報道発表資料

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2006年10月06日
  • 大気環境

皇居におけるクールアイランド効果の観測結果について

この度、環境省では都内有数の都市内緑地である皇居のクールアイランド効果について検証するため、皇居内の気温観測を実施いたしましたので、今夏の観測結果についてその概要をお知らせします。観測の実施にあたっては、首都大学東京大学院 三上岳彦教授の研究チームに御協力を頂き、温度記録計の設置、データの回収・分析を行いました。また、今回の皇居内における気温観測は宮内庁の特別な許可を得て実施しています。

1 観測の目的

 都内有数の都市内緑地である皇居は、都心部の高温化(ヒートアイランド)を緩和するクールアイランドとして、都市におけるヒートアイランド対策の観点からも存在価値が極めて高いと考えられることから、皇居内の数カ所の地点で気温の連続観測を実施し、皇居緑地のクールアイランド効果を定量的に把握することで、その結果を都市の熱環境改善政策に有効活用することを目的としています。

2.結果の概要

<夏季の平均気温>
 皇居内と近隣市街地の8月における1日間の平均気温の動きを図-1に示します。 正午から深夜にかけて、皇居内は近隣市街地に比べて2℃~2.2℃、気温が低い状況が続きます。また、8月中、最も気温差のあったときには4.3℃もの違いが観測されました。
図-1,図-2は別紙参照
<熱帯夜日数、30℃を超えた時間数>
 8月中に、夏日の基準である30℃を超えた時間を皇居と近隣市街地で比較すると、近隣市街地ではおよそ200時間(1ヶ月の約28%)であったのに対し、皇居内では70時間程度(1ヶ月の約10%)と3倍近い差が見られました。
 また、1日の夜間の気温が25℃を下回らない熱帯夜の日数を比べると、近隣市街地では8月中に21日あったのに比べて皇居内では9日と半分以下になっています。
図-3は別紙参照

 これらの結果から、皇居はヒートアイランド現象の顕著な都市の中心部にあって、明瞭なクールアイランドとなっている事が改めて示されました。

データ提供:首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 三上研究室

3.今後の取組

 環境省では昨年度、ヒートアイランド対策のひとつとして都市の大規模緑地の持つクールアイランド効果に着目し、新宿御苑及びその周辺をモデルとして大規模緑地を核にその周辺の熱環境を改善する構想の検討結果をとりまとめたところです。
 今回の観測により、皇居においても明瞭なクールアイランド効果が確認されたことから、今後は皇居の冷気を活用し、東京におけるヒートアイランド現象の中心部での熱環境改善対策について検討する予定です。

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課大気生活環境室
直通:03-5521-8300
 室長:内藤 克彦(内線6540)
 室長補佐:藤本 正典(内線6543)
 担当:高原(内線6578)

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