平成19年8月23日
再生循環

循環型社会の形成に向けたエコ・コミュニティ事業の採択について−平成19年度循環型社会形成実証事業の公募結果−

 循環型社会の形成に向けたエコ・コミュニティ事業(平成19年度循環型社会形成実証事業)については、全国から39件の応募があり、審査の結果6件の事業を採択した。

1.事業の経緯及び目的

 大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会の在り方や国民のライフスタイルを見直し、社会における物質循環を確保することにより、天然資源の消費が抑制され、環境への負荷の低減が図られた「循環型社会」を形成するため、平成12年6月に循環型社会形成推進基本法が公布され、平成15年3月には同法に基づく循環型社会形成推進基本計画が閣議決定されました。同計画は、循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するものであり、循環型社会のイメージや具体的な目標を定めるとともに、その達成に向けて、国民、NGO・NPO、事業者、地方公共団体、国等の各主体が相互に連携を図りつつ、積極的な取組を推進していくことを求めています。
 このため環境省では、NGO・NPOや事業者が地方公共団体と連携して行うリデュース、リユース、リサイクルやグリーン購入などの循環型社会の形成に向けた取組で、他の地域のモデルとなるような創意工夫に優れた事業を公募し、実証事業として実施することにより、循環型社会の形成に向けた地域からの取組を促進することとし、平成15年度より本事業を開始しました。
 平成19年度は、2月6日(火)から3月26日(月)にかけて事業を募集し、全国から39件の応募があり、外部学識経験者による審査の結果6件の事業を採択しました。

2.審査の概要

応募件数:
39件
採択件数:
6件
公募期間:
平成19年2月6日(火)〜3月26日(月)

3.採択事業の概要

今年度の採択事業の概要については以下のとおり。

事業名事業主体事業概要
地域のお祭りを若者がエコにします事業 環境NGOezorock
(北海道札幌市)
 環境に関心のある青年層が中心となって、地域のお祭りを対象に、ごみ分別の呼びかけやリユース食器の導入等により環境負荷を低減。環境情報提供ブースを展開することで、地方自治体が伝えきれない環境情報を詳細に提供。来場者への環境意識調査やイベント後のヒアリング調査を実施し、地域イベントにおける環境情報提供効果を検証。
 こうした取組を通じて、お祭りという機会を最大限活用して、各家庭における分別意識の向上をはかり、環境負荷の低減を図る。
首都圏近郊政令指定都市における720ml・900mlガラスびん統一リユースシステム構築モデル事業 (社)環境生活文化機構
(東京都港区)
 川崎市内において、720ml・900mlのガラスびんのリユースシステム(充填・流通・販売・回収・洗浄・再使用)を導入し、特定地域内での回収・資源循環システムを構築。これにより、循環型社会形成及び廃棄物削減、エネルギーの節約を図る。併せて、回収効率の変化を調査するとともに、消費者からのアンケート調査や関係者へのヒアリング調査を実施し、その結果等を分析・評価することにより、他地域へのリユースシステムの導入につなげていく。
ファストフード、コーヒーショップと自治体の自主協定によるリユースの推進事業 特定非営利活動法人 FoE Japan
(東京都豊島区)
 店内飲食においてリユースを実施及び推進する意志のある店舗が自治体(武蔵野市)にリユース推進宣言を提出し協定を締結することで、地域における脱使い捨ての目標を共有し、事業者の意欲向上と地域市民のグリーン購入を啓発する。「グリーン・ファスト・マップ」を作成し、リユース推進宣言をした店舗を紹介する。また、実施状況モニタリングや利用者アンケート、店舗ヒアリング、市民と事業者の意見交換会を実施し、問題点、解決策を見いだし、自主協定の手法を他地域でも応用できるようなしくみの確立を図っていく。
食品工業残渣を活用した家畜飼料給与実証事業 (社)長野県農協地域開発機構
(長野県長野市)
 食品産業から大量に排出されている廃棄物(食品加工残渣)については、腐敗しやすいこと等からなかなか活用できない状況にあり、大部分は処理業者に委託され埋め立て処分されている状況にある。一方、共生発酵(複数の菌の共生による発酵)の技術を用いた場合、食品残渣を活用して極めて有意な飼料生産ができることが明らかとなりつつある。このため、食品残渣を活用した飼料づくりの事業化に向けて、共生発酵の技術の活用による飼料の生産及び給与実証、食味試験、飼料化に係わる経済性の分析、飼料法に基づく飼料登録、飼育環境の実施の他、基礎データの収集を図る。これにより、食品残渣を活用した飼料づくりの、事業化を目指す。
未活用資源を用いた大山川浄化プロジェクト (株)日立製作所
(東京都千代田区)
 愛知県小牧市における地域の川、大山川の水質浄化を目指すためには、ハード・ソフト両面の循環システムの構築を図る。具体的には、飽和状態にある竹やセラミックなどの未活用資源を河川の浄化装置として再利用するとともに、事業運営組織「大山川浄化実行委員会」を設立し、住民等の継続的な参加を得る仕組みを整備する。
給食廃材を利用した土づくりと有機農業によるエコ・コミュニティ創造事業 高田小学校PTA食育倶楽部
(大分県豊後高田市)
 PTAが中心となり、学校からでる給食廃材を集め堆肥化し、それをもとに地域と連携し野菜等を生産。できた野菜などを給食センターで調理し、再度給食として提供。併せて、堆肥化から野菜生産・消費の全行程について、子供達を交えた食育活動を実施。
 これらの取組を通じて地域の活性化を推進する。

4.今後の予定

 今回採択した事業については、年度末時点での事業の状況を評価した上で、その活動状況を循環型社会白書等を通じて広く一般に周知していく予定です。

連絡先
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課循環型社会推進室
直通03−5521−8336
 代表03−3581−3351
 課長:紀村 英俊(6811)
 補佐:七夕 義隆(6820)
 担当:松本、野崎(6819)