報道発表資料

平成9年8月19日 この記事を印刷

「平成8年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書」について

環境庁は、平成8年度のオゾン層の破壊の状況、CFC(代表的なフロン)等の大気中濃度の状況等の監視結果を取りまとめた。その監視結果の主な内容は、次のとおりである。

{1} 南極域上空において、最大規模であった過去4年と同程度のオゾンホールが出現した。また、1997年の冬から春先にかけて、北半球高緯度域で顕著なオゾンの減少が観測された。
{2} オゾン全量の長期的傾向については、低緯度地域を除いて減少傾向にあり、高緯度ほどその傾向が強く、我が国上空でも、札幌で減少傾向が確認されている。
{3} 北半球中緯度においては、CFCの大気中濃度の増加はほとんど止まっており、1,1,1-トリクロロエタンの大気中濃度は減少に転じている。また、我が国の都市域におけるCFC-11等の大気中濃度は、バックグラウンド値(近隣にCFC等の排出源がない地域における値)に近づいている。
   一方、HCFCの大気中濃度は 最近むしろ増加の傾向にある。
{4} 我が国における有害紫外線(UV−B)の地上照射量の観測値については、オゾン全量の減少傾向が確認されている札幌を含め、明らかな増加傾向は見られていない。
1.背景

 環境庁では、今般、「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」(オゾン層保護法)第22条第2項の規定に基づき、専門家(成層圏オゾン層保護に関する検討会科学分科会及び環境影響分科会(「参考」参照))の意見を踏まえ、「平成8年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書」を取りまとめた。

2.平成8年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書の主な内容

(1)オゾン層の状況
 1996年のオゾン層の状況としては、まず、南極域上空で、最大規模であった過去4年と同程度のオゾンホールが出現したことが挙げられる(図1)。また、1997年冬から春先にかけて、北半球高緯度域において顕著なオゾンの減少が観測され、1997年3月及び4月には、北極域上空で平年より30%を超える減少が観測された。
 また、我が国上空のオゾン全量については、札幌、つくば、鹿児島及び那覇の国内4観測地点のうち、鹿児島及び那覇においては平年より多いオゾン量が観測された月があったが、全体としては、平年並みか平年より少ない状況であった。特に、11、12月には平年より少なかった。
 オゾン全量の長期的傾向については、低緯度を除いた領域で減少傾向が確認され、高緯度ほどその傾向が強い。我が国上空でも、札幌で有意な減少傾向が確認されている。

(2)CFC等の大気中濃度
 北半球中緯度においては、最近、CFC-11、CFC-12、CFC-113の大気中濃度の増加率が年間0〜2%となり、増加がほとんど止まっているほか、大気中の寿命の短い1,1,1-トリクロロエタンの大気中濃度については、減少に転じている。
 また、我が国では、都市域のCFC-11、CFC-12及び四塩化炭素の大気中濃度については、次第に、近隣にフロン発生源の少ない地域(北海道)におけるこれらの物質の大気中濃度(バックグラウンド値)に近づきつつある(表1、図2)。これは、1989年7月から開始されたモントリオール議定書に基づく規制の効果と考えられる。一方、代替フロンであるHCFC-22の大気中濃度については、最近むしろ増加傾向にある。(図3)
 また、NOAA(アメリカ海洋大気局)では、CFC等に由来する対流圏中塩素等の濃度は、1994年初頭にピークを迎え、その後1995年半ばまで1年当たり25±5pptの割合で減少していると発表している。

(3)太陽紫外線
 オゾン層の破壊に伴い地上への照射量が増大すると考えられる有害紫外線(UV−B)については、その変化の傾向を把握するためには、なおデータの蓄積が必要な状況にある。
 我が国においては、オゾン全量の減少傾向が確認されている札幌を含め、1990年の観測開始以降のUV−Bの日積算値の観測値には、推定平年値に対して著しく大きい値は見られない。ただし、UV−Bの観測値には、天候(雲量)や大気混濁度の影響を受けることに留意する必要がある。
 一方、NASAの発表によれば、南北両半球の中高緯度地域において、UV−B量の増加が観測され、10年当たりの年間平均UV−B照射量の増加率は、北緯55度で6.8%、南緯55度で9.9%、また、アメリカとカナダ国境付近においては4%であった。

(4)環境影響
 オゾン層の破壊に伴い、有害紫外線(UV−B)の地上への照射量が増大した場合には、皮膚ガンや白内障の増加、免疫抑制等の人の健康への影響のほか、陸上・水界生態系等への影響が懸念される。


図1 オゾンホールの3要素の経年変化
1979〜1996年の3要素の年極値(上から順に、面積、最低オゾン全量、オゾン破壊量)。
オゾンホール3要素は、南緯45度以南で定義され、面積は、オゾン全量が220m atm-cm(注以下の面積、最低オゾン全量は、オゾン全量の最低値、オゾン破壊量はオゾン全量を300m atm-cmに維持するために補充を要するオゾンの質量。


表1 都市域におけるCFC-11等の大気中濃度とバックグラウンド値との比較

(注1)都市域のCFC-11等の大気中濃度(川崎市の値)は、当該年の3月から翌年の2月までの1年間の観測値の中央値
(注2)バックグラウンド値(北海道の値)は、各年の3月の観測値


図2 CFC-11の都市域における大気中濃度とバックグラウンド地域における大気中濃度の経年変化

(注1)都市域のCFC-11の大気中濃度(川崎市の値)は、当該年の3月から翌年2月まで1年間の観測値の中央値
(注2)バックグラウンド値(北海道の値)は、各年3月の観測値


図3 北半球中緯度(北海道:N)及び南半球(南極昭和基地:S)におけるHCFC-22の大気中濃度の経年変化

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局企画課
課  長:櫻井 正人 (内6510)
広域大気管理室
 室   長:一瀬 壽幸 (内6560)
 室長補佐:世一 良幸 (内6562)
 担   当:俣野 良造 (内6564)

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