報道発表資料

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2004年11月29日
  • 地球環境

モントリオール議定書第16回締約国会合の結果について

11月22日~26日の5日間にわたり、チェコ共和国のプラハにおいて、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書第16回締約国会合」が開催されました。議定書の実施に関し、オゾン層破壊物質への適切な対応を更に推進するための措置に合意しました。なお、臭化メチルの使用が不可欠な用途に関する承認申請についての議論を継続するため、来年、臨時締約国会合を開催することが決定されました。

1.会合の概要

 ・ 場所 プラハ(チェコ)
日程 11月22~24日 議定書締約国会合 準備セグメント
11月25~26日     同       ハイレベルセグメント
出席者 締約国の代表約380名、
国際機関、産業界、NGO等約140名
(日本政府からは、猪又忠徳外務省参与を代表団長に、環境省、経済産業省、外務省及び農林水産省から関係者が出席。)

2.結果の概要

(1) 政府代表団演説

 各国の代表団から、オゾン層の保護に向けてモントリオール議定書が果たしてきた成果と残された課題について陳述がなされた。特に、規制対象外である用途への使用の削減や違法貿易の防止、途上国におけるオゾン層破壊物質の撤廃に向けた技術的・財政的支援の必要性が多くの国から挙げられた。
 我が国からは、締約国各国において、オゾン層破壊物質の生産等の規制のみならず、既に市中に存在している大量のフロンを回収し、再利用又は破壊することで大気中への放出を防ぐという新たな課題への取組の必要性を指摘した。また、フロン回収や臭化メチル使用の削減といった我が国の取組を紹介した。

(2) 今次会合における主な決定事項

  •  先進国における臭化メチルの不可欠用途申請の承認
    先進国においては臭化メチルの生産・消費を2005年以降全廃しなければならないが、技術的・経済的に適切な代替手段がなく、かつ、臭化メチルを使用できなくなることにより著しい損害がある場合は、不可欠用途として、議定書の技術・経済評価パネル(TEAP)の評価を踏まえ、使用が認められることとされている。
    今次会合において、各国からの2005年の追加分と2006年の不可欠用途申請に対し生産・消費を認められる量が、TEAPから勧告された量を基に決定される予定であった。しかし、各国に対し削減を求めたTEAPの勧告量に対して米国を始めいくつかの申請国から疑義が出されるとともに、米国からの多量の使用の申請に対しEU等が強く削減を求め、長時間にわたり議論がなされた。その結果、2005年の追加分については、代替物質の利用が可能とされた量を除き、ほぼ各国の申請量どおりの数量が承認された。2006年分については各国の申請量を暫定的に認めた上で、TEAPが非勧告又は評価不能とした量についてTEAP内に設置された臭化メチル技術選択肢委員会(MBTOC)に再評価を求め、その結果を来年7月に臨時締約国会合を開催し、そこで議論することが決定された。
     
  •  オゾン層破壊物質の違法貿易の防止
     オゾン層破壊物質が、輸出入の許可等を受けずに違法に取引される問題について、国際的な防止方策の必要性が多くの途上国から指摘されている。これを踏まえ、違法貿易の撲滅に向けた国際的協力の枠組み構築に向け、専門家によるワークショップの開催と今後の取組方法に関する研究項目の策定を事務局に求める提案を日本から提出し、採択された
     
  •  ぜんそく用定量吸入薬(MDI)にクロロフルオロカーボン(CFC)を使用するための不可欠用途申請の承認
     CFCは先進国において1996年に消費・生産が全廃されたが、MDIへの使用についてはそれ以降も例外的な使用が認められている。今回、未だMDI用途にCFCを使用している一部の先進国(日本は既にMDI用途のCFCを全廃済)について、2005年と2006年のMDI用途CFCの不可欠用途申請が承認された
     なお、これらの国については、MDIに使用するCFCを全廃する予定日とそのための具体的な措置を明らかにした計画を提出することが前回の締約国会合において決定されている。
     
  •  モントリオール議定書多数国間基金(MLF)の2006年から2008年の資金補填に関する業務指示書
     モントリオール議定書においては、途上国における規制措置の実施等に対する技術的・財政的支援を行うための基金(MLF)が設立されている。今次会合では、MLFの2006年から2008年にかけての資金補填レベルを決めるためのTEAPの研究に関する業務指示書が決定された
     その中で、研究の実施に当たり、これまでの締約国会合やMLF執行委員会における決定や規定、今次会合において報告がなされた財政機構の外部評価の結果、プロジェクトの執行に係る現状のコスト等を踏まえることが指示されている。
     
  •  2007年「国際オゾン層年」の決定
     モントリオール議定書の締結後20年に当たる2007年を、「国際オゾン層年」とすることが宣言された。

3.今後の開催予定

 モントリオール議定書第17回締約国会合は、来年11月にダカール(セネガル)にて開催される。また来年7月に臭化メチル問題を協議するために特別締約国会合が開催される。

4.今後の対応

 我が国では、今般の締約国会合の結果を受け、引き続きオゾン層破壊物質の排出抑制のための対策に取り組むとともに、途上国の支援を行っていくことしている。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課フロン等対策推進室
室長   宇仁菅伸介(内6750)
 専門官 新田 晃  (内6743)
 担当   西川 絢子 (内6753)

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