報道発表資料

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2003年11月28日
  • 保健対策

昭和48年の「旧軍毒ガス弾等の全国調査」のフォローアップ調査結果について(概要版)

 環境省は、毒ガス弾等による被害の未然防止を図るため、関係省庁及び都道府県等の協力を得て、昭和48年の「旧軍毒ガス弾等の全国調査」のフォローアップ調査を行い、その結果をとりまとめた。
(1) 経緯
    本調査は、6月6日の閣議了解「茨城県神栖町における有機ヒ素化合物汚染等への緊急対応策について」に基づき、昭和48年の「旧軍毒ガス弾等の全国調査」のフォローアップ調査として、国内における旧軍毒ガス弾等による被害の未然防止を図るための基礎資料を得ることを目的に実施し、その結果をとりまとめたものである。
(2) 調査方法
    本調査では、関係省庁及び都道府県等に対して調査協力を依頼し、各都道府県は、市町村の協力を得て調査を行った。また、米国・オーストラリア等からも関連資料を取り寄せるとともに、政府広報等を通じて、広く国民に対しても毒ガス弾等に関する情報提供を呼びかけた。
  <調査項目>
  終戦時における旧軍毒ガス弾等の保有及び廃棄の状況
  戦後における旧軍毒ガス弾等の発見、被災及び掃海等の処理の状況
  その他旧軍毒ガス弾等の保有又は発見の可能性が示唆される場所の現在の状況
(3) 調査結果
  (ア) 保有・廃棄・発見・被災及び掃海等の状況
      旧軍毒ガス弾等の生産・保有状況については全国で34箇所、廃棄・遺棄状況については44箇所の地域が報告され、発見・被災・掃海等の処理状況については823件の報告があった。(地図参照)

  (イ) 地域毎の状況
      本調査では、今回新たに、ア情報を基に地域毎に集約整理し、全国における毒ガス弾等に関する状況を138(陸域と水域にまたがる5事案を含む。)の事案にとりまとめた。現段階における情報の内容に応じて、各事案の分類及び対応の考え方について整理したところである。(表参照)なお、今回の調査において、健康被害が現に発生している等の切迫した事案で新たに判明したものは存在しなかった。
  また、この分類については、今般のフォローアップ調査に対して提供された情報等に基づくものであるため、今後の現地における調査結果や追加で提供される情報によって変更することもあり得るものである。
    [1]  陸域の事案(114事案)
    a 戦後の被災や発見、埋設、廃棄等といった、毒ガス弾等が現在も存在する疑いを積極的に示す内容や情報源の種類、情報の数(複数情報が一致するものか、単独の情報のみか等)からみた「情報の確実性」、
    b 具体的な対策の実施が可能かといった観点からの、提供された情報の「地域の特定性」、
      等を勘案して、講ずべき対応との関係から、次の4つに類型化した。

       毒ガス弾等の存在に関する情報の確実性が高く、かつ、地域も特定されている事案(4事案)
       こうした事案については、現地における、健康影響の未然防止の観点からの環境調査を実施するとともに、土地改変時の安全確保のための措置等を実施することが必要となる。

       毒ガス弾等の存在に関する情報の確実性は高いものの、地域が特定されていない事案(16事案)
       こうした事案については、対応を行うべき地域を特定するための、積極的な情報収集の実施が必要となるため、まず、現地周辺の重点的な情報収集を実施し、必要に応じて、地下水等の環境調査を実施することが必要となる。

       地域は特定されているものの、毒ガス弾等の存在に関する情報の確実性は不十分である事案(21事案)
       こうした事案については、現段階では、ただちに健康影響の未然防止の観点からの環境調査を行う状況にはないが、情報に関する事実関係を確認するために、現地周辺の情報収集を実施することが必要となる。なお、当該調査の結果、必要に応じて、地下水等の環境調査を実施することが必要となる。
       旧軍問題等の知見を有する有識者等より、特に指摘を受けて、本類型に追加した事案もある。

       前記以外の事案(73事案)
       こうした事案については、現段階では特段の対応が必要であると判断する材料は存在しないため、今後とも、継続して関連情報の提供を受け付けることとする。

    [2]  水域の事案(29事案)
       水域の事案については、海洋24事案、河川2事案、湖沼3事案であるが、元来、海洋投棄が主要な処理方法の1つであったこともあり、海洋における廃棄、発見等について多くの情報が提供されているところである。
 こうした水域の事案は、特に、通常の生活における被害防止を考慮すべき陸域の事案とは異なり、主として、漁業、船舶の航行、浚渫工事等といった水域の利用形態を踏まえた安全確保等の観点から、海洋、河川等各事案の状況に応じた対応を図ることが必要となる。なお、毒ガス弾等の水域におけるその他の影響については、必ずしも十分な知見を有していないため、なお、引き続き、調査検討することが必要である。
(4) 今後の取組
    今後は、政府と地方公共団体が緊密に連携し、政府全体として一体的に、こうした各類型の状況に応じた、適切な対策を講じていくことが必要であり、そのための取組方針を可能な限り、早急に決定する必要がある。

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境保健企画管理課
課長  :小林 正明(内線6310)
 調査官 :平田 悦雄(内線6311)

環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課環境リスク評価室
環境リスク評価室
 室長  :三宅 智 (内線6340)
 室長補佐:武井 貞治(内線6343)

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