報道発表資料

この記事を印刷
1997年03月19日

アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)科学企画グループ会合及び第2回政府間会合の開催について

アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)科学企画グループ会合及び第2回政府間会合が、それぞれ平成9年3月24~26日の3日間及び3月27日、28日の2日間、東京(東京国際フォーラム)で開催される。
 APNは、アジア太平洋地域の地球環境研究を推進するための関係各国の政府による支援組織として、環境庁が事務局を引き受け、平成8年3月に第1回政府間会合を開催し、今年度より具体的な支援活動を実施しているもの。
 今回の科学企画グループ会合及び政府間会合には、アジア太平洋地域の17カ国(オーストラリア、中国、インドネシア等)から、政府代表者、研究者等が参加。
科学企画グループ会合においては、平成8年度事業の内容報告が行われるとともに、平成9年度以降の2年間の科学的活動の具体的な進め方及び新たに支援すべき活動内容について検討する。
 また、政府間会合においては、科学企画グループ会合での検討結果の報告を受け、実施する科学的活動を決定するとともに、関連する会合での意思決定方法等APN活動の運営方法に関すること、平成8年度決算、及び今後の財政措置のあり方等を検討、決定する。
 環境庁としては、アジア太平洋地域での共同研究の推進が今後ますます重要になると考えており、APNの活動を積極的に支援していくこととしている。

1.趣 旨
 地球環境研究の推進には、世界的な協力が必要であり、学術レベルでは「地球圏・生物圏国際協同研究計画(IGBP)」等の国際共同プロジェクトが実施されている。これらを支援する政府レベルの取組として、各国政府は、「南北アメリカ」、「欧州・アフリカ」、「アジア太平洋」の3大地域ごとに、政府間の地球変動研究の支援組織を形成している。「アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)」は、その一つとして構築された。
 我が国は、APNの暫定事務局を引き受けており、実施段階に入ったAPNの具体的な活動を関係各国及び国際機関と協力して支援してきた。
 平成8年3月には、第1回政府間会合が開催され、APNの2年間の科学的活動プログラム並びにより長期的な組織体制及び機関としてのあり方が検討された。
 このたび、97年度以降の科学的活動の具体的な進め方及び新たに支援すべき活動内容について討議することを目的としてAPN科学企画グループ会合が、また、関連する会合での意思決定方法について意見交換することを目的として第2回政府間会合が開催される。

2.主 催
 APN事務局(日本国政府、環境庁)

3.開催日程
 科学企画グループ会合:平成9年3月24日(月)~26日(水)(3日間)
 第2回政府間会合  :平成9年3月27日(木)、28日(金)(2日間)

4.開催場所
 東京国際フォーラム (東京都千代田区丸の内3-5-1)

5.参加予定国
 オーストラリア、バングラデシュ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、ラオス、マレーシア、モンゴル、ニュージーランド、フィリピン、ロシア、スリランカ、タイ、米国

 我が国からは、環境庁、外務省、科学技術庁及び気象庁が出席予定。なお、石井環境庁長官が政府間会合の開会時に出席予定。

 この他、オブザーバーとして、国際学術団体から、地球変動に関する分析、研究、トレーニングのためのシステム(START)及びそのアジア地域各委員会、地球圏・生物圏国際協同研究計画(IGBP)等が参加。

6.主な討議事項は以下の通り。

(1)科学企画グループ会合

 (a)平成8年度の事業内容に関する報告

1)APNが開催したワークショップに関する報告
{1}土地利用被覆変化(Land Use/Land Cover Change)ワークショップ(平成8年11月、京都)
{2}地域気候モデルワークショップ(平成8年9月、米国コロラド州・ボールダー)
{3}地球変動に係る人間次元的研究ワークショップ(平成9年1月、インド・ニューデリー)

2)APN域内で行われる研究への支援
 世界気候研究計画(World Climate Research Programme(WCRP))の一つである全球エネルギー水循環研究計画(Global Energy and Water Experiment(GEWEX))において、現在アジアモンスーン・エネルギー水循環研究観測計画(GEWEX Asian Monsoon Experiment(GAME))の実施が準備されている。この研究は、アジアモンスーン地域の降雨と水資源の長期予測を可能とするために、その機構の解明を目的としてアジア諸国と共同で行われるもの(研究代表者:筑波大学 安成教授)。
 APNは、気象自動測定ネットワークの一部を支援しており、その実施内容等について報告。

3)関連する会合の報告
 気候変動と農業及び食物に関するワークショップ(インドネシア・ボゴール)、気候予測のアジア太平洋地域における応用に関する計画会合(インドネシア・バリ)の報告が行われる。

 (b)平成9及び10年度科学的活動に関する検討

1)地球環境変化の人間社会的側面研究
{1}ワークショップで提出された研究プロポーザル
 平成9年1月に開催されたワークショップにおける検討を経て、事務局に提出される研究プロポーザルについて検討する。
{2}IIASAオープンミーティングへの参加支援
 地球環境変化の人間社会的側面研究について、今後進めるべき研究内容を検討するための会合(オープンミーティング)が平成9年6月に国際分析応用システム分析研究所(IIASA、ウィーン)において開催される。 本研究分野は、APN参加各国の関心も高いため、APN域内各国からオープンミーティングへ研究プロポーザルを提出する研究者に対する参加支援を検討する。
{3}平成11年におけるオープンミーティングの誘致
 オープンミーティングは、平成7年に米国で開催され、平成9年にオーストリアで開催される予定である。一方、人口及びエネルギー消費の増加が著しいアジア太平洋諸国においては、人間社会的側面からの地球環境問題に関する研究の推進が強く求められていることから、平成11年に開催される予定のオープンミーティングをアジア域内に誘致することを検討する。
{4}アジア太平洋統合評価モデル(AIM)トレーニングの支援
 アジア太平洋地域の研究者のキャパシティビルディングの一環として、アジア地域における気候変動影響等の統合評価モデルであるAIMのデータ入力、モデル構築等に関するトレーニングを実施することを検討する。
{5}エココンシャスネス・ワークショップの支援
 環境問題への意識及び環境保全行動を喚起する意識構造に関する研究を進めるためのワークショップの開催支援を検討する。

2)土地利用被覆変化
 域内における土地利用被覆変化研究者のネットワークの構築、地理学における土地利用被覆変化研究の若手研究者の育成に関する支援を検討する。

3)東ユーラシア地域の研究
 東ユーラシア地域でのIGBPプログラムの実施に当たって拠点となる事務所が来年度ロシア・ハバロフスクに設置される。APNがその運営経費の一部を支援することを検討する。

4)GAME
 今年度の支援を拡大し、本格的な観測をAPN域内で展開することを検討する。

5)アジアモンスーンが米作に与える影響に関する研究
 アジアモンスーンが米作に与える影響に関して、APN域内における研究企画を開始することを検討する。

6)地域気候モデルに関する研究
 研究者のワークショップの企画及び若手研究者の米国への派遣を検討する。

7)地球環境変化に係る太平洋諸国間での科学的活動の展開のためのワークショップ
 フィジーで開催される同ワークショップへの参加を検討する。

8)酸性降下物研究
 南アジア地域において実施されている酸性降下物研究の、アジア太平洋地域への今後の展開について検討する。

9)コミュニケーション手法
 APNホームページが完成したことの紹介、START各地域委員会の活動の支援等を報告する。

 (c)科学的課題の支援提案の採択手順
 APN及びAPNメンバー国が支援する研究課題を選択する際の手順の明文化を検討する。

(2)政府間会合

(a)科学企画グループ会合結果を報告し、平成9年度及び10年度の活動について決定する。

(b)平成8年度決算及び今後の財政措置のあり方を検討する。

(c)政府間会合等の関連する会合での意思決定方法等APN活動の運営方法を決定する。

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
室長:名執芳博  (6743)
 補佐:宇仁菅伸介(6746)
 担当:瀬川恵子  (6747)