報道発表資料本文

別紙1環境リーダーの宣言書(1997)(仮訳)



別紙1
子供の環境保健に関する8か国の環境リーダーの宣言書(1997)(仮訳)


我々は世界中の子供が環境中の有害物の著しい脅威に直面していることを認識している。人の健康の保護は持続可能な発展を達成するための環境政策の基本的な目標である。我々の家族の健康や福利が清潔で健康的な環境に依存することへの我々の理解は高まりつつある。こと子供に関しては、彼らがとりわけ環境汚染に傷付きやすいものであるということは紛れもなく真実である。既存の汚染レベルや濃度の警報的な基準値以下で人の健康問題を生じるかまたはそれに寄与する可能性があるという証拠が増えつつあり、我々の国々の現時点での保護レベルではいくつかの場合、十分に子供の保護ができないことがありうる。

世界的に重要な環境保健における子供の健康への脅威の中には、飲料水中の微生物的及び化学的汚染物や病気を悪化させる大気汚染や呼吸器障害による死亡、汚染水、有害化学物質、農薬や紫外線がある。これらの脅威の殆どは、貧困の中に生活する子供をさらに悪化させる。包括的なリストではないが、我々は行動のための事項を以下に列挙したように選択した。なぜならばこれらの事項は、大部分8国の協調した努力により最も効果的なものだからである。

我々は、暴露の予防こそが子供を環境の脅威から守る唯一かつ最も効率的な手段であることを断言する。我々は、子供の保護レベルの改善を探り、そして国内的に、あるいは二国間又は多国間の取組の中で、子供の環境保健を優先させることを再び断言する。我々は、各々の大臣の権限の範囲内において、環境研究、リスク評価、基準の設定について協力することに同意する。我々は公衆の関心を喚起し、家族が子供の健康の一層の保護をはかれるようにすることに同意する。我々は子供の環境保健を環境の最高の優先順位とし、国際的な金融機関、WHO、UNEPやその他の国際機関などよって継続的に活動を前進させ、また子供の環境保健に、特に、子供の健康の環境、経済、社会的な側面について一層の注意を払うことを我々のリーダーに対して促す。

環境リスク評価と基準の設定:
歴史的には、包括的な科学の不足により、環境保護のプログラムや基準及び試験プロトコールはしばしば、乳児や子供を考慮に入れることも、また環境の脅威からそれらを完全に保護することも十分ではなかった。一方、我々の国々では予防的な原理または予防的アプローチ及び安全係数を統合して環境基準を設定してきているので、この過程において子供の特徴と行動についてのよりはっきりした科学的知見を使用することは重要なことである。

我々は、環境リスク評価を行ったり保護基準を設定する際に子供の特異な暴露経路や量−反応関係の特長を考慮に入れ、国の政策を設定することを誓う。我々は子供のリスクを特定し、単独暴露及び複数暴露のどちらの影響をも評価するための能力を向上するため、テストガイドラインの更新の必要性があることに同意する。我々はOECDを通じた、改定され、調和されたテストガイドラインの採用への協力を促す。我々は、環境中の有害物への特定の暴露や乳児及び子供の感受性を理解するための研究や、研究結果や法的な決定事項に関する情報交換を推進する。情報が十分でないときは、我々は予防的な原理または予防的アプローチに則り、子供の健康を守ることに同意する。我々は将来の二国間、地域間及び全地球的合意に向けた交渉や履行(例えばPOPS、長期的越境的大気汚染、貿易上の特に危険な農薬、化学物質及び有害な廃棄物など)の中で、確実な科学に基づき子供の環境保健を考慮することを求める。

子供の鉛暴露:
鉛中毒は子供にとって環境中の大きな有害な問題の一つであり、我々の国々では子供の鉛の暴露を低減するために多くの成功した活動が行われてきている。我々の国々は鉛の暴露からのリスクを減らすための取組を支持している。

我々は子供の血液中の鉛濃度のレベルを10ug/dl以下に抑えるさらなる行動を呼びかけている。血中鉛のレベルがこれより高いところでは、さらなる行動が必要である。我々は、母体の鉛への暴露が子供の健康上重要であることを知っており、母体の暴露を減らすことに同意する。

我々はOECDの鉛リスク減少に関する宣言の遂行とこれを国際的に推進することに取り組む。我々は鉛のガソリン、子供用の製品からの鉛の暴露、ペンキやさび止め禁止に取り組む。食物や飲料水に含まれ経口摂取されることがある製品の制限、これらの発生源からの鉛の除去や削減のためのスケジュールの設定や戦略の発展が必要である。加えて、我々は鉛暴露による子供のリスクに関する公衆の関心の喚起やキャンペーン、子供の血中鉛濃度のモニターを行う科学的なプロトコールや計画を作成し、この重要な努力における進歩を確認すべきである。

飲料水の微生物の安全:
世界的にみて、子供の生存への最大の脅威はきれいな水を利用できないことであり、毎年4百万人以上の子供が汚染水に関連した下痢性の疾病により死亡している。最近、多くの国々でクリプトスポリジウムや細菌あるいはウイルス性病原生物の汚染に関係した水由来の重篤な疾病の集団発生が経験されている。全ての国々と、関係する国際組織は、既存の知識基盤を子供の飲料水の微生物汚染からの保護に組み込むべきである。

我々は、既存の相互援助計画や国際機関や金融機関を通じるとともに、我々の国内及び地域的な計画において良質の飲料水を得るための主要な手段として飲料水の除菌や水源の保護及び消毒について関心を増加させることに焦点をあてることに同意する。我々は微生物学的な飲料水の安全性が子供の生存にとっての第一の要因である途上国に対する技術移転及び能力の向上を促進する。

我々は、特に安全な飲料水及び消毒を含んだ淡水の社会的・経済的目的での持続可能な利用のイニシアチブがUNGASSに向けた準備文書に提案されているが、これを強力に支持するとともにこのイニシアチブは子供の健康に大きな貢献を果たすと考える。

我々は各国間で飲料水の基準を向上させるための情報や政策を分かち合い、微生物学的な飲料水の汚染のモニタリングデータや水由来の疾病の集団発生のデータの交換を定期的に行う担当官を我々の省庁から任命することに同意する。我々は疾病の集団発生のコントロール方法や技術の発達をサポートする研究へ協力することに同意する。また飲料水の浄化に適当な小規模なシステムの技術に特に重点を置く。

大気環境の質:
室内及び室外の大気環境の質は特に乳児や子供に重要である。我々の国々では子供のぜん息及び他の小児の呼吸器疾患は急激に増加しており、化石燃料の燃焼や他の発生源からの排出を含んだ大気の環境汚染により実質的な悪化している。我々の国々の中ではいくつかの特異的な大気の汚染物質の子供の暴露の調査がなされているが、さらなる調査が必要である。

我々はそれぞれの国々で大気汚染を減らす取組を行っており、そのことは国内や国境を越えた大気の質、特に子供の健康への影響を軽くするであろう。室内空気の汚染が世界的に子供の健康に影響を及ぼすクリティカルな問題として特定されることを認識し、我々は室内空気が健康に及ぼす脅威や治療法に関する情報を交換することに同意する。

環境たばこ煙:
子供の環境中たばこ煙の暴露は肺機能を落とし、下部気管支の感染及び気道の過敏、中耳の浸出液の貯留などの影響が生じやすい。ぜん息の子供は特にリスクが高い。多くのこれらの症状は子供の入院を増加させる。

我々は環境中のたばこ煙が若い子供の著しい公衆衛生上のリスクであり、親は子供の家の中でのたばこ煙のリスクについて知る必要があることを断言する。我々は環境中たばこ煙への子供の暴露を減じることを目的とした教育や公衆の関心を得る努力に協力することに同意する。

内分泌攪乱化学物質による子供の健康へのさしせまった脅威:
生体のホルモン機能に影響を与える能力を持っている様々な環境汚染物質により有害な影響が生じることを示す科学的な証拠が増大している。これらの影響には、がん、生殖障害、行動変化、免疫障害などがあり、実験動物において特定の化学物質の暴露によって生じることが観察されている。野生生物の集団では例えば五大湖のように幅広く生態系が汚染されているものがあり、またより限定されてはいるがいくつかの有機塩素系物質にある程度の人が暴露された例もある。これらの化学物質もまた長期的には神経影響を引き起こす可能性がある。乳児や子供は、とりわけこれらの汚染物質の潜在的なリスクにさらされているおそれがある。子供は、内分泌攪乱化学物質による子宮内での暴露や、母乳、環境からの暴露を受けることもある。

我々は研究活動の国際的なインベントリーのとりまとめの絶え間ない努力、科学的な知見の状況についての国際的な評価の伸展、必要な研究や欠けているデータのギャップの特定及び優先順位付け、必要な研究のとりまとめの協力や協調の機構の発展を鼓舞する。これらの活動は、国際政府間フォーラム(IFCS)や国連環境計画(UNEP)のような機関を通じて行われる国際フォーラムにおいて議論を進めるべきである。我々は公衆の関心の喚起と新しい情報を考慮に入れる適切な基準を求めていくことに意する。我々は、内分泌攪乱化学物質の主要な発生源や環境中の運命が特定された場合はリスク管理や環境汚染の予防戦略を協力的に伸展させ、知識が得られた場合は公衆に情報を伝え続けることを誓う。

子供の健康に対する地球の気候変動の影響:
京都では地球温暖化を含めた問題に直面した重大な国際的な行動がなされなければならない。我々の子供と次の世代は、大気中の温室効果ガスの増大による地球の気候変動により健康と福祉に深刻な脅威に直面する。人の行動が全ての国民に受け入れ難い結果をもたらすかもしれないという地球的な気候の変動を予期することを関連づけている圧倒的な科学的な証拠がある。気候変動の国際的な政府間パネルの中に、「気候変動は人の健康に広範囲にわたり著明な生命の損失を伴うようなおそらく有害な影響を及ぼすおそれがある。」という文章がある。子供はひどい熱波やより強烈な大気汚染、感染症の広がりに対して最も感受性が高いであろう。そして我々は例えばオゾン層の枯渇のようにこれらの問題と他の地球的な現象との相互作用について理解し始めたばかりである。次世代は健康や環境及び経済の深刻化を伴う気候変動の数多くの潜在的な影響に直面するであろう。

我々は特に子供に焦点をあて環境保健上の脅威に対処するべきであり、多くの国々では環境と健康その他を所管する省庁との一層の協調が必要になるであろう。国々は特に子供の脅威となる環境問題に対処する研究上の能力その他の科学的な能力を向上させなければならない。我々は、この宣言において同意された段階を自国の行動計画の中で優先順位をつけ、これらの様々な段階の取組の進歩を適当な国際会議で報告し、子供の環境保健への協調的な努力を他国に広めるであろう。

我々は、子供の健康に対する環境の脅威は貧困の軽減や経済、社会の発展というより広い観点から考えられなければならないものと認識している。そして我々はリーダーに対しUNGASSや他の国際会議において持続可能な発展への地球規模の移行を促進するような特に結果志向の行動を促すよう求める。



付属書A
各国政府及び各国において促進することに同意した8か国の環境のリーダーにおける子供の健康及び環境保護の実施事項


リスク評価及び基準の設定
・OECDに対して発達及び生殖毒性テストガイドラインの更新やハーモナイゼーション作業を進めるよう促す。
・子供の環境リスクに明白に対応したリスク評価のアプローチについて拡大した国際的なハーモナイゼーションに関する担当者を指名する


・OECDの鉛に関する宣言の目標について各々の国で伸展させることに同意し、またそれぞれの国で目標を果たすための計画を作成。
・8か国は、おもちゃや輸入品などを含めた他の製品のように子供に暴露するおそれがあるものについての鉛の危害に関する時期を得た情報を提供する機構やコンタクトする原則的な拠点を設立し、適当であれば他の共同的な行動を考慮するであろう。
・血中鉛レベルのテスト法の新たな技術的な発展を適時に利用できるようにすること。

飲料水の微生物の安全
・8か国、国際機関、国際金融施設に対し、世界中の人々のための飲料水の消毒や水源の保護に関して焦点を当てた他国の援助計画の勧告
・飲料水の微生物の汚染のモニタリングや水由来の疾患の集団発生に関するデータの交換の拠点の指示
・疾患の集団発生をコントロールするため、小規模の飲料水システムに焦点を当て、技術や方法の発達を支える研究の協力の拠点の指示

内分泌攪乱化学物質
・化学物質の管理に関する国際的な機関や米国環境保護庁が行われている研究活動の国際的なインベントリーをとりまとめることの要請
・国際的な科学的な評価をとりまとめるためのUNEP及び他の適当な国際機関との共同作業
・インベントリーの作成及び科学的評価の後の国際的な研究戦略の構築
・内分泌攪乱化学物質について最も感受性がある子供への暴露が考えられるものについてスクリーニング手法やテストガイドラインを伸展させるOECDのイニシアチブへの支持

環境たばこ煙
・WHOや他の適当な科学的な機関を通じて科学的な会議を召集し、乳児や子供の環境たばこ煙によるリスクに関する最新の科学的な情報を総合し分け合い、子供の暴露に関する最も効果的な教育戦略に関する情報をとりまとめる。

大気の質
・国境を越えて広がる大気汚染の影響への対応についての地域的な取り決めの実行
・室内空気が健康に及ぼす脅威や効果的な治療法に関する情報の交換を拡大する既存の科学的な機関を通した協調




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