報道発表資料本文


ほう素、ふっ素、アンモニア及び硝酸・亜硝酸化合物の特性について


  1. ほう素 (B)
    (1)性状
     ほう素は様々な化合物を形成するが、自然界で多くはほう砂等として存在し、温泉水や海水中には比較的高濃度で存在する。
    (2)人への健康影響
     高濃度のほう素を含む水の摂取によって嘔吐、腹痛、下痢及び吐き気等が生ずる。
     動物実験ではラットの体重増加抑制等の影響が見られる。
    (3)用途と発生源
     電気めっき工程の緩衝剤・めっき液として、また、釉薬等製造工程等でほう酸を使用するほか、原料に由来してほう素を含む排水が排出される。
     ほう素を排出する主要な業種としては、鉱業、石炭火力発電所、釉薬瓦・釉薬製造業等がある。
     
  2. ふっ素 (F)
    (1)性状
     化学的作用は極めて強く、すべての元素と直接反応する。自然状態ではホタル石等の形態で存在し、温泉水や海水中には比較的高濃度で存在する。
    (2)人への健康影響
     高濃度のふっ素を含む水の摂取によって斑状歯が発生するほか、ふっ素沈着症が生じる。
    (3)用途と発生源
     金属の研磨やステンレスの洗浄目的で使用するほか、原料として使用するホタル石に由来してふっ素を含む排水が排出される。
     ふっ素を排出する主要な業種としては、鉄鋼業、無機薬品製造業、フルオロカーボン製造業等がある。
     
  3. アンモニア及び硝酸・亜硝酸化合物
    (1)性状
     各々、アンモニウムイオン(NH4 +)、硝酸イオン(NO3-)及び亜硝酸イオン(NO2 -)の化合物。
     基準値はこれら化合物中の窒素量として定義される。環境中には硝酸・亜硝酸性窒素のまま、もしくはその他の窒素化合物として排出される。
     窒素化合物は環境中で形態変化して硝酸性窒素を生成し、アンモニア性窒素は好気的条件下で微生物の働きにより硝化され、亜硝酸性窒素を経て、硝酸性窒素を生じる。
    (2)人への健康影響
     高濃度の硝酸・亜硝酸性窒素を含む水の摂取によって、特に乳幼児にメトヘモグロビン血症を発症する。これまで北米とヨーロッパで約2,000の発症例があり、そのうち7~8%が死亡したとの報告がある。
    (3)用途と発生源
     電気めっきにおける洗浄剤・防錆剤、希土類精鉱の溶解剤、その他、製品の触媒等として用いられる。
     硝酸・亜硝酸性窒素やアンモニア性窒素は、これらを製造・使用する工場・事業場から排出されるほか、生活排水、人や家畜のし尿等として広く排出される。また、窒素肥料の施用も発生源となる。



 報道発表本文に戻る