報道発表資料

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2007年06月18日
  • 自然環境

ワシントン条約第14回締約国会議の結果概要について

 ワシントン条約第14回締約国会議が、6月3日(日)~15日(金)の日程でハーグ(オランダ)において開催されました。今回会議では、国際取引が規制される種を定めた附属書の改正が行われたほか、条約の実施に関する決議等が採択されました。

1.アフリカゾウ関連

 アフリカゾウのうち附属書IIに掲載されている個体群の象牙の取扱いに関して、南部アフリカ4カ国(ボツワナ、ナミビア、南アフリカ、ジンバブエ)の政府所有の象牙のうち条約事務局が認証したものの取引が追加的に認められた一方で、当該取引後9年間は新たな象牙取引を締約国会議に提案することが禁止された。(詳細は別添参照)
 この結果、今回会議で決定された追加分を日本が取引する場合には、第12回締約国会議の決定に基づく取引と合わせて行う必要が生じるため、追加分在庫について常設委員会が条件を満たしていると認めた後に取引が実施されることになる。なお、追加的取引を既に認められている取引と同時に行うことが条件とされた背景には、密猟監視プログラムによる取引の影響分析がより容易になること及び複数の国と取引したいとする南部アフリカ諸国の強い意向がある。

2.アフリカゾウ以外の附属書改正提案

 アフリカゾウ以外の主な附属書改正提案の審議結果は以下のとおり。

(1)陸棲動物
  • スローロリス属(霊長類の仲間)(カンボジア提案):附属書II→Iへの移行が承認された。
  • マウンテンガゼル(アルジェリア提案):附属書Iへの掲載が承認された。
  • リムガゼル(アルジェリア提案):附属書Iへの掲載が承認された。
  • メキシコドクトカゲ(グアテマラ提案):附属書II→Iへの移行が承認された。
(2)海棲生物
  • ニシネズミザメ(ドイツ(EC)提案):附属書IIへの掲載提案は否決された。
  • アブラツノザメ(ドイツ(EC)提案):附属書IIへの掲載提案は否決された。
  • ヨーロッパウナギ(ドイツ(EC)提案):附属書IIへの掲載が承認された。
  • 宝石サンゴ属(米国提案):附属書IIへの掲載提案は否決された。(第1委員会では承認されたが、全体会合で否決された。)
(3)植物
  • ブラジルボク(ブラジル提案):附属書IIへの掲載が承認された。

3.条約の実施関連等

 条約の実施等については、戦略ビジョン(2008-2013年)、遵守ガイドラインが採択されたほか、インターネット取引の調査実施に関する決定等がなされた。科学的基準に基づいた鯨類の附属書見直し作業の実施に関する我が国提案は否決された。
 また、今回会議開催期間中のアジア地域会合において、新たな常設委員会アジア地域代表にイランが選出された(我が国及び中国は、次回締約国会議まで留任)。また、我が国から、石井信夫氏(東京女子大学教授)が動物委員会アジア地域代表代理に再選された。

4.次回締約国会議

 次回締約国会議は、平成22年にカタールにおいて開催されることが決定された。

※ワシントン条約附属書について
(1)
附属書I:絶滅のおそれのある種であって取引による影響を受けており又は受けることのあるもの。商業取引を原則禁止。
(2)
附属書II:現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが、取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種となりうるもの。輸出国の許可を受けて商業取引を行うことが可能。
(3)
附属書III:いずれかの締約国が、自国内の種の保護のため、他の締約国の協力を必要とするもの。当該種を掲げた国と当該種について取引を行う場合、許可を受けて行う。

※附属書の改正については、6月16日から起算して90日目の2007年9月13日に効力が生ずる。なお、新たに附属書Iに掲げられた種については、改正附属書の発効と同時期に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」に基づく国内流通規制の対象とする予定。

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
直通:03-5521-8284
 課長:星野 一昭(6460)
 専門官:中尾 文子(6462)
 係長:守分 紀子(6468)

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