報道発表資料

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2008年06月26日
  • 再生循環

「廃ペットボトルの輸出等市町村における独自処理に関する実態調査」結果について(お知らせ)

 市町村により分別収集された使用済ペットボトル等については、平成18年の容器包装リサイクル法の一部改正に伴い改正された容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別収集及び分別基準適合物の再商品化の促進等に関する基本方針(以下「基本方針」という。)により、指定法人等に円滑な引渡しを促進することが必要であること、また、使用済ペットボトル等を市町村が指定法人以外の事業者に引き渡す場合にあっては、「分別収集された容器包装廃棄物が環境保全対策に万全を期しつつ適正に処理されていることを確認することが必要である。同時に、市町村は、このような容器包装廃棄物の処理の状況等については、住民への情報提供に努めることが必要である。」を国の方針として定めています。
 今般、市町村における使用済みペットボトルの分別収集の実施状況及び処理の実態を把握することを目的に平成19年度に初めて実施した「廃ペットボトルの輸出等市町村における独自処理に関する実態調査」について、その結果の概要を取りまとめましたので、お知らせします。
 この結果、市町村独自処理をしている市町村における、[1]引渡事業者と契約時に引渡要件を定めていない市町村が46.8%あったこと、また、引渡要件を設定している市町村のうち41.7%の市町村が確認を行っていないこと、使用済みペットボトルの処理先について、住民へ情報を提供していない市町村が57.0%あったこと等、環境保全に万全を期しつつ適正に処理されていることの確認が不十分であることが分かりました。[2]使用済みペットボトルの行き先は64.7%が国内の再商品化の原料として利用されていることが分かりました。
 環境省では、この結果を受け、改正基本方針の趣旨について、改めて市町村に対して周知、徹底を図ることとし、具体的には、使用済ペットボトル等については、指定法人等に円滑に引き渡すことが必要であり、指定法人以外の事業者に引き渡す場合にあっては、その事業者の適格性を厳格に審査することに加えて、当該事業者が適正に再商品化等の処理を行っていることについて、現場確認その他の適切な方法による確認をするとともに、住民に対し適切に情報提供をする必要があることを通知することとしています。

「廃ペットボトルの輸出等市町村における独自処理に関する実態調査」の結果は次のとおりです。

1.調査概要

(1)調査目的:市町村における使用済みペットボトルの独自処理の実態を把握すること
(2)調査対象:ペットボトルの分別収集を行っている市町村
(3)調査期間:平成20年3月
(4)回答率:78.5%
(平成18年度分別収集実施市町村(環境省調査)数1,752に対し回答数は1,376)

2.調査結果の概要

(1)使用済みペットボトルの処理方法

 回答のあった市町村の指定法人向け処理量の割合は、近年、減少傾向であったが平成20年度(計画)はやや回復している。

使用済みペットボトル処理量の割合

処理別市町村数の割合
H18 H19 H20
指定法人 のみ 47.8% 46.2% 49.7%
市町村 独自処理 37.0% 37.3% 34.3%
併用 15.2% 16.5% 16.0%

(2)引渡し先事業者の選定、契約時の要件

 市町村独自処理を行う市町村のうち、引渡事業者に引き渡しの要件を定めていない市町村が46.8%もあった。一方、要件を設けている市町村は53.2%あり、このうち、分別基準適合物の円滑な引き渡しを追加した基本方針を受けて、要件を変更した市町村が11.6%あった。(択一回答)

事業者への要件の図

 また、引渡し事業者に対する要件の内容としては、「再商品化すること」が61.0%で最も多く、次いで「国内再商品化製品利用事業者が利用すること」が53.8%、「環境保全対策に万全を期しつつ適正に処理されていること」が27.5%、「そのまま輸出業者に引き渡さないこと」が21.0%となっている。(複数回答)

使用済みペットボトルの取扱要件の図

(3)要件の確認方法

 引渡し事業者に要件を設定している市町村のうち、要件の確認方法としては、「仕様・契約書に盛り込む」が21.2%、「事業者への聞き取り調査だけ」が16.0%、「業者を信頼して特に確認せず」が4.5%と合わせて41.7%の市町村が自ら確認を行っていなかった。なお、「現場確認」を行っている市町村は45.0%となっている。(択一回答)

要件実施有無の確認方法の図

(4)市町村独自処理についての市民への情報提供

 市町村独自処理を行っている市町村のうち、市町村独自処理をしていることを、市民に説明しているかについては、「情報提供していない」が57.0%と半数以上になっている。
 次いで「引渡し業者名のみを公表している」が13.3%、「独自処理していることのみを公表」が12.7%となり、「独自処理の利用先まで公表」しているのはわずか4.6%であった。
 説明責任という観点から、市町村は独自処理している事実やその内容について、積極的に情報を公表していくことが必要である。(択一回答)

市民に対する情報提供の図

(5)市町村独自処理の引渡し先事業者

 市町村が回答した市町村独自処理の引渡し先事業者の延べ数は742社(H18)で、その業種内訳は、平成18年度実績では、「自らフレークやペレットに加工」する事業者が54.3%と最も多く、次いで「ベール化して国内の再生業者に販売」している事業者が17.4%となっている。輸出している事業者は計9.4%で、「フレークやペレットに加工して輸出」が6.6%、「ベール化したものを輸出」が2.8%となっている。

市町村独自処理の引渡し先事業者の表

(6)使用済みペットボトルの行き先

 市町村独自処理の行き先は、平成18年度実績でマテリアル、ケミカルをあわせて国内で再商品化されていると回答した市町村が64.7%である。全部または一部が国外輸出は10.5%であるが、原料化後の行き先を把握していない市町村を含め33.5%の市町村が輸出されている可能性がある。

使用済みペットボトルの行き先の図

(7)輸出時の状態確認について

 使用済みペットボトルの行き先について、全部または一部が国外に輸出していると回答した市町村に輸出時の使用済みペットボトルの状態(分別、洗浄、裁断等が行われている。)を確認する方法について尋ねたところ、平成18年度において口頭説明のみが33.8%、提出書類での確認が31.3%となっており、現場での確認をしている市町村は27.5%のみであった。(択一回答)

輸出時の状態確認の図

(8)市町村独自処理の選択理由

 市町村が独自処理を行っている理由としては、「指定法人より高く販売できるため」が49.0%と最も多くなっている。
 このほか、「従来からのリサイクルルートが確立しているため」が16.2%、「収集から再商品化までトータルで委託できる」が11.3%、「選別せずに引き取ってもらえるため」が10.4%あった。また「地域内の再商品事業者の支援・育成のため」を理由として選択した市町村が13.9%あった。
 また、市町村独自処理が「品質上の制約条件が少ないため」(18.4%)、「小ロットでも引き取ってもらえるため」(17.9%)、「事務手続が軽減できるため」(17.4%)、「柔軟に対応してもらえるため」(16.7%)を選択した市町村もあった。(複数回答)

市町村独自処理している理由の図

連絡先
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室
直通:03-5501-3153
代表:03-3581-3351
室長:西村 淳(内線6831)
室長補佐:酒井 輝久(内線6822)
担当:安藤 英俊(内線6837)