報道発表資料

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2006年01月30日
  • 自然環境

「新・生物多様性国家戦略の実施状況の点検結果(第3回)」を踏まえた今後の施策の方向に係る中央環境審議会の意見について

昨年10月に中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会に報告した「新・生物多様性国家戦略の実施状況の点検結果(第3回)」を踏まえ、同審議会より、生物多様性の観点からの今後の施策の方向について意見を得ましたのでお知らせします。

経緯

1.新・生物多様性国家戦略の実施状況の点検結果(第3回)

 この点検は、新・生物多様性国家戦略(平成14年3月策定)に基づき、平成16年度を中心に、平成17年9月までに実施した施策を関係省庁が自主的に点検し、生物多様性国家戦略関係省庁連絡会議(9府省で構成:事務局は環境省自然環境局)が取りまとめたものです。なお、点検結果の取りまとめに当たっては、平成17年9月にパブリックコメントを行い国民各層の意見を聴きました。
 点検結果の概要については別添参考を、また点検結果本文については環境省のホームページ(http://www.biodic.go.jp/cbd/check_2005/index.html)をご覧ください。

2.中央環境審議会における審議

 平成17年10月27日(金)及び11月29日(火)の2回にわたり、中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会において、新・生物多様性国家戦略に基づく関係省庁の施策の進捗状況について、生物多様性の観点から点検が行われました。
 その結果、平成18年1月27日(金)付けで中央環境審議会から環境大臣に対し、今後の施策の方向に関して次のとおり意見が出されました。
 なお、自然環境・野生生物合同部会の審議の概要等については、環境省のホームページ(http://www.biodic.go.jp/cbd/check_2005/index.html)をご覧ください。

今後の施策の方向に係る中央環境審議会意見

(1)全体について

 新・生物多様性国家戦略が策定され、それに対する点検が確実に行われているという点では、生物多様性に関する国の施策は前向きに進んでいる。それにもかかわらず、生物多様性に関する3つの危機は必ずしも好転していない、むしろ進行を食い止められていないという状況は認識しておくべきである。

(2)点検結果の示し方について

 これまでの点検で3つの危機に対する取組を整理してきたが、各施策の進捗度合いの示し方を更に工夫したり、その課題や改善策を具体的に示すことができれば、次の施策の展開につながると考えられる。

(3)今後の施策の方向について
[1]

第3の危機に対しては、外来生物法の制定・施行により、着実に対応され始めている。引き続き、特定外来生物の指定に向けた検討を進めるとともに、水際対策の実効性の確保や国内の動植物の地域外移動の問題についても更に取組を進めていくこと。
 環境影響評価等は生物多様性の保全に貢献している面があり、それらの実績について更に情報収集・整理することが望ましい。

[2]

生物多様性の観点から海洋は重要であり、浅海域だけでなく海鳥の保護等の海全体での取組が必要である。また、生物多様性保全の取組については、困難な点もあるが目標を定めて、それに対する評価を行っていくことが望ましい。

[3]

生物多様性に関する科学的な認識の基礎となる基本的なデータの整備、特にそのデジタル化が日本は非常に遅れていることを深刻に受け止めるべきである。関係省庁の連携を進めるとともに、予算的な面も含めた一層の対応が望まれる。

[4]

三位一体改革の流れの中で、地方の主体的な取組が今後ますます重要となる。その際、県境、国境を越えたグローバルな視点をもつべきこと等の地方に期待する大事なポイントを次期生物多様性国家戦略で具体的に記載することが必要である。

(4)施策取組の体制について

 省庁連携やNPO・ボランティアの取組等がいろいろな形で進みつつあるのは望ましいことである。それに加えて、地方も含めた行政分野の人材の強化、若者中心のNPO・ボランティア活動に対する支援、各種取組への専門家の参画等の体制づくりの充実が重要である。

(5)生物多様性の普及啓発・教育について

 生物多様性は科学的・客観的なデータで示すことは重要であるが、美的な要素等の情緒的な面も排除せず、人間の自然に対する思いを大きくとらえることも必要である。
 また、生物多様性への意識やその価値に対する一般の理解を国レベルの戦略として進めるためには教育が重要である。自然や生態系に無関心な多くの若者に対しては、情報共有型ではなく、自然との体感共有型の教育が有効である。子供が本来持っている生き物の営みへの驚き等の内発的な興味を失わないよう、大人の既成概念を押しつけないことが必要である。
 次期生物多様性国家戦略では、生物多様性の重要性や保全の緊急性をミレニアム生態系評価等も参考にして、よりわかりやすく記載すべきである。

添付資料

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課
課長:阿部 宗広(6430)
 生物多様性企画官:亀澤 玲治(6480)
 課長補佐:岩下 友也(6435)
 調整専門官:西村 学(6437)
 担当係長:立田 理一郎(6437)

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