報道発表資料

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2002年12月04日
  • 保健対策

「東アジアPOPsモニタリングワークショップ」の成果について

11月19日に開催についてお知らせいたしました「東アジアPOPsモニタリングワークショップ」(メルパルク東京(東京都港区))が、平成14年12月2~3日に開催され、以下の成果が得られましたのでお知らせいたします。
  1. 開催状況
      
    (1) 開催日時、場所
    平成14年12月2日(月)及び3日(火)
     メルパルク東京(東京都港区)
     (参考:12月4日には独立行政法人国立環境研究所へのスタディービジットを実施)

    (2) 議題
    • 東アジア諸国におけるPOPs汚染実態の把握
    • 東アジア諸国におけるPOPsモニタリングの在り方等
    (3) 参加者
     Dr. Bo Wahlström(国連環境計画ケミカルズ上級科学アドバイザー)
     Mr. Choei Konda(国連環境計画アジア太平洋地域事務所次長)
     Mr. Laurent Granier(地球環境ファシリティPOPsプログラムマネージャー)
     東アジア地域10ケ国(我が国のほか、インドネシア、韓国、カンボジア、シンガポール、中国、フィリピン、タイ、ベトナム、マレーシア)の専門家及び行政官

      

  2. 結果
      
     会議の議長は、安達一彦環境省環境安全課長が行い、次のとおり議長総括(Chairman’s Summary)をとりまとめた。
    (1)  東アジアPOPsモニタリングワークショップが、2002年12月2日から3日(注:4日はスタディービジット)まで、東京において開催された。会議は日本の環境省が主催し、東アジア地域の10ヶ国から参加者があり、うち7ヶ国(インドネシア、韓国、カンボジア、日本、フィリピン、ベトナム、マレーシア)から環境モニタリングの専門家及び行政官、タイから行政官、中国及びシンガポールから専門家が参加した。また、国連環境計画(UNEP)ケミカルズ、国連環境計画アジア太平洋地域事務所(UNEP/ROAP)及び、地球環境ファシリティ(GEF)、北極圏モニタリング評価プログラム(AMAP)及びGEF/UNEPのPTSプロジェクトからPOPs担当者が参加した。
    (2)  南川秀樹環境省環境保健部長から、POPs問題については地域協力が重要であるとの開催挨拶があった。
    (3)  参加者は、東アジア諸国におけるPOPsに関する環境汚染の状況に関する情報を交換した。
    (4)  参加者は、POPsの環境汚染に関する情報が東アジア諸国において十分に整備されていないことから、この分野の一層の取組が必要であると認識した。
    (5)  参加者は、POPs条約16条への対応として、東アジア諸国におけるPOPsの環境汚染を明らかにする必要性があることに同意した。
    (6)  参加者は、東アジア諸国におけるPOPsの環境汚染の状況を明らかにするためには、同地域における関係国の協調的な取組が必要であることを認識した。
    (7)  参加者は、東アジア諸国におけるPOPsモニタリングを推進するに当たり、資金及び技術の確保が重要な事項であることを認識した。
    (8)  参加者は、2003年3月に予定されている国連環境計画の全地球規模POPsモニタリングワークショップでの5つの課題について議論を行った。5つの課題に入る前にこの地域の定義(範囲)が議論され、参加者は、地域の定義(範囲)は科学的理由、既存の体制などの様々な要因を考慮して精査されるべきであることを認識した。
    1)  ストックホルム条約のための評価のニーズ
    • 環境中におけるPOPsの存在、濃度、傾向についてのモニタリングデータを通じた評価が必要であること認識された。
    2)  物質と分析技術の選択
    • 新しいPOPsについて将来考慮されるべきであるが、12のPOPsはモニタリングの優先物質である。
    3) 場所の選択、マトリックス(手順等)及びサンプリング手法
    • サンプリング場所、環境媒体、必須のモニタリングデータを含むサンプリング戦略を決める。
    • 地域プログラムによりサンプリングと分析の方針を協調することができれば、発生源と国内汚染傾向の把握を主な目的とした国内モニタリング計画を地域モニタリングに活用することができる。
    4) QA/QC、データ処理
    • QA/QCの重要性が認識された。
    5) データコミュニケーション
    • 専門家及び行政機関の効果的な情報共有と一般への情報提供のために、データコミュニケーションは必須である。
    • モデルの利用は、分析が必要な媒体の優先度の検討を助けることが可能である。
      参加者は、サンプリング、分析方法、分析実施要領の調和等の地域モニタリング計画に関する技術的な問題について、政府によって選定された専門家によるワーキンググループを創設する必要性を認識した。
      
    (9)  参加者は、(8)の議論の成果を国連環境計画が開催する「地球規模のPOPsモニタリングに関するワークショップ」へ十分に反映されるべきであることに合意した。
    (10)  参加者は、地域内の国に関連のある様々な状況を考慮し、東アジア地域に合った環境モニタリングのための体制を創設することにより、地域間協力を促進するべきであることを勧告した。
    (11)  参加者は、東アジア地域のPOPsモニタリングの技術的な議論は第2回目のワークショップの開催により開始されるべきであることに合意した。日本の環境省は、このワークショップを主催することを表明した。
    (12)  東アジア諸国の参加者は、国連環境計画ケミカルズ、国連環境計画、国連環境計画アジア太平洋地域事務所及、地球環境ファシリティ及び北極圏モニタリング評価プログラム(AMAP)及びGEF/UNEPのPTSプロジェクトからの出席者に対し、感謝の意を表明した。また、参加者はこのワークショップを日本の環境省が主催し、国立環境研究所が大きく貢献したことに対し、感謝の意を表明した。
連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課課   長:安達 一彦
課長補佐:森下 哲 (6353)
 専 門 官 :中嶋 徳弥(6361)