(別添)
 
自然環境保全基礎調査について
第1回調査は、手探りの中で「植生自然度(植生から人為の影響の度合いを評価)」「すぐれた自然(重要な自然の抽出)」「環境寄与度(植生現存量等の算出)」の3つのキーワードにより目的を明確にして実施した。植生自然度は10、9にだけ注目するのではなく、自然度区分に応じた保全・修復の方針を考えていくために示した。環境寄与度調査は、30年間の研究・技術の進展を活かして再構築してみてはどうか。
自然環境に関する「総合的な調査」という面から、世界的に見ても基礎調査の30年の蓄積は評価できる。今後は政策への活用も考え、継続するもの、新規に行うものなど調査項目にメリハリを付けることが必要。
調査の目的には、「リサーチ(自然環境の基礎的研究的把握)」と「ポリシー(政策決定への活用)」とがある。「ポリシー」では調査の焦点を絞ることが重要である。
継続的に調査をやっているといわゆる「調査疲れ」が問題となる。調査をすることのみで終わっては意味がなく、政策や計画に活かすことが重要である。
生物多様性分析のためには、国民所得統計のような分析のフレームワークが必要。
国民は、「自然との共生」の重要性に目が向いており、自然が豊かさの根源であると認識している。
国レベルで整備すべきデータと地方レベルで整備すべきデータの仕分けをし、地方を巻き込んでいくことが必要ではないか。
種毎の保全計画策定のためには、分布情報だけでなく、種の生息生育環境などの情報も必要となる。
アセスメント調査による地域的な詳細データを、基礎調査のデータと連携して活用できるような仕組みをつくるべき。
 
里山の分析について
二次林と農耕地、草地、ため池等がモザイク状に配置された地域を全体としてみる視点が必要。
里山は、生物資源採取の場として利用され、適度な撹乱を受けることによって、生物の多様性が保たれてきた地域である。
里山の生物資源をバイオマスエネルギーなど新しい形で利活用する動きもある。
里山の重要性をどのようにアピールするかがポイント。森林や農地の管理の担い手不足の問題や、人がいなくなると景観的にも汚くなるという問題を踏まえ、運動論的なアプローチや社会学的調査が必要。
二次林・里山は、大きくはアカマツ林、コナラ林、ミズナラ林といった3つ程度の植生区分に分けられる。その中でも、意図的に維持されてきたアカマツ林やコナラ林とそうではないミズナラ林とは大きく性格が異なる。
流域の水循環の問題は、新環境基本計画でも十分に書ききれていない。本来は、里山など自然環境全体との関係を含めて考えていくべき。
人の手が入らなくなり二次林の遷移が進行することをどう評価するか、自然的社会的条件を総合した評価の枠組みが必要。
里山の問題は、生物だけでなく地域の生活や文化とも関わる総合的な問題であり、長野県では県政の重要な課題の一つとして、今後、地域の視点から里山の評価を総合的に進めていく予定。
 
  (以上、6名の委員及び1名のコメンテーター発言:順不同 文責:事務局)