておくこととする。 | ||||||||||
- | 許可業者の場合 | ||||||||||
・ | 「産業廃棄物運搬車」の文字 | ||||||||||
・ | 許可業者の氏名又は名称 | ||||||||||
・ | 統一許可番号(下6ケタ) | ||||||||||
- | 自社運搬の場合 | ||||||||||
・ | 「産業廃棄物運搬車」の文字 | ||||||||||
・ | 事業者の氏名又は名称 | ||||||||||
・ | 「自社運搬」の文字 | ||||||||||
○ | 文字及び数字の大きさ及び太さについて、一定以上のものとする。 |
||||||||||
イ | 書面備え付けの義務付け | ||||||||||
○ | 運搬車を用いて産業廃棄物の収集又は運搬を行う場合には、当該運搬車に以下の書面を備え付けておくこととする。 | ||||||||||
- | 許可業者の場合 | ||||||||||
・ | 産業廃棄物収集運搬業の許可証の写し | ||||||||||
・ | 「運搬する産業廃棄物の種類及び量」、「業者に産業廃棄物を委託した者の氏名又は名称及び住所」、「産業廃棄物の積載日並びに積載された事業場の名称及び所在地」、「運搬先の事業者の氏名又は名称及び住所」及び「運搬先の事業場の名称及び所在地」を記載した書面(マニフェストの写しで可。なお、電子マニフェストを使用する場合は、これらの事項に係る電子情報でも可とする。) | ||||||||||
- | 自社運搬の場合 | ||||||||||
・ |
「氏名又は名称及び住所」、「運搬する産業廃棄物の種類及び量」、「産業廃棄物の積載日並びに積載された事業場の名称及び所在地」、「運搬先の事業者の氏名又は名称及び住所」及び「運搬先の事業場の名称及び所在地」を記載した書面 なお、船舶については、既に表示及び書面の備え付けが義務付けられているところであるが、運搬車に義務付けるものと同様の事項について表示し、書面を備え付けさせるための改正を併せて行うこととする。 |
||||||||||
(2) | 最終処分場の残余容量の定期的な把握及び記録・閲覧の義務付け 廃棄物最終処分場の埋立記録のみでは最終処分場の実際の埋立残余容量を的確に把握できないことから、適正な廃棄物処理が行われることを確認できるようにするため、以下の事項について新たに義務付けることとする。 |
||||||||||
ア | 残余容量の定期的な把握及び記録の作成・保存 | ||||||||||
○ |
最終処分場の維持管理基準において、最終処分場の残余容量の定期的な把握(年1回)及びその記録の作成・保存を義務付けることとする。 |
||||||||||
イ | 記録及び閲覧 | ||||||||||
○ | 廃棄物処理法第8条の4(法第15条の2の3において準用する場合を含む。)による最終処分場の維持管理に関し記録し、最終処分場に備え置き、利害関係を有する者の求めに応じ閲覧させなければならない事項として、以下のものを追加する。 | ||||||||||
- | 最終処分場の残余容量(覆土を含む) | ||||||||||
- | 当該残余容量を算出した年月日 |
||||||||||
(3) | ミニ処分場等に係る廃棄物の埋立処分基準の具体化・明確化 | ||||||||||
○ |
最終処分場の規模要件が撤廃された平成9年の廃棄物処理法施行令の一部改正令の施行前に設置された規模要件未満の最終処分場(いわゆるミニ処分場)及び最終処分場の設置に係る届出制が導入された昭和52年の廃棄物処理法の一部改正法の施行前に設置された最終処分場については、廃棄物処理法に定められた廃棄物処理基準でも、講ずるべき具体的な措置の内容が明確に定められていないため、必ずしも生活環境の保全に配慮した管理がなされてきたとは言い難い状況にある。 そこで、廃棄物の埋立処分に当たり、埋立地からの浸出液によって公共の水域及び地下水を汚染するおそれがないようにするために講ずる措置を、以下のとおり具体化する。 |
||||||||||
(措置の内容) | |||||||||||
- | 保有水等の埋立地からの浸出を防止することができる遮水工を設ける(遮水工と同等以上の効力を有する不透水性の地層等がある部分については、この限りでない)とともに、遮水工を定期的に点検し、その遮水効果が低下するおそれがあると認められる場合には、速やかにこれを回復するために必要な措置を講ずること。 | ||||||||||
- | 保有水等を有効に集めることができる堅固で耐久力を有する管渠等の集排水設備等を設けること。ただし、雨水が入らないように必要な措置を講じた埋立地において、腐敗せず、かつ、保有水が生じない廃棄物のみを埋め立てる場合は、この限りでない。 | ||||||||||
- | 放流水については、浸出液処理設備を設け、それを適正に維持管理することにより、その水質を一定の基準(許可を受けた最終処分場に適用される放流水基準と同等のもの)に適合させた後放流すること(保有水等の貯留槽が設けられ、それが埋立地以外の場所で適正に処理される場合は、この限りでない)。また、浸出液処理設備の機能の状態を定期的に点検し、異常を認めた場合には、速やかに必要な措置を講ずること。 | ||||||||||
- | 埋立地の周囲に、地表水が埋立地へ流入するのを防止することができる開渠等の設備を設け、当該設備の機能を維持するために必要な措置を講じること。 | ||||||||||
- |
許可を受けた最終処分場と同様に、放流水及び周縁の地下水について水質検査を行い、当該水質検査の結果、水質の悪化が認められる場合には、その原因の調査等必要な措置を講じること。 |
||||||||||
ただし、 | |||||||||||
- | 公共の水域及び地下水の汚染を防止するために必要な措置を講じた廃棄物のみの埋立処分 | ||||||||||
- | 安定型産業廃棄物のみの埋立処分(浸出液の水質が一定の基準(許可を受けた安定型最終処分場に適用される浸透水基準と同等のもの)に適合していることが確認された最終処分場において行うものに限る) | ||||||||||
- | 公共の水域及び地下水と遮断されている埋立地(いわゆる封じ込めされた埋立地)において行う廃棄物の埋立処分 | ||||||||||
については、上記の措置を講じなくてもよいこととする。 なお、基準の適用に当たっては、必要に応じて猶予期間を設けることとする。 |
|||||||||||
【廃棄物処理施設に係る規制の合理化等を目的とする改正】 |
|||||||||||
(4) | 油化施設・炭化施設の処理基準の明確化 | ||||||||||
○ |
廃棄物の焼却を伴わず廃棄物を熱分解する処理(炭化水素等を含むガスが発生しない場合を除く。)について、必要とされる生活環境保全上の措置を明確化するため再生利用を目的として一定割合(投入廃棄物量の4割)以上の炭化水素油を回収する等の場合(油化)及び油化以外の場合(炭化を含む)の処理の基準を以下のとおり定める。 |
||||||||||
(設備の基準) | |||||||||||
- | 熱分解設備内を低酸素状態に保つことができること | ||||||||||
- | 熱分解設備内の温度を測定及び制御できること | ||||||||||
- | 熱分解設備内の圧力を測定できること(高圧にする場合は圧力制御できること) | ||||||||||
- | 熱分解後に発生する残渣物が外気と接触する前に冷却できること | ||||||||||
- | 廃棄物の処理量、炭化水素油の生成量及び熱分解後の残渣物量を測定できること(油化の場合) |
||||||||||
(処理方法の基準) | |||||||||||
- | 熱分解ガスが未処理で排気口から排出されないこと | ||||||||||
- |
炭化水素油として回収されないガス(オフガス)を排ガス処理として燃焼する場合は、排気口から火炎又は黒煙が排出されないこと(油化の場合) |
||||||||||
(5) | 既存の製造設備を活用した廃棄物の焼却施設の構造・維持管理基準の合理化 | ||||||||||
○ | 廃棄物の処理能力が1時間当たり200kg以上(廃プラスチック類にあっては1日当たり100kg超)の製鋼用の電気炉並びに非鉄金属製錬用の転炉、溶解炉及び焙焼炉において廃棄物を焼却する場合について、廃棄物処理法の許可が必要な焼却施設として位置づけた上で、これらの製造設備の構造や稼働実態等から、現行の焼却施設に係る構造・維持管理基準の中で実態に合っていない項目について以下のような基準を定める。 | ||||||||||
- | 燃焼室については、溶鋼等の製品を得るために必要な温度を適正に保持すること | ||||||||||
- | 燃焼室については、外気と遮断されていること又は燃焼ガスが外気へ流出しないこと | ||||||||||
- | 炉内温度を把握するため、炉出口の溶鋼等溶体温度を測定・記録すること | ||||||||||
- |
集じん器に流入する燃焼ガス濃度をおおむね200℃以下に冷却すること(ただし、非鉄金属製錬用の転炉、溶解炉及び焙焼炉にあって3月に1回のダイオキシン類の測定を行う場合は、この限りでない) |
||||||||||
(6) | 小型廃棄物焼却炉に係る処理基準の見直し | ||||||||||
○ |
ダイオキシン類濃度基準の遵守とダイオキシン類排出量の削減を図るため、平成13年に廃棄物処理法に基づく設置許可を要しない小型廃棄物焼却炉の設備基準(処理基準)が強化された。 各種規制強化等により、廃棄物焼却施設から排出された排ガス中のダイオキシン類排出量については、急減に削減が進み、平成12年に策定されたダイオキシン類削減計画の目標を達成したところであるが、小型廃棄物焼却炉の中には、ダイオキシン類濃度基準を十分満足してはいるものの、現行の設備基準に適合していないため廃止や休止状態にあるものが相当数ある。 こうしたことから、廃棄物処理法に基づく設置許可を要しない小型廃棄物焼却炉(注1)について、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく濃度基準の遵守に支障を生じない範囲で、以下のとおり現行の設備基準(処理基準)の見直しを行う。 なお、燃焼ガスの温度が800℃以上の状態で廃棄物を焼却できる設備基準については、変更はない。 |
||||||||||
(注1) 廃棄物の焼却能力が200kg/h未満(廃プラスチック類の焼却施設にあっては、100kg/日以下)。 |
|||||||||||
- | 燃焼中に廃棄物を燃焼室に投入する場合については、外気と遮断された状態で投入できる構造であることを規定し、廃棄物を1回の投入で燃やし切るバッチ炉も使用可能であることを明確化する。 | ||||||||||
- | 安定した燃焼状態が維持できる場合は、温度計が必ずしも常時設置されていなくとも、燃焼ガス温度が定期的に測定可能な構造であれば使用可能とする。 | ||||||||||
- |
助燃バーナーに限らず、着火用バーナーが燃焼ガス温度を保つ役割を有している場合など、燃焼ガス温度を適正に維持できる構造であれば使用可能とする。 |
||||||||||
(7) | 管理型最終処分場に係るほう素、ふっ素、アンモニア及び硝酸・亜硝酸化合物等の排水基準の見直し | ||||||||||
○ |
管理型最終処分場に係る「ほう素及びその化合物」、「ふっ素及びその化合物」並びに「アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物」の排水基準については、経過措置として、平成17年3月末まで暫定排水基準が適用されている。 現在のところ、排水基準を超過する排水を行っている管理型最終処分場において、これらの物質を除去する安価で利用可能な排水処理技術がなく、排水濃度の一層の低減は困難な状況であること、また、最終処分場排水の放流先の河川において、これらの物質が環境基準を超過したという報告もなかったことから、平成17年4月1日以降についても、当分の間は、現行の暫定排水基準値を適用する。 |
||||||||||
(参考)暫定排水基準値
|