参考
 
重要地域情報の活用
   重要地域情報は、国土における多様な生態系に関する基礎情報として、以下のような活用が期待できる。なお、研究者の地域的な偏り等から、十分な情報が得られていない地域等もあるため、活用に当たっては、現地調査や各種の分析等を併せて行うことが重要である。
生物多様性国家戦略の見直し等、地域特性を踏まえた生態系の保全や回復方策の検討を行う際の基礎資料として活用する。
既存の保護地域との重複状況を調べ、重複しない地域の保全を検討する等、今後の国土の保護地域施策の総合的な検討のための参考資料として活用することができる。
環境アセスメント等、環境への配慮を行う際に、地域の自然環境の特性把握や重要な地域の認識のための基礎的情報としての活用が期待される。
  国土の各地域の代表的な生物学的特性を有する地域として、生物群集や環境動向の長期的なモニタリング・調査研究を行う場として活用することも期待される。
 
重要地域情報の再整理の方法
   重要地域一覧の再整理は、専門家からなる「生物多様性保全ガイドライン策定検討委員会(次頁参照)」において議論を重ね、以下の手順で行った。(次頁フロー図参照
 
  (1) 既存調査データ等による重要地域候補の追加
     アンケート調査により抽出された情報を補うために、以下に示した保護区域や既存調査データ等から、重要地域の追加候補を抽出。
    [1] 区域の生物学的特性を示す生態系
      ア. 原生自然環境保全地域及び自然環境保全地域(国指定)
      イ. 都道府県自然環境保全地域のうち、植物群落に係る指定地域
      ウ. 国または都道府県指定の天然記念物のうち、植物群落に係るもの
      エ. 国指定の天然記念物のうち、動物生息地に係るもの(コウモリの生息地である洞窟等)
      オ. 特定植物群落の選定基準Aに該当する100ha以上(照葉樹林の場合は10ha以上)以上の群落
 
    [2] 区域内の環境要因の違いにより特徴づけられる重要な生態系
      ア. [1]ア〜エに該当する地域
      イ. 特定植物群落の選定基準Dに該当し、かつ選定基準BまたはCまたはHに該当する群落
      ウ. 「日本植生誌」(宮脇昭編著)の「生態学的に重要な植物群落」における西日本の照葉樹林 (主に社寺林、10ha未満のものを含む。)
 
   
参考:特定植物群落選定基準(一部抜粋)
原生林もしくはそれに近い自然林
国内若干地域に分布するが、極めて稀な植物群落または個体群
比較的普通に見られるものであっても、南限、北限、隔離分布等分布限界になる産地に見られる植物群落または個体群
砂丘、断崖地、塩沼地、湖沼、河川、湿地、高山、石灰岩地等の特殊な立地に特有な植物群落
または個体群で、その群落の特徴が典型的なもの
その他、学術上重要な植物群落または個体群
 
  (2) 地域の統合・整理
    重複・近接する複数の地域については、統合・グループ化。
    「区域の生物学的特性を示す生態系」として、一定のまとまりを持っている地域を選定するという観点から、10ha未満の小さい面積の地域を除外。
    生物群集タイプや用語を再整理。
 
  (3) 重要地域の区域の把握
     とりまとめた重要地域について、生態系の基盤となる地形、植生に着目し、生態系や野生生物の生息・生育地としてのまとまりの確保に留意しつつ、「概括的な位置・地理的範囲の把握」を行った。
 


         重要地域情報の再整理フロー

 
 
 
 生物多様性保全ガイドライン策定検討委員会
 
  座長  大島 康行 ((財)自然環境研究センター理事長)
 阿部 學 (国際湿地保全連合日本委員会副会長)
 大場 秀章 (東京大学総合研究博物館教授)
 奥田 重俊 (横浜国立大学名誉教授)
 川名 英子 (財団法人生協総合研究所客員研究員)
 楜澤 能生 (早稲田大学法学部教授)
 篠原 修 (東京大学大学院工学系研究科教授)
 谷本 丈夫 (宇都宮大学農学部教授)
 垰田 宏 (独立行政法人森林総合研究所四国支所長)
 松本 忠夫 (東京大学大学院総合文化研究科教授)
   吉野 正敏 (筑波大学名誉教授)