平成10年9月1日

平成9年度CFC回収等に関する調査結果について

オゾン層保護対策の推進のために、冷蔵庫、カーエアコン等の機器中に使用されているCFC(クロロフルオロカーボン;いわゆるフロンの一種)等を、これら機器の廃棄の際に回収し、破壊することが重要な課題となっている。
 CFC等の回収・再利用・破壊については、関係18省庁からなる「オゾン層保護対策推進会議」において、平成7年6月及び平成9年9月の二度にわたりその促進方策を取りまとめ、都道府県・政令指定都市及び関係事業者に積極的取組を要請するなど対策を進めているところである。

 今般、環境庁及び通商産業省では、今後の取組の促進に役立てるため、冷媒用CFC等含有機器が廃棄される際の平成9年度におけるCFC等の回収等の実態について、共同で調査を行った。その結果は以下のとおりであった。

(1) 家庭用冷蔵庫からのCFC回収を実施する市町村の数は平成7年度以降着実に増加しており、平成9年度末までに全体の73%(平成8年度末 59%)に達した。また、市町村ルートの家庭用冷蔵庫からのCFC回収率も78%(平成8年度56%)まで上昇した。

(2) 事業者ルートの家庭用冷蔵庫、カーエアコン、業務用冷凍空調機器からのCFC等回収率については、総じて前回調査から上昇したが、事業者の特定フロン回収に係る自主行動計画の推進の立ち上がり時期、また、地域におけるCFC等回収システムが整備されつつある時期でもあり、全般的には依然として低い水準であった。

(3) 関係市町村、関係業界等が幅広く参加したフロン回収推進協議会等を設置している都道府県・政令指定都市の数は増加しており、平成9年度末までに全体の90%(平成8年度末71%)に達した。

 環境庁は、通商産業省をはじめ関係省庁と協力して、「オゾン層保護対策推進会議」において、CFC等の回収に係る取組状況のフォローアップを行うことにより、CFC等の回収の一層の促進を図ることとしている。

1.背景

オゾン層保護対策は、CFC等のオゾン層破壊物質の生産規制を基本として、国際的に協 調して進められており、先進国では既に主要なオゾン層破壊物質の生産が全廃されている が、過去に生産され、冷蔵庫、カーエアコン等の機器中に充填された形で存在するCFC 等を、これら機器の廃棄の際に回収し、破壊することが、オゾン層保護を一層進める上で 重要である。
 こうした認識の下、我が国においては、関係18省庁からなる「オゾン層保護対策推進会議 」(事務局:環境庁及び通商産業省)において、平成7年6月及び平成9年9月の二度に わたりCFC等の回収・破壊の促進方策を取りまとめ、都道府県・政令指定都市及び関係 事業者に積極的取組を要請するなど対策を進めている。 なお、本調査は、前回までは環境庁、通商産業省がそれぞれ別々に実施していたが、今年 度は共同で実施したものである。

2.平成9年度CFC回収等に関する調査の結果

  • (1)調査の概要

    市町村ルート及び事業者ルートの実態をそれぞれ把握するため、下記の2種類の調査を行 った。

    • ア.自治体におけるCFC回収等に関する調査
      内容:市町村、一部事務組合が取り扱った廃家庭用冷蔵庫等からのCFCの回収等の実態 、フロン回収等推進協議会の設置状況等を把握。
      方法:全国の都道府県・政令指定都市に対して調査票を送付し、管下の市町村におけるC FCの回収等の状況の調査を依頼。都道府県・政令指定都市で取りまとめた調査票を回収。
    • イ.事業者ルートにおけるCFC回収等に関する調査
      内容:民間事業者が取り扱った廃家庭用冷蔵庫、廃カーエアコン、廃業務用冷凍空調機器 からのCFCの回収等の実態を把握。
      方法:日本標準産業分類準拠区分のうち、CFC回収に関係している業種に該当する区分 から合計約2万1千事業者を業種毎に無作為抽出し、アンケート票を郵送、回収(有効回 答率48%)。
  • (2)調査結果
    • ア.CFC等回収率

      調査結果は表1のとおりである。

      家庭用冷蔵庫は、市町村ルート又は事業者ルート(販売店ルート)で廃棄される が、平成9年度の市町村ルートの家庭用冷蔵庫からのCFC回収率(廃棄処分するものと して市町村に搬入された家庭用冷蔵庫台数に対するCFCの回収が実施された台数の割合 )は78%であり、平成8年度の56%に比べて増加した。

      平成9年度の事業者ルートの家庭用冷蔵庫、カーエアコン、業務用冷凍空調機器 からの回収率も総じて前回調査(平成7年)より上昇したが、事業者の特定フロン回収に 係る自主行動計画の推進の立ち上がり時期、また地域におけるCFC等回収システムが整 備されつつある時期でもあり、全般的に依然低い水準にあった。なお、事業者ルートは抽 出調査のため、CFC回収率等は推計等を行ったものである。今回の事業者ルートの調査 は、前回に比べ約2倍のアンケート回収率であったため、より実態に近い数字が算出され たものと考えられる。今後、より一層正確な推計を行うための精度アップを図ることとす る。

      表1:機器の種類別・回収実施者別CFC等回収率
      機器の種類 回収実施者 平成9年度
      調査結果
      (参考)
      前回調査結果
        市町村
      (一部事務組合)
      78% 56%
      家庭用冷蔵庫 家庭用電気機械
      器具小売業
      8% 1%
        産業廃棄物処理業 35% 14%
        自動車新車小売業 22% 30%
        中古自動車小売業 18% 10%
      カーエアコン 自動車部分品・
      附属品小売業
      11% 8%
        自動車整備業 20% 18%
        自動車解体業 9% 13%
        管工事業 49% 16%
      業務用冷凍空調機器 ビルメンテナンス業 92% 45%
        冷凍機・湿潤調整
      装置製造業
      48% 47%
      • 注1)回収率は台数ベース(廃棄台数中、CFC等を回収した台数の割合)
      • 注2)家庭用冷蔵庫の市町村(一部事務組合)ルート以外は抽出調査のため、回収率は以 下に示す拡大推計等による。
        • {1}アンケート結果から、業種毎に「廃棄台数」及び「冷媒フロンを回収した台数」のそ れぞれの度数分布表を作成し、次式により、各度数区間における拡大推計値を計算する。
          各度数区間における拡大推計値
          
                      度数           業務を行っていると回答した数
          = 度数区間の中央値 ×―――― × 全国事業所数 ×――――――――――――――
                     度数合計               有効回答数
           
        • {2}{1}によって求めた各度数区間における拡大推計値を合計し、業種毎の「廃棄台数」及 「冷媒フロンを回収した台数」のそれぞれの拡大推計値とする。さらに、「冷媒フロンを 回収した台数の拡大推計値」/「廃棄台数の拡大推計値」によって回収率を求める。
        • {3}なお、カーエアコンについては、アンケート結果に異常値が多いと推定され、それを 排除するため、採用する値の上限として平均値と標準偏差の和を設定し、統計処理した。 また、前回調査結果についても、異常値が多いと推定されたため、改めて同様の統計処理 を行った。
      • 注3)家庭用冷蔵庫の市町村(一部事務組合)ルートのうち、廃棄台数が不明と回答した 市町村については、同じ都道府県内の廃棄台数が明らかな市町村の合計人口に対する廃棄 台数の比率に当該市町村における人口を乗じて廃棄台数を推計した。
      • 注4)「前回調査結果」は、家庭用冷蔵庫の市町村(一部事務組合)ルートについては、 環境庁調査(平成8年度分の調査)、それ以外については通商産業省調査(平成7年分の 調査)による。
      • 注5)1台の廃棄機器は複数の業態を経由する場合がある(自動車新車小売業→解体業者 など)。このため、仮にいずれかの段階で冷媒用フロンが回収され、結果的に全ての機器 から冷媒用フロンが回収されたとしても(100台中自動車小売業で50台、解体業者で50台 回収される場合など)、当該業種における回収率は100%とならない場合がある(この場 合の回収率は自動車小売業50%、解体業者50%)。
    • イ.フロン回収実施市町村数 家庭用冷蔵庫からのフロン回収を実施する自治体数は、近年着実に増加しており、平成9 年度末において全体の73%に達した。
      表2:フロン回収実施市町村数の推移
      年度 平成7年度末 平成8年度末 平成9年度末 平成10年度中
      開始予定含む
      フロン回収実施
      市町村数
      1,010 1,905 2,361 2,586
      全市町村数に
      対する割合
      31% 59% 73% 80%
      • 注)平成9年度末の全国の市町村の合計数は3,233。ただしここで、東京特別区(23区) については、これをまとめて1と数えた。
    • ウ.都道府県・政令指定都市におけるフロン回収推進のための協議会等の設置状況 地域におけるフロン回収のための具体的な役割分担の合意形成等を行う場として、自治体 担当者及び関連事業者の参画したフロン回収推進協議会等を設置する都道府県・政令指定 都市数は年々増加しており、平成9年度末において全体の90%に達した。
      年度 平成7年度末 平成8年度末 平成9年度末 平成10年度中
      開始予定含む
      協議会設置都道
      府県等の数
      34(注2) 42(注3) 53(注4) 58(注4)
      全都道府県等
      数に対する割合
      58% 71% 90% 98%

      注1)都道府県・政令指定都市の合計数=59(都道府県47、政令指定都市12)
      注2)県の協議会に参加する2政令指定都市を含む。
      注3)県の協議会に参加する5政令指定都市を含む。
      注4)県の協議会に参加する8政令指定都市を含む。

3.今後のCFC等回収促進方策について

環境庁は、通商産業省をはじめ関係省庁と協力して、「オゾン層保護対策推進会議」にお いてCFC等の回収等に係る取組状況のフォローアップを行うこと等により、CFC回収 等の一層の促進を図ることとしている。

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局企画課広域大気管理室
室長   :一瀬壽幸 (内6560)
 室長補佐 :山崎元資 (内6562)
 担当   :小梶登志明(内6564)