平成14年12月24日
保健対策

ダイオキシン類の野生生物における蓄積状況等及びダイオキシン類による人の暴露実態調査の結果について−平成13年度調査結果−

環境省では、ダイオキシン類による環境汚染の実態を把握するために、平成10年度から野生生物におけるダイオキシン類の蓄積状況に関する実態調査を経年的に行っている。平成13年度においては、蓄積状況の調査に加えて、新たに野生生物への影響に関する調査を行った。
 また、各種環境媒体等におけるダイオキシン類の測定値から人の暴露量を推計する調査についても、平成12年度に引き続き行った。
1.野生生物のダイオキシン類蓄積状況等調査の結果
(1)蓄積状況調査について
本調査は、鳥類(トビ、カワウ)、海棲哺乳類(オウギハクジラ、カズハゴンドウ、スナメリ)及び陸棲哺乳類(アカネズミ、タヌキ)について、ダイオキシン類の蓄積量を測定した。
平成12年度の調査結果と同様に、鳥類では他の生物に比較して蓄積量が高く、海棲哺乳類では陸棲哺乳類に比較して蓄積量が若干高かった。平成10年度以降の調査結果と比較すると、寿命の短いアカネズミでは平成11年度に有意に蓄積量が減少したものの、平成12及び13年度における蓄積量は、平成11年度からほぼ横ばいであった。
  
(2)影響調査について
ダイオキシン類の蓄積による影響について検討を行うため、薬物代謝酵素活性(肝臓中の酵素活性の変化)、病理組織学的変化(生殖器、甲状腺及びその他の主要臓器において光学顕微鏡下で観察した形態学的変化)及び血中ホルモン濃度(甲状腺ホルモン及び性ホルモン濃度の変化)に関する調査をトビを用いて行った。
結果は、大きな影響はみられなかったものの、脾臓等の臓器の病理組織学的変化及び甲状腺ホルモンの血中濃度の変化においては、ダイオキシン類蓄積との間に相関関係が認められ、今後、影響の指標として活用できる可能性が示唆された。
  
  
2.ダイオキシン類による人の暴露実態調査の結果
(1)人の経路別暴露量の推計について
環境省等の政府機関及び地方公共団体が行った平成12年度の調査結果から各媒体中の濃度の算術平均値を用いて我が国における各媒体経路別の平均的な暴露量を推計し、それらを総計した全媒体からの平均的な暴露量(個人総暴露量)を算出した。
個人総暴露量は1.50pg-TEQ/kg/dayとなり、食事からの摂取が約9割を占め、前年度推計結果より減少していた。
(2)統計的解析による暴露量の推計について
環境媒体中の濃度及び食事からの暴露量から統計的解析(幾何平均値及びモンテカルロ法)により、我が国における個人総暴露量の分布の範囲を推計した。



詳細(総合環境政策局環境保健部 報告書)
連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課環境リスク評価室
室   長 鈴木 幸雄(内6340)
 室長補佐 武井 貞治(内6343)
 専 門 官  石川 典子(内6345)