平成10年12月18日
平成9年度全国の地盤沈下地域の概況について
環境庁は、平成9年度全国の地盤沈下地域の概況等をとりまとめたところ。本概況等については、12月21日開催の中央環境審議会地盤沈下部会に報告を行う予定である。
1.地盤沈下地域の概況
- 全国で年間最大の地盤沈下量は、新潟県高田平野の3.5cmであった。消雪 用地下水の揚水が主な原因である可能性が高いと考えられる。
- 年間4cm以上沈下した地域は、環境庁が全国の地盤沈下面積の集計を開始した昭和53年以降、はじめてゼロとなった(前年度は4地域、22km2)。
- 年間2cm以上沈下した地域数は9地域であり前年度の13地域に比べ減少したが、沈下した面積は、千葉県九十九里平野など大幅に拡大した地域もあったため、ほぼ前年度並みの239km2であった。
- 渇水時に急速な地下水位の低下が生じている埼玉県等の関東平野北部等一部の地域では、依然として沈下が進行している。
(1)全国
平成9年度 (平成8年度) 地域数 面 積 地域数 面 積 年間2cm以上の
地盤沈下地域の
面 積9 239km2 13 258km2 年間4cm以上の
地盤沈下地域の
面 積0 0km2 4 22km2 地 盤 沈 下
体 積平成9年度
2,267万m3
(東京ドーム約18杯分)(平成8年度)
2,318万m3
(東京ドーム約20杯分)(2)主な地盤沈下地域
(2−1)年間沈下量
平成9年度 (平成8年度) 高田平野(新潟県) 3.5cm
(全国第1位)3.6cm
(全国第5位)関東平野
(茨城県、栃木県、
群馬県、埼玉県、千葉県)3.4cm
(埼玉県)
(全国第2位)6.9cm
(栃木県)
(全国第1位)(2−2)5カ年累計沈下量
南魚沼(新潟県) 27cm
(全国第1位)30cm
(全国第1位)関東平野(栃木県) 20cm
(全国第2位)24cm
(全国第2位)筑後・佐賀平野(佐賀県) 20cm
(全国第2位)20cm
(全国第3位)(2−3)年間2cm以上の沈下面積
九十九里平野(千葉県) 211km2
(全国の約88%)3km2
(全国の約1%)関東平野
(茨城県、栃木県、
群馬県、埼玉県、千葉県)23km2
(全国の約10%)252km2
(全国の約95%)2.地盤沈下防止対策への取組について
- (1)法令、条例及び要綱による地盤沈下防止対策
-
地盤沈下の防止を図るため、「工業用水法」、「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」及び条例等により、地下水採取規制等が実施されている。濃尾平野、筑後・佐賀平野、関東平野北部地域については、地盤沈下防止等対策関係閣僚会議により地盤沈下防止等対策要綱を策定し、地下水採取規制等、監視及び調査研究、地盤沈下対策事業(著しく地盤が沈下している地域における高潮対策、内水排除施設整備、海岸保全施設整備及び土地改良等の事業)を総合的に推進している。要綱地域の状況は次のとおり。
- 濃尾平野及び筑後・佐賀平野地域においては、昭和60年4月に地盤沈下防止等対策要綱を策定した後、目標年次が到来したことから平成7年9月に一部改正を実施し、地下水採取量を目標量以内に抑制(筑後・佐賀平野白石地区については早期達成)することとしている。
- 関東平野北部地域においては、平成3年11月に地盤沈下防止等対策要綱を策定し、地下水採取抑制目標年次の平成12年度に向け、目標量を達成すべく引き続き総合的取組を進めている。また、環境庁としては、要綱に基づく対策のより効果的な推進のため、必要に応じ、地域ごとのきめ細かな地下水採取の抑制対策推進の方策について調査、検討を進めているところである。
- (2)地下水位等のリアルタイムの監視
- 近年、頻発傾向が見られる渇水時には、著しい地盤沈下が発生している。渇水時の地盤沈下は、地下水涵養量の減少から地下水位が低下しやすい傾向に加え、表流水の不足から地下水揚水量が増加し、急速に地下水位が低下することに起因している。このため環境庁は、地下水位の変動に着目した地下水管理による地盤沈下防止対策についての調査、検討を進めている埼玉県関東平野及び渇水の影響で平成6年度に16cmの沈下が発生した佐賀県筑後・佐賀平野においてテレメータシステムを整備し、地下水位及び地盤収縮量をリアルタイムで監視しているところである。
また、広範囲にわたる沈下が進行している茨城県・栃木県・群馬県関東平野においても同システムを整備し、本年12月から運用を開始したところである。 - (3)地盤沈下防止に向けた意識の啓発
- 環境庁においては、地盤沈下の防止の意識を啓発を図ることを目的として、地盤沈下や地下水位等の情報を整理した「全国地盤環境情報ディレクトリ」を平成9年11月26日より環境庁ホームページに掲載している。その後のアクセス件数は、平成10年8月に309件、9月に529件であった。平成10年9月30日には、地盤沈下の被害写真や地下水採取規制に関する条例等の情報を加えて内容を更新したところである(http://www.env.go.jp/water/jiban/index.html)。
添付資料
- 連絡先
- 環境庁水質保全局企画課地下水・地盤環境室
室 長 :安藤 茂(6670)
補 佐 :内田 勉(6671)
担 当 :佐藤 浩(6673)