報道発表資料本文

公害防止管理者制度の見直しに関する考え方


1.公害防止主任管理者の選任の見直し

 現行制度では、ばい煙発生施設及び汚水等排出施設の両方が設置されている特定工場のうち、1時間当たりの排出ガス量が4万m以上、かつ、1日当たりの排出水量が1万m以上ある工場については、公害防止統括者及び大気関係・水質関係施設ごとの公害防止管理者を選任するほかに、公害防止統括者を補佐し、両公害防止管理者を指揮する公害防止主任管理者を選任することとされている。
 当該制度を見直し、大気関係公害防止管理者と水質関係公害防止管理者の両者間の調整を要しない場合や両者を同一人が兼任している場合など当該工場からの排出ガス及び排出水が確実に処理できる場合には、公害防止主任 管理者の選任を免除することとする。


2.公害防止管理者の兼任要件の追加

 公害防止管理者は特定工場の従業員に対し必要な措置を指示し得る状況を確実にするため、原則として2以上の工場について同一の公害防止管理者を選任してはならないこととされている。
 また、工場とは、社会通念上、一個の単位として生産活動が行われている場所をいい、原則として同一敷地内にあり、かつ、組織上、生産工程上密接な関連があるものとされている。そのため、これらの要件に該当しない工場については、複数の単位として扱われ、複数の公害防止管理者の選任が必要とされている。
 しかし、例外として「中小企業団体の組織に関する法律(昭和32年法律第185号)に規定する事業協同組合等でその地区が都道府県の区域を越えないものがその事業として公害防止管理者の資格を有する者に公害の防止に関する指導を行なわせている場合」に限り、一定の要件の下で兼任が認められている。
 当該制度を見直し、現行制度に加え、
[1]複数の中小企業に係る工場が共同で公害防止業務を行う場合
[2]同一企業であるが同一敷地内にない複数の工場が共同で公害防止業務を行う場合
[3]異なる企業であるが同一敷地内にある複数の工場が共同で公害防止業務を行う場合
 のそれぞれについて、当該複数工場の公害防止業務に係る指揮命令に関する事項が明確化されており、かつ、実態上も公害防止業務を行ない得る場合については、当該複数工場は同一の公害防止管理者の兼任を認めることとする。


3.資格の区分の見直し

 公害防止管理者等の資格区分のうち、騒音関係公害防止管理者及び振動関係公害防止管理者については、[1]それぞれの選任義務が課されている特定工場には、どちらもプレス機械や鍛造機械を設置しているため、公害発生源やその対策技術に共通性が大きいこと、[2]騒音関係公害防止管理者及び振動関係公害防止管理者の両方の選任義務が課されている特定工場のうち、約5割以上の工場で同一人が両方の資格を取得して選任されていること等からこれら2つの資格を統合し、新たに騒音・振動関係公害防止管理者の資格を設けることとする。


4.国家試験の科目別合格制の導入

 公害防止管理者等国家試験では、いずれの資格も複数の試験科目を設けており、当該試験に合格するためには、すべての科目において合格点に達する必要がある(大気1種の場合は、公害概論、大気汚染関係法令、燃焼・ばい煙防止技術、大気中におけるばい煙の拡散、大気汚染関係有害物質処理技術、除じん・集じん技術、測定技術の7科目)。
 受験者の負担の軽減を図るとともに、国家資格を取得しやすいものとするため、3年以内であれば、1つの資格を科目ごとの合格の積み重ねで複数年かけて取得することができることとする。また、各資格ごとに共通の試験科目を設けることにより、他の区分の資格を取得しやすいものとする。


5.国家試験業務の指定試験機関への移管

 現行、経済産業大臣及び環境大臣が行っている合格証書の交付・再交付の事務について、指定試験機関が行うこととする。


6.資格認定講習機関の登録制の導入

 公益法人が、国から委託を受けて行っている検査等の事務については、「公益法人に対する行政の関与のあり方の改革実施計画」(平成14年3月29日閣議決定)において、現行の指定機関による実施から登録機関による実施へと移行することとされた。
 これを踏まえ、公害防止管理者等資格認定講習の実施機関について、現行の指定制度を廃止し、登録制度に移行することとする。
 今回の改正では、登録手続に関する規定のほか、登録基準として、[1]必要な講習科目及びその講習時間等を満たすものであること、[2]一定の知識を有する者が内容を教授するものであること、等を規定する。


7.資格認定講習の受講に必要な技術資格の追加及び学歴による制限の撤廃

 現行の資格認定講習では、それぞれの資格に関連する技術知識を有している者に対し、短期間に集中的に講習を実施することにより必要な知識を習得させ、国家試験の合格にかえて、効率的に資格を付与することとしている。
 そのため、当該受講資格として、[1]特定の資格を有すること、又は[2]一定の学歴及び実務経験を有することを要件としている。
 今回、資格認定講習の門戸を広く構え、教育的に運営しつつ、かつ、必要な質を保つという観点から以下の改正を行う。

[1]技術資格の追加・・・特定の資格要件について、これまでの技術士(化学部門)、毒劇物取扱主任者、熱管理士、ボイラー・タービン主任技術者等に加え、技術士(環境部門)、環境計量士、第一種作業環境測定士等を追加することとする。

[2]学歴による受講資格の制限の撤廃・・・現行で規定している高等学校卒業程度以上の学歴による制限を撤廃し、学歴に応じた適切な実務経験を有する者について、受講資格を付与することとする。


8.施行期日

[1]資格認定講習機関の登録制の導入:公布の日

[2]公害防止主任管理者の選任の見直し、公害防止管理者の兼任要件の追加:平成17年4月1日

[3]資格の区分の見直し、国家試験の科目別合格制の導入、国家試験業務の指定試験機関への移管、資格認定講習の受講に必要な技術資格の追加及び学歴による制限の撤廃:平成18年4月1日


9.経過措置

[1]資格の区分の見直し関係
 騒音関係公害防止管理者及び振動関係公害防止管理者の資格の統合に伴い、現行制度において、そのいずれかの資格を有している者は、従前どおり騒音関係公害防止管理者又は振動関係公害防止管理者の資格を有しているものとする。

[2]資格認定講習機関の登録制の導入関係
 資格認定講習について、現行制度で実施している「主務大臣が行い、又は指定する講習」については、登録制の導入後も実施の公示がなされているものに限り実施することができるものとする。





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