平成19年12月7日
保健対策

残留性有機汚染物質(POPs)検討委員会第3回会合の結果及び情報提供の依頼について

 11月19日から11月23日まで、ジュネーブにおいて、残留性有機汚染物質(POPs)検討委員会第3回会合(POPRC3)が開催され、我が国から、北野大 明治大学教授が出席しました。
 今回の会合では、

(1)
クロルデコン、リンデン、ペンタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモビフェニル、PFOSについては、第4回締約国会議(2009年5月開催予定)への勧告(附属書A(廃絶)又はB(制限)への追加)を決定
(2)
ペンタクロロベンゼン、オクタブロモジフェニルエーテル、α−HCH、β−HCHについては、次回会合までに危険の管理に関する評価案を作成することが決定
(3)
新たに提案された1物質(エンドスルファン)については、議論が持ち越し

になりました。
 今後、(2)に該当する4物質の危険の管理に関する評価の作成のために各締約国に情報提供が要請されており、当該情報を有する関係者におかれましては、情報提供をお願いします。

 「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」第8条に基づき、条約対象物質への追加について検討するための検討委員会が設置されており、その第3回会合が、11月19日〜23日、ジュネーブ(スイス)で開催されました。委員会は、我が国の北野大 明治大学教授を含む31名の専門家より構成されています。

 会合では、

(1)
前回会合から作業がなされていた5つの物質について、危険の管理に関する評価案に基づいて議論がなされ、第4回締約国会議への勧告(PFOS1を除く4物質(クロルデコン、リンデン、ペンタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモビフェニル)については附属書A(廃絶)への追加、PFOSについてはPFOSF2とともに附属書A又はB(制限)への追加)を決定
(2)
前回会合で条約の対象物質への追加が提案された5つの物質について、対象物質への追加に値する健康・環境影響があるかどうかを検討するための文書(リスクプロファイル)案に基づき、条約対象物質への追加に値する人の健康・環境への影響があるかを評価し、短鎖塩素化パラフィンを除いた4物質(ペンタクロロベンゼン、オクタブロモジフェニルエーテル、α−HCH、β−HCH)につき、次回会合までに危険の管理に関する評価案を作成することを決定。なお、短鎖塩素化パラフィンは、情報が不足しているとされたため、リスクプロファイル案作成段階で保留。 
(3)
今回会合で新たに提案された1物質(エンドスルファン)については、次回会合に議論が持ち越しになりました。


 なお、PFOSの危険の管理に関する評価に関しては、PFOSFを含めて採択されましたが、適用除外の必要な用途(エッセンシャルユース)を確定できていないとの意見から、付属書A又はBに追加するとの結論を変更しない前提で、用途に関する追加情報を、必要に応じて収集することとされております。

 今後、(2)の4物質について、危険の管理に関する評価の作成のために各締約国に情報提供が要請されており、我が国としても積極的に貢献していくこととしております。条約事務局からの具体的な情報提供内容については(別添1)のとおりですので、当該情報を有する関係者におかれましては、(別添2)により必要な情報提供を経済産業省または環境省までお願いします。

 なお、当該条約は製造だけではなく、利用や非意図的使用も対象となります。このため、この物質そのものを作っている場合だけではなく、添加剤として使用する場合、製造工程で利用している場合や副生成物として生じる場合などについても幅広く情報提供いただきますようお願いいたします。

【参考1】 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)とは

 POPs条約とは、環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDT等の残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)の、製造及び使用の廃絶、排出の削減、これらの物質を含む廃棄物等の適正処理等を規定している条約です。 対象物質については、POPsの検討委員会(POPRC)において議論されたのち、締約国会議(COP)において決定されます。
 締約国会議で決定後、日本など条約を締結している加盟国は、対象となっている物質について、各国がそれぞれ条約を担保できるように国内の所法令で製造、使用等を規制することになっています。

環境省関連情報ホームページ http://www.env.go.jp/chemi/pops/index.html
POPs条約事務局ホームページ(英語)http://www.pops.int/

【参考2】 今回対象物質とその結果

(1)「危険の管理に関する評価」を作成する物質3
物質名 主な用途 提案国
クロルデコン 農薬 欧州連合
リンデン(γ−HCH) 農薬 メキシコ
ペンタブロモジフェニルエーテル プラスチック難燃剤 ノルウェー
ヘキサブロモビフェニル プラスチック難燃剤 欧州連合
PFOS、PFOSF 撥水撥油剤、界面活性剤 スウェーデン
(2)「リスクプロファイル」を作成する物質
物質名 主な用途 提案国
ペンタクロロベンゼン 農薬、非意図的生成物 欧州連合
オクタブロモジフェニルエーテル プラスチック難燃剤 欧州連合
α−HCH リンデンの副生物 メキシコ
β−HCH リンデンの副生物 メキシコ
(3)検討が保留された物質4
物質名 主な用途 提案国
短鎖塩素化パラフィン 難燃剤 欧州連合
エンドスルファン 農薬 欧州連合

【参考3】今後のスケジュール(予定)

2007年11月 POPRC3(終了)
次のPOPRCまで
  • (1)PFOSの用途に関する情報収集
  • (2)の4物質の「危険の管理に関する評価」案の情報収集
  • (3)の短鎖塩素化パラフィンの「リスクプロファイル」案の有害性に関する情報
2008年10月(予定) POPRC4
  • (1)PFOSの適用除外の必要な用途(エッセンシャルユース)
  • (2)の4物質の「危険の管理に関する評価」案及び締約国会議への勧告の検討
  • (3)の短鎖塩素化パラフィンの「リスクプロファイル」案の検討、エンドスルファンの新たな提案への検討
2009年5月(予定) 第4回締約国会議(COP4)
  • (1)の5物質に関する勧告の採択
  • (2)の4物質のうちPOPRC4で勧告された物質に関する勧告の採択
2010年春頃(予定)
  • 締約国会議決定事項について、国内においても実施
※1
PFOS:パーフルオロオクタンスルホン酸及びその塩
※2
PFOSF:パーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド。PFOS及びPFOS類縁化合物の工業的前駆体であり、環境中でPFOSを容易に生成する。
これら5物質については、第4回締約国会議(平成21年5月)以降において条約
※3
これら5物質については、第4回締約国会議(平成21年5月)以降において条約対象物質への追加について決定します。
※4
短鎖塩素化パラフィンについては有害性に関する情報が不足しているとされ、リスクプロファイルの作成段階で保留、エンドスルファンについては背景文書の提供が間に合わなかったため、提案の検討が保留されました。

添付資料

連絡先
環境省環境保健部環境安全課
課長:木村 博承(6350)
課長補佐:瀬川 恵子(6353)
課長補佐:木野 修宏(6324)
担当:須賀 義徳(6358)

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