報道発表資料

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ダイオキシン類の排出抑制対策のあり方に関する中央環境審議会答申について

6月20日に中央環境審議会大気部会(部会長;斎藤孟;早稲田大学名誉教授)が開催され、「ダイオキシン類の排出抑制対策のあり方について(有害大気汚染物質対策に関する第四次答申)」がまとめられた。
 本答申の要点は、以下のとおりであり、環境庁においては、これらを踏まえ、早急に大気汚染防止法施行令の一部改正等の措置を講ずる予定である。
{1} ダイオキシン類を大気汚染防止法附則第9項の指定物質に指定すること
{2} 大気汚染防止法附則第9項に基づくダイオキシン類に係る指定物質排出施設として、廃棄物焼却施設等を指定すること
{3} 大気汚染防止法附則第9項に基づくダイオキシン類に係る指定物質抑制基準の考え方として、次のように提案すること
 廃棄物焼却施設  新設  0.1〜5ng-TEQ/m3N
 既設  1〜10ng-TEQ/m3N
 (5年以内に達成。ただ1年以内に達成可能な当面の基準として、80ng-TEQ/m3N)
{4} 施策実施の指針となる大気環境濃度として、当面、年平均値0.8pg-TEQ/m3以下とすること
 
注) 1ng〜 10億分の1g
1pg〜 1兆分の1g
TEQ 〜 毒性等量。ダイオキシン類の量をダイオキシン類の中で最強の毒性を有する 2,3,7,8,-四塩化ジベンゾパラジオキシンの量に換算した量として表していることを示す符号。
m3N 〜 0度、1気圧の状態に換算した気体の体積。

1.経 緯
 平成7年9月20日付けで環境庁長官から中央環境審議会(会長;近藤次郎;元日本学術会議会長)に諮問された「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について」に対しては、既に三次にわたり答申が行われ、それらに基づき、有害大気汚染物質対策の導入のための大気汚染防止法の改正等が行われている。
 有害大気汚染物質の一つであるダイオキシン類(注)については、平成8年10月18日付けの第二次答申において、有害大気汚染物質の中でも、その有害性の程度や大気環境の状況等に鑑み、優先的に対策に取り組むべき22種類の「優先取組物質」の一つとされている。
 環境庁が設置した「ダイオキシンリスク評価検討会」及び「ダイオキシン類排出抑制対策検討会」の報告書が本年5月にとりまとめられたことを受けて、中央環境審議会大気部会は、そのもとに設置している「排出抑制専門委員会」(専門委員長;永田勝也;早稲田大学理工学部教授)において、ダイオキシン類に係る具体的な排出抑制対策のあり方についての検討を行った。
 6月20日(金)に開催された大気部会に、排出抑制専門委員会の報告が提出され、同報告に基づき「ダイオキシン類の排出抑制対策のあり方について(有害大気汚染物質対策に関する第4次答申)」がとりまとめられた。

(注)ダイオキシン類
    ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)及びポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)の総称。物の燃焼等の過程で非意図的に生成する物質であり、一般毒性、発がん性、生殖毒性、免疫毒性等の多岐にわたる毒性を有する。


2.答申及び専門委員会報告の要点
 今回のダイオキシン類に関する答申は、別添1のとおり、排出抑制専門委員会の報告「ダイオキシン類の排出抑制対策のあり方について」を適当と認め、政府に対して、「ダイオキシン類を大気汚染防止法附則第9項の指定物質に指定する等の所要の措置を早急に講ずる」ことを求めるものである。
 排出抑制専門委員会の報告の要点は、次のとおりである。

(排出抑制対策) ダイオキシン類については、発生源、環境中の挙動等に関する科学的知見が現状では必ずしも十分ではないが、これらの知見の充実を図りつつ、健康影響を未然に防止する観点に立って、実施可能な対策から着実に実施していくことが重要。このような考え方に基づ
いて、次の施策を早急に具体化すべき。

(1)指定物質への追加 ダイオキシン類は優先取組物質の一つとされているが、以下に掲げる状況等に鑑み、指定物質に指定することが適当。
 {1}発がん性、催奇形性等の健康影響が指摘されていること
 {2}「健康リスク評価指針値 5pg-TEQ/kg/日」が示されていること
 {3}ごみ焼却炉周辺環境等の高い曝露を受ける条件下では、曝露量が健康リスク評価指針値と同程度以上となることがあり得ること
 {4}発生源における排出等の状況が明らかにされつつあり、対策を講ずべき発生源が概ね特定されていること

(2)指定物質排出施設の指定 工場又は事業場に設置され、ダイオキシン類を排出する施設のうち、排出量が多いと考えられ、対策の早期導入が可能である施設を優先して指定することが適当。 現時点では、排出実態や対策技術に関する知見が集積されている廃棄物焼却施設等を指定することが適当。 規模要件については既に大気汚染防止法の規制対象となっているばい煙発生施設の規模と同様とすることが適当。
 ダイオキシン類の排出総量を計画的に低減していく観点から、今後とも発生源情報の収集に努め、逐次対象施設を追加していく必要がある。

(3)指定物質抑制基準の設定
 指定物質抑制基準は排出口における濃度基準として設定することとし、実施可能な排出抑制対策を講じた場合に達成することが可能なレベルで設定することが適当。この基準は対策技術の進展等に応じて随時見直すことも必要。
 指定物質抑制基準の設定に当たっては、新設・既設の区分、施設規模による区分の設定が必要。
 新設の大規模施設については実施可能な最善の対策技術を考慮して設定し、既設施設や中小規模の施設についてはその対応能力も考慮して設定することが適当。既設施設の基準値については猶予期間及び当面の目標をあわせて示す必要がある。
 前述の対策技術の評価及び上記の基本的考え方を踏まえ、廃棄物焼却施設に関する具体的な基準値設定の考え方として、以下のとおり提案。
{1}新設の廃棄物焼却施設については、施設規模に応じて0.1〜5ng-TEQ/m3Nのレベルで設定することが適当。
{2}既設の廃棄物焼却施設については、施設規模等に応じて1〜10ng-TEQ/m3Nのレベルで設定することが適当であり、5年以内を目途にすべての施設がこのレベルを達成すべき。但し、排出濃度が高い施設については早期に対策に着手する必要があることから、概ね1年以内に達成可能な当面の基準をあわせて設定することとし、この基準は排出実態を勘案して80ng-TEQ/m3Nとすることが適当。

(4)指針となる大気環境濃度の設定
 ダイオキシン類を指定物質に指定する際には、施策が効果的に推進されるよう、施策実施の指針となる大気環境濃度を設定することが有効。特に、指定物質排出施設の設置者に対して知事等が大気汚染防止法に基づく報告徴収を行う判断要件として、このような指針値が必要。
 環境庁が設置した「ダイオキシン類に係る大気環境濃度低減のための目標に関する検討会」は、現時点における科学的知見を最大限活用して検討した結果、「ダイオキシン類摂取量に関するケーススタディの結果を踏まえ、大気環境中のダイオキシン類濃度の現状を勘案した上で総合的に判断すると、大気環境濃度低減のための目標は、当面、年平均値0.8pg-TEQ/m3以下とすることが適当と考えられる。」と報告(平成9年6月;別添2参照)。
 この目標については、今後の科学的知見の充実に応じて検証することが重要であるが、ダイオキシン類について指定物質に係る措置を実施するための指針として妥当。
 なお、同報告にあるとおり、大気環境濃度がこの指針を超える場合であっても、ただちにそれが人の健康に影響を及ぼすとはいえないこと、また、この指針が達成されたとしても、発生源においてそれ以上の排出削減を行う必要性がなくなるものではなく、継続的に実施可能な対策を講ずる必要があることに留意する必要がある。

(今後の課題)
・情報の収集、提供
・発生源情報の収集、発生源インベントリーの整備と対策の拡充
・中小事業者に対する支援
・地方公共団体に対する支援
・調査研究の推進、健康リスクの評価
・測定・分析方法の標準化、検査機関の充実
・ばいじん規制の強化

3.今後の予定
 環境庁においては、本答申を受けて、ダイオキシン類を大気汚染防止法附則第9項の指定物質に指定し、一定規模以上の廃棄物焼却施設等を同項の指定物質排出施設に指定するため、大気汚染防止法施行令の一部改正を行うととともに、指定物質抑制基準を設定するため、環境庁告示を行う予定である。

*別添1、2,参考については添付ファイル参照。

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局大気規制課
課長 飯島 孝  (6530)
 担当 宮崎 正信(6537)

環境庁大気保全局企画課(指針関係)
担当 奥村 二郎(6514)

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