フロン回収破壊法の施行に向けた考え方(第一次とりまとめ)(案)
はじめに
オゾン層の保護及び地球温暖化の防止のため、フロン類の大気中への排出抑制を徹底することを目的として「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」(フロン回収破壊法)が成立、公布された(平成13年6月22日)。
フロン回収破壊法は、平成14年4月1日をもって本格的に施行され、事業者等に回収・破壊に係る義務が生じることとなる。これに先がけ、フロン回収破壊法の公布の日から6月以内に、第一種フロン類回収業者の登録制度(業務用冷凍空調機器関係)、フロン類破壊業者の許可制度等が施行される予定である。なお、法の施行スケジュールは別紙のとおりとなっている。
このため、第一次とりまとめとして以下の項目に係る考え方を整理し、政令・省令その他関係規定上の手当を行うものとする。
・ 第一種フロン類回収業者の登録基準、回収・運搬
基準
・第二種特定製品(カーエアコン)の範囲
・破壊業者の許可基準・破壊基準等
・その他
1.第一種フロン類回収業者の登録基準、回収・運搬基準等の検討
フロン回収破壊法の第一種特定製品(業務用冷凍空調機器)が廃棄される場合において、当該特定製品に使用されているフロン類の適正な回収を実施するために、当該フロン類を回収する業を行おうとする者(第一種フロン類回収業者)は、主務省令で定める「登録基準」により都道府県知事の登録を受け、また、「回収基準」、「運搬基準」に従ってフロン類の回収、運搬を行うことになる。「登録基準」、「回収基準」、「運搬基準」等の策定に当たっては次のように考えるべきである。
なお、保安上の見地から、フロン類回収業者が高圧ガス保安法の適用を受ける事項については、同法上の規定を遵守することは当然の前提である。
(1)第一種フロン類回収業者の登録基準(法第十一条第一項)についての検討
第一種特定製品である業務用冷凍空調機器は、エアコンディショナー、冷凍冷蔵機器、大型で充填量の多いチリングユニットに大別される。使用されている回収設備の種類も対象となるフロン類の種類に応じ、以下のとおり3つに分類される。
特定製品の種類 | エアコンディショナー | 冷凍・冷蔵機器 | チリングユニット |
フロン類の種類 | CFC | HCFC | HFC |
設備の種類 | CFC・HCFC用 | HFC用 | CFC・HCFC・HFC用 |
このため、第一種フロン類回収業者の登録基準は、このような特徴に対応し、以下の要件を充たす事業者について登録が行われるようなものとなるべきである。
(2) 登録の申請手続き(法第九条)についての検討
上記の登録基準に係る考え方を前提とし、申請書にはフロン類を回収しようとする第一種特定製品の種類、回収しようとするフロン類の種類、単位時間あたりの回収能力等を明記させるとともに、本人確認のできる書類、フロン類回収設備の能力を示す書類、フロン類回収設備の所有権を有すること又は使用が可能であることを示す書類、成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者に当たらないことを示す書類等を添付させることとする。
(3)フロン類の回収に関する基準(法第二十条第二項)についての検討
登録を受けた第一種フロン類回収業者が、その有する設備の適切な能力又は仕様に従って、確実にフロン類を回収することが担保されるような回収基準を設けることが必要である。
具体的には、確実な回収を担保するため、以下の表に掲げるとおり、回収に当たり、回収しようとするフロン類の圧力区分、充填量に応じ、同表に掲げる所定の圧力まで吸引することを義務づけることとする。これを担保するため、フロン類の回収作業に当たっては、十分な知見を有する者が回収を実施若しくは立ち会うこととする。
フロン類の圧力区分 | フロン類の充填量 | 所定の圧力 |
低圧ガス | 区分なし | -500mmHg以下 |
高圧ガス(常温時の圧力0.3~2MPa未満) | 2kg未満 | 0mmHg以下 |
2kg以上 | -100mmHg以下 | |
高圧ガス(常温時の圧力2MPa以上) | 区分なし | 0mmHg以下 |
(4)フロン類の運搬に関する基準(法第二十一条第二項)についての検討
第一種フロン類回収業者がフロン類破壊業者にフロン類を引き渡すに当たってのフロン類の運搬に関する基準については、運搬時におけるフロン類の漏洩を防止するために、以下のような要件とする。
(5)その他
[1]第一種フロン類回収業者の記録に関する事項(法第二十二条第一項)
回収を行ったときごとに、回収を行った年月日、回収量、回収を依頼した者の氏名等、回収した第一種特定製品の種類及び台数等を記録することとする。また、フロン類破壊業者へ引き渡したとき、自ら再利用を行ったとき、及び引渡し先の例外として認められた者に引き渡したときごとに、その年月日、フロン類の量、引渡し先等を記録することとする。さらに、フロン類回収業者が保管しているフロン類の量も記録することとする。
[2]第一種フロン類回収業者の報告に関する事項(法第二十二条第二項)
第一種フロン類回収業者は、年度ごとに、紙又は電子媒体で、登録を受けた都道府県の区域内における、前年度分の回収量、回収した特定製品の種類及び台数、フロン類破壊業者に引き渡した量、自ら再利用した量、引渡し先の例外として認められた者に引き渡した量、保管量等の必要事項を記載した報告書を事業者ごとに登録を受けた都道府県知事あてに提出することとする。
[3]都道府県知事による報告に関する事項(法第二十二条第三項)
都道府県知事は、環境省又は経済産業省のどちらかに対し、年度ごとに、フロン類の種類ごとに、前年度分の回収量、回収が行われた特定製品の種類及び台数、フロン類破壊業者に引き渡された量、フロン類回収業者が自ら再利用した量、引渡し先の例外として認められた者に引き渡した量、保管量等の必要事項を記載した報告書を二部提出することとする。
[4]第一種回収業者の引渡先の例外に関する事項(法第二十一条第一項)
第一種フロン類回収業者は、自ら再利用する場合を除き、回収したフロン類をフロン類破壊業者へ引き渡すことが原則であるが、
・ フロン回収等推進協議会等が設置する中間収集センターや関係業界が設置する回収冷媒管理センター等の、回収したフロン類を引き取り一旦集積して破壊又は再利用を行う者に確実に引渡す者として都道府県知事が指定する者に引渡す場合
・ 第一種フロン類回収業者が回収したフロン類を、精製等して再利用することが確実に見込まれる者に引き渡す場合
を例外とする。
2.第二種特定製品の範囲の考え方(法第二条第三項)
第二種特定製品(カーエアコン)については、自動車製造業者及び自動車輸入業者が責任をもって第二種フロン類回収業者に費用支払いをする制度を導入するものであり、次に該当する自動車に搭載されるものについては範囲から除くこととするのが適当である。
3.フロン類破壊業者の許可基準・破壊基準等の検討(法第四十五条第一項、法第五十二条第二項等)
(1) フロン類破壊業者の許可基準・フロン類破壊基準についての検討
別添「フロン類破壊に関する基本的な考え方」に基づいて必要な制度とするのが適当である。
(2)その他
4.その他
主務大臣及び都道府県知事は、フロン回収破壊法の適切な施行を担保するため、関係事業者等に対し、報告徴収・立入検査を行うことができることと規定されている。フロン回収破壊法上、主務大臣はフロン類破壊業者の許可を、都道府県知事はフロン類回収業者等の登録を行う権能を有することに鑑み、主務大臣・都道府県知事の行う報告徴収・立入検査の範囲を以下のように整理する。
(1) | 主務大臣による報告徴収に関する事項(法第七十条)
|
||||||
(2) | 都道府県知事による報告徴収に関する事項(法第七十条)
|
||||||
(3) | 主務大臣の職員による立入検査に関する事項(法第七十一条第一項)
|
||||||
(4) | 都道府県知事の職員による立入検査に関する事項(法第七十一条第一項)
|
本資料はパブリックコメントに付すためのものであり、本資料に記載されている内容は本合同会議としての現時点の認識を示すものであるが、パブリックコメントの結果等を踏まえて更に検討を行った上で最終的にとりまとめ、フロン回収破壊法の施行に向けた所要の規定作りに反映させるものとする。 |
(別紙)
フロン回収破壊法の施行予定
フロン回収破壊法は、本年12月以降、段階的に施行に移される。
<施行スケジュール>
第一段階(本年12月21日までに施行) 第一種フロン類回収業者(業務用冷凍空調機器)の登録制度 フロン類破壊業者の許可制度 第一種フロン類回収業者の登録基準 フロン類破壊業者の許可基準 |
等 |
第二段階(平成14年4月1日施行) 第一種特定製品に係る本格施行 第二種特定製品(カーエアコン)引取業者及び第二種フロン類回収業者の登録制度 指針 第一種特定製品に係る回収・運搬基準、フロン類破壊基準 第二種特定製品引取業者・第二種フロン類回収業者の登録基準 |
等 |
第三段階(平成14年10月31日までに施行) 第二種特定製品に係る本格施行 第二種特定製品に係る回収・運搬基準 第二種特定製品に係る料金基準 |
等 |