平成14年12月12日
大気環境

平成14年光化学大気汚染の概要−緊急時発令状況、被害届出状況−

  1.  環境省は、光化学オキシダント注意報等の発令状況、光化学大気汚染によると思われる被害届出状況について、毎年、その発生のおそれのある4〜10月の間を対象に、全国の都道府県から報告を求め、取りまとめている。
  2.  平成14年においては、23都府県で光化学オキシダント注意報等の発令があり、その発令延日数(都道府県単位での発令日の全国合計値)は184日であり、昨年の193日と比べ約5%減少した。光化学オキシダント濃度は気象条件等に大きく影響されるため、光化学オキシダント注意報等発令日数は、年により大きく増減するが、過去10年間でみると3番目にあたる。また、平成14年の光化学大気汚染によると思われる被害届出人数は、1,347人であり、昨年の343人に比べ大きく増加した。過去10年間でみると平成12年に次ぐ人数であった。
  3.  環境省では、平成12年度からインターネットにより、大気汚染状況をリアルタイムで知ることのできる「大気汚染物質広域監視システム(そらまめ君)」の運用を開始しており、光化学オキシダント注意報等の発令状況についても一般に情報提供している。また、平成14年6月から携帯電話にも光化学オキシダント注意報発令等の情報提供を開始した。
  4.  環境省としては、大気汚染物質の広域的な監視を実施するとともに、「大気汚染防止法」、「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」等に基づき、光化学オキシダント生成の原因物質である窒素酸化物、炭化水素類の一層の削減に努めていくこととしている。
     
1.光化学オキシダント注意報等発令状況
 平成14年においては、23都府県で光化学オキシダントに係る注意報等の発令があり、その延日数は184日であった。この中には千葉県において光化学オキシダント警報が発令された2日(7月4日、8月1日)が含まれる。注意報等発令延日数は昨年の193日(20都府県)と比較して約5%の減少であった。光化学オキシダントの濃度は気象条件等に大きく影響されるため、光化学オキシダント注意報等発令日数は、年により大きく増減するが、過去10年間でみると3番目にあたる。…(表1、図1)
 都道府県別では、埼玉県と千葉県が21日で最も多く、次いで東京都が19日、群馬県が15日、茨城県が13日となっている。…(表2、図2)
 月別では7月(67日)が最も多く、次いで6月、8月(50日)の順であった。…(表2)
 注)「注意報等」: 注意報及び警報をいう。
「注意報」 : 光化学オキシダント濃度の1時間値が0.12ppm以上で、気象条件からみてその状態が継続すると認められる場合に、人の健康及び生活環境に係る被害を未然に防止するため、大気汚染防止法第23条第1項の規定により発令される。
「警 報」  : 各都道府県等が独自に要綱等で定めているもので、一般的には、光化学オキシダント濃度の1時間値が0.24ppm以上で、気象条件からみてその状態が継続すると認められる場合に発令される。
「延日数」 : 都道府県を一つの単位として注意報等の発令日数を合計したものであり、同一日に同一都道府県内の複数の発令区域で注意報等が発令されても、当該都道府県での発令は1日として数える。
  
2.被害届出状況
 平成14年の光化学大気汚染によると思われる被害については、9都府県で届出があった。その人数は合計1,347人で、昨年の343人(8都府県)に比べ、大きく増加した。過去10年間で見ると平成12年に次ぐ人数であった。なお、平成14年の被害届出人数は、埼玉、千葉、東京、神奈川、群馬の小中学校等における7月4日の計1,154人の被害届出が大半を占めている。(表1)
 都道府県別では、埼玉県の466人が最も多く、次いで東京都の410人、千葉県の290人、神奈川県の124人となっている。月別では7月に1,218人、6月に86人、8月に43人となっており、それ以外の月には被害届出はなかった。(表3)
 集団被害発生(20人以上)は17件発生しており、集団被害届出人数は被害届出人数の86%を占めた。被害届出人数の内訳を見ると、全体のうち中学生が49%で最も多く、次いで小学生が47%を占めた。また、その多くは屋外での授業中等に発生した。被害症状としては、目及びのどに関する症状が多く、いずれも休息、洗眼、うがいによって回復した。
  
3.今後の対策
 環境省としては、引き続き、「大気汚染物質広域監視システム(そらまめ君)」を活用し、大気汚染物質の広域的な監視を実施するとともに、「大気汚染防止法」、「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」等に基づき、光化学オキシダント生成の原因物質である窒素酸化物、炭化水素類の一層の削減に努めていくこととしている。
  
  
(参考)
1.光化学オキシダントの発生機構
 光化学オキシダントは、工場や自動車から排出される窒素酸化物及び炭化水素類を主体とする一次汚染物質が、太陽光線の照射を受けて光化学反応を起こすことにより発生する二次的な汚染物質である。日差しが強く、気温が高く、風が弱い日等に高濃度になりやすい。
  
2.緊急時の措置の概要
 大気汚染防止法においては、光化学オキシダントの濃度が高くなり、被害が生ずるおそれがあるときは、都道府県知事等が注意報を発令し、報道、教育機関等を通じて、住民、工場・事業場等に対して情報の周知徹底を迅速に行うこととなっている。また、この際、光化学オキシダントの原因物質である窒素酸化物及び炭化水素類の排出削減のため、工場・事業場等に対してはばい煙排出量の削減について、自動車の使用者に対しては運転の自主的制限について、それぞれ協力を求めることとなっている。
  
3.大気汚染物質広域監視システム(愛称:そらまめ君)
 全国の大気環境データや光化学オキシダント注意報等発令状況などをリアルタイムで収集し、地図情報等に加工しインターネットにより情報提供を行うシステムである。平成12年6月に、環境省が光化学オキシダントによる被害の未然防止等を目的として構築したシステムである。平成14年6月からは、システムを改良し、携帯電話にも光化学オキシダント注意報発令等の情報を提供している。
URL(http://w-soramame.nies.go.jp/)

添付資料

連絡先
環境省環境管理局大気環境課
課   長 柏木 順二(6530)
 課長補佐 四方 俊郎(6538)
 担   当 佐々木淳一( 〃 )