平成17年12月27日
地球環境

平成16年度における地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく「政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制等のため実行すべき措置について定める計画」の実施状況について

政府は、「政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制等のため 実行すべき措置について定める計画」(平成14年7月19日閣議決定。平成17年4月28日改定。以下「政府の実行計画」という。)に基づき、政府の事務及び事業に関する温暖化対策を推進してきたところです。
 今般、平成16年度における政府の実行計画の実施状況を取りまとめました。平成16年度における政府の事務及び事業に伴い排出された温室効果ガスの総排出量は2,016,495トンとなりましたが、これは、基準年度(平成13年度)値の4.6%増です。
 また、この結果をふまえ、本日午後行われた地球温暖化対策推進本部幹事会(各府省の局長級で構成)において、政府の実行計画の確実な推進に向けた緊急的、重点的取組をとりまとめました。

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1.政府の実行計画の実施状況について

(1)政府の事務及び事業に伴い排出される温室効果ガスの排出実態について

 政府の実行計画においては、当該実行計画に盛り込まれた措置を着実に実施することにより、平成13年度比で平成18年度までに政府の事務及び事業に伴い直接的及び間接的に排出される温室効果ガスの総排出量を7%削減することを目標とすることとしている。
 平成16年度における政府の事務及び事業に伴い排出された温室効果ガスの総排出量は、2,016,495トンCO2(基準年度(平成13年度)値の 4.6%増)となった。
 灯油・重油等の施設のエネルギー消費やその他の燃料の使用に係るものは、減少しているものの、電気の使用に伴うCO2の排出量の増加が基準年比6.3%と非常に大きく、これが全体の排出量を増加させる原因となっている。 この内訳は、電力使用量の増加によるものが4.6%(全増加率にほぼ等しい)、単位使用電力当たりのCO2の排出原単位の変化によるものが1.7%(全増加率の約1/3)である。
 なお、電力使用量の増加によるものの約2/3は、床面積の増加によるものと考えられる。

項目18年度目標単位年度実績数値
温室効果ガスの
総排出量
13年度比で7%削減 トンCO H13 1,928,195
H14 1,926,393
H15 1,929,191
H16
H16/13比
2,016,495
  (4.6%増)
温室効果ガスの総排出量の推計に当たっては、「地球温暖化の推進に関する法律施行令の一部を改正する政令」(平成14年政令第396号)に定める排出係数等を用いた。
対象機関には、独立行政法人、公社等政府関係機関(平成18年度までに移行する機関も含む。)は含まれない。
基準年度(平成13年度)、平成14年度及び平成15年度の実績数値については、一部データにおいて修正があったため、昨年度の公表時から修正を行っている。(以下同じ。)

(別添:要因分析)

(2)その他の数量を伴う目標の実績数値等について

 政府の実行計画に掲げられている温室効果ガスの総排出量以外の数量を伴う 目標に関する基準年度(平成13年度)、平成14年度、平成15年度及び平 成16年度における実績数値は、以下のとおり。

表
対象機関には、独立行政法人、公社等政府関係機関(平成18年度までに移行する機関も含む。)は含まれない。
GJ(ギガ・ジュール):G(ギガ)は10億倍の意味、J(ジュール)はエネルギー熱量を表す単位

(3)数量的目標を含まない具体的細目的措置の取組状況について

 数量的目標を含まない具体的細目的措置について、よく取り組まれている項目と取組が遅れている項目のうち主な項目を整理すると以下のとおり。

(ア)財やサービスの購入・使用に当たっての配慮
よく取り組まれている項目
公用車について、燃料電池車の率先導入を始め、低公害車の導入
再生材料から作られた文具等の使用
(以下、本府省でよく取り組まれている項目)
公用車における待機中のエンジン停止の励行、タイヤ空気圧調整定期的な車両の点検・整備の励行等の環境に配慮した運転の実施
(イ)建築物の建築、管理等に当たっての配慮
よく取り組まれている項目
建設業者による建設廃棄物等の適正処理の発注者としての確認
庁舎内における冷暖房温度の適正管理
(以下、本府省でよく取り組まれている項目)
エレベータ運転の高度制御、省エネルギー型の照明機器の設置等
取組が遅れている項目
太陽熱利用、風力等を活用した設備の導入
(以下、特に地方支分部局等で取組が遅れている項目)
雨水の適切な利用が可能な場合における雨水利用設備の導入
建築物の壁面や屋上の緑化
電力負荷平準化に資する蓄熱型空調システム等の導入
(ウ)その他の事務・事業に当たっての温室効果ガスの排出の抑制等への配慮
よく取り組まれている項目
OA機器、家電製品等の適正処理
OA機器、家電製品、照明について、省エネルギー型機器への交換等
(以下、本府省でよく取り組まれている項目)
水漏れ点検や節水こまの取付け、水圧の低めの設定等
取組が遅れている項目

(特に地方支分部局等で取組が遅れている項目)

CO 冷媒ヒートポンプ給湯器等の高効率給湯器の活用
簡便な手法でのトイレ洗浄用水の節水の実施
リサイクルルートの確保等の各庁舎ごとのリサイクル計画の策定等
(エ)職員に対する研修等

 本府省、地方支分部局等共に、取組が進んでいない。

(4)今後の課題

計画の目標年度が平成18年度に迫っていることから、平成16年度における取組状況を踏まえ、各府省においては、政府全体の目標の達成に向け、それぞれの府省において取組が遅れているものを中心に、その原因の究明をまず行うことが必要である。その結果に基づき、重点的に取り組むべき対策を検討し、積極的に取組を進める必要がある。また、今後とも、定期的に実績数値を把握できる項目について、実績数値の把握及び評価等を行い、職員に周知するとともに事務の執行に速やかに反映させる等きめ細かい進行管理を行うものとする。

個別の数量的目標ごとの実施状況を見ると、廃棄物の量など、一定の取組の効果が見られる項目もあるものの、公用車の燃料使用量や事務所の単位面積当たりの電気使用量など、基準年度より後退している項目もあるほか、電気使用に伴う温室効果ガス排出量の伸びなど、政府全体の目標の達成に向けて、より一層の取組が必要となっている。また、各府省においては、組織・規模等の大きい地方支分部局等の取組が政府全体の実績に与える影響が大きいことを認識し、本府省のみならず、地方支分部局等の取組状況についても、各府省の実情を踏まえながら、万全を期していく必要がある。

基準年度値より増加している公用車の燃料使用量、事務所の単位面積 当たりの電気使用量、事務所の単位面積当たりの上水使用量については、各府省において、職員一人ひとりに各府省の状況を認識させるとともに、例えば、

  • 公共輸送機関の利用の奨励などによる公用車利用の効率化等による公用車の燃料使用量の削減
  • 温度測定結果を踏まえた冷暖房の運転管理の徹底
  • 昼休みや残業時における必要な箇所以外の消灯の徹底
  • 必要に応じて水栓への節水コマの取付け、公用車等の洗車方法や回数の見直しなど、各府省の施設ごとにシステム化、ルール化された取組を進める必要がある。

温室効果ガスの総排出量については、電力使用量の総量の伸びや一般 電気事業者以外の事業者から供給される電力量の増大などを背景として、電力の使用に伴う排出量の増加傾向が過去3年間で顕著に見られるところである。また、我が国の温室効果ガスの排出量の現状を踏まえれば、エネルギーや燃料の消費者である政府自らが率先して温室効果ガスの削減に努め、国民各界各層における削減の取組を促していくことが強く求められているところである。このため、各府省において更なる削減の取組を一層推進していくことが重要であり、例えば、

  • 排出量等が削減されない原因の究明と施設単位の自律的な対策強化システムの構築
  • 建築物の規模、構造等に応じての可能な限りでの太陽光発電等の新エネルギーを活用した設備の導入
  • 官庁施設のグリーン化の一層の推進、省エネルギー設備・機器の導入、設備等の改修、運用改善の一層の徹底
  • 省CO化の要素を考慮した電力購入方式の導入などを、各府省ごとの実情を踏まえながら主体的かつ計画的に進めていく必要がある。

さらに、各府省は、本府省のみならず、地方支分部局等の職員を含め、地球温暖化に関する認識をより一層深めるため、地球温暖化に関する研修の計画的な推進や積極的な情報提供等を充実・強化する必要がある。

2.政府の実行計画の確実な推進に向けた緊急的・重点的取組

(1)緊急的かつ重点的に取り組む事項

[1]

CO排出量等が削減されない原因の究明と施設単位の自律的な対策強化システムの構築

[2]

庁舎のエネルギー利用のシステム化、ルール化された削減

[3]

庁舎の省エネ改修、新エネ・省エネ機器の導入

[4]

省CO化の要素を考慮した電力購入方式の導入

(2)今後の進め方

各府省の排出実態、CO2排出量の削減されない理由、各府省の対策の具体的な内容について、平成17年度内にできるだけ早くその結果をとりまとめる。


地球環境局 報告書
平成16年度における地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく「政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制等のため実行すべき措置について定める計画」の実施状況について

添付資料

連絡先
環境省地球環境局地球温暖化対策課
課長 梶原 成元(内6770)
 課長補佐 野口 竹志(内6777)
 担当 井桁 正昭(内6776)