報道発表資料
今般、昭和60年度から平成6年度にかけて実施された「第1次75ホン対策」に引き続き平成4年度から8年度にかけて実施された「第2次75ホン対策」の達成状況を調査した結果、全ての測定地点において75デシベル以下となっていることが確認された。
しかし、第1次及び第2次75ホン対策区間以外の区間において、いまだ75デシベルを達成していない地域が残されていることから、引き続き環境基準の達成に向け、「第3次75デシベル対策」を推進するよう、関係行政機関に要請することとしている。
※新幹線鉄道騒音の単位については、平成5年よりホンに代わりデシベルを用いているところである。また、75ホンと75デシベルとは同じ量である。
- 1.調査方法
- (1)測定実施自治体
岩手県、宮城県、福島県、栃木県、茨城県、新潟県、群馬県、埼玉県、神奈川県、静岡県、愛知県、岐阜県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、山口県、福岡県
- (2)測定期間
平成9年5月から7月まで
- (3)測定地点
測定地点は、第2次75ホン対策区間の総延長において概ね1kmに1地点となるよう選定し、軌道中心から25mの地点で測定した。
なお、府県別の測定地点数を表1に、構造別の測定地点数を表2に示す。
表1 府県別測定地点数 線名 府県名 測定
地点数線名 府県名 測定
地点数線名 府県名 測定
地点数線名 府県名 測定
地点数東海道
新幹線神奈川
静岡
愛知
岐阜
滋賀
京都
大阪15
20
6
2
10
34山陽
新幹線大阪
兵庫
岡山
広島
山口
福岡2
25
9
8
8
4東北
新幹線埼玉
茨城
栃木
福島
宮城
岩手5
2
11
4
3
5上越
新幹線埼玉
群馬
新潟14
6
11計 60 計 56 計 30 計 31 合計 177 表2 構造別測定地点数 構造別 線名 合計(割合) 東海道 山陽 東北 上越 線路構造 高架 21 54 30 31 136(76.8) 盛土 36 2 - - 38(21.5) 平地 - - - - 0(0.0) 切取り 3 - - - 3(1.7) 軌道構造 スラブ
軌道普通型 - 3 7 6 16(9.0) 防振型 - 9 16 23 48(27.1) 弾性直結型 - - 3 1 4(2.3) バラスト軌道 60 44 4 1 109(61.6) 防音壁構造 直型 41 30 8 11 90(50.8) 干渉型 19 9 1 - 29(16.4) 逆L型 - 17 21 20 58(32.8) (注)直型及び逆L型に干渉型を併設している防音壁は、干渉型に含めた。
- (4)測定方法
環境基準の告示に定める方法に従って、連続して通過する上り下り列車の合計20本の騒音を測定し、そのうちの上位半数をパワー平均(測定されたピーク騒音のエネルギーの平均)したものを各々の地点の評価値とした。
- (1)測定実施自治体
- 2.調査結果
-
(1)騒音測定結果
測定の結果、路線別の騒音の最大値、最小値及び平均値は表3に示すとおりで、最大値については東海道、山陽及び上越新幹線では75デシベルとなっており、平均値については各路線ほぼ同じとなっている。
また、第2次75ホン対策区間における全測定地点177地点の騒音レベルの分布は図1に示すとおりで(路線別の騒音レベルの分布は図2~5参照)、騒音レベルの分布状況は、73デシベルに主として分布しており、71~75デシベルが全体の約8割を占めている。
表3 新幹線別騒音レベル (単位:デシベル) 最大値 最小値 平均値 東海道新幹線 75 67 73.1 山陽新幹線 75 68 72.1 東北新幹線 74 69 71.8 上越新幹線 75 68 71.6 全体 75 67 72.3 - 図1
- 騒音レベルの分布状況(全体)
- 図2
- 騒音レベルの分布状況(東海道新幹線)
- 図3
- 騒音レベルの分布状況(山陽新幹線)
- 図4
- 騒音レベルの分布状況(東北新幹線)
- 図5
- 騒音レベルの分布状況(上越新幹線)
(図1~5別添)
- (2)75デシベルの達成状況
東海道新幹線、山陽新幹線、東北新幹線及び上越新幹線における第2次75ホン対策区間においては、全ての測定地点において、75デシベル以下とすることが達成されていた。
- (3)騒音レベル等の推移
東海道・山陽新幹線については昭和60年度に、東北・上越新幹線については昭和62年度に環境基準達成状況調査を実施している。今回の第2次75ホン対策達成状況調査地点は従前の環境基準達成状況調査の調査地点とは必ずしも一致しないため、騒音レベル等の推移を厳密に比較・評価することは困難であるが、両調査の結果を比較することにより、75ホン対策の推進による騒音の改善状況の一定の傾向を把握することは可能である。
このような観点から、今回の調査結果と環境基準達成状況調査結果とを比較すると、表4に示すとおりである。
騒音レベルの平均値は減少しており、また、75ホンを超える測定地点数は無く、騒音の状況は明らかに改善している。
表4 騒音レベルの推移 環境基準達成状況調査結果 今回の調査結果 調査年度 昭和60年度 昭和62年度 平成8年度 東海道
新幹線測定地点数 79 - 60 騒音レベル平均値 75.6[dB] - 73.1[dB] 75ホンを超えた
地点数割合61[%] - 0 山 陽
新幹線測定地点数 51 - 56 騒音レベル平均値 76.6[dB] - 72.1[dB] 75ホンを超えた
地点数割合71[%] - 0 東 北
新幹線測定地点数 - 50 30 騒音レベル平均値 - 74.8[dB] 71.8[dB] 75ホンを超えた
地点数割合- 46[%] 0 上 越
新幹線測定地点数 - 25 31 騒音レベル平均値 - 74.1[dB] 71.6[dB] 75ホンを超えた
地点数割合- 40[%] 0 - (4)車両型式別騒音レベル
地点で測定した列車ごとのピークレベルを0系、100系、300系及び500系(東海道、山陽新幹線)並びに200系、E1系及びE3系(東北・上越新幹線)の車両型別に分類し、速度ごとの騒音レベルの平均値を比較したものを表5及び表6に示す。
新幹線騒音については、連続して通過する上り下り列車の合計20本の騒音を測定し、このうち上位半数をパワー平均したものを評価しているが、測定場所の近接側線路を通過した列車と測定場所と反対側線路を通過した列車とでは測定場所における騒音レベルに差があることから、近接側を通過する場合と遠隔側を通過する場合に区分して集計し、解析した。
表5 車両型式別騒音レベル(東海道・山陽新幹線) (単位:デシベル) 車両
型式列車
通過
位置平均列車速度[km/h] 160以上
180未満180以上
200未満200以上
220未満220以上
240未満240以上
260未満260以上
280未満300 0系 全体 69.3(68) 70.4(75) 71.8(397 72.6(32) 近接 70.4(38) 72.5(33) 73.6(200 74.8(16) 遠隔 68.0(30) 68.8(42) 70.0(197 70.4(16) 100系 全体 68.5(89) 69.7(108 70.8(392 71.2(109 近接 69.7(53) 71.3(64) 72.3(204 73.2(55) 遠隔 66.7(36) 68.3(44) 69.1(188 69.1(54) 300系 全体 66.6(56) 67.9(60) 69.2(104 70.0(134 71.4(175 71.7(246 近接 68.2(27) 69.3(33) 70.2(70) 71.8(66) 72.8(89) 73.5(122 遠隔 65.1(29) 66.1(27) 68.2(34) 68.3(68) 70.0(86) 70.1(124 500系 全体 73.5(2) 近接 75.0(1) 遠隔 72.0(1) 表6 車両型式別騒音レベル(東北・上越新幹線) (単位:デシベル) 車両
型式列車
通過
位置平均列車速度[km/h] 160以上
180未満180以上
200未満200以上
220未満220以上
240未満240以上
260未満260以上
280未満300 200系 全体 68.3(28) 68.6(102 69.8(345 70.8(294 近接 69.4(21) 70.4(33) 71.3(195 72.4(150 遠隔 64.9(7) 67.8(69) 68.2(150 69.1(144 E1系 全体 72.5(4) 71.5(6) 72.1(43) 71.1(50) 近接 74.3(3) 71.5(2) 73.0(23) 73.1(21) 遠隔 67.0(1) 71.5(4) 70.1(20) 69.7(29) E2,3系 全体 71.0(1) 69.0(1) 68.0(11) 70.8(5) 70.2(18) 近接 71.0(1) 69.0(1) 70.3(4) 71.3(4) 71.3(9) 遠隔 66.9(7) 69(1) 69(9) - ※200系とその他の型式の車両とが連結されている場合については、200系として整理した。
- ※※括弧内は当該騒音レベルを測定した列車の本数である。
- ※※これらの騒音レベルについては、型式別、速度別に集計したものであり、環境基準の評価に用いるものではない。
それぞれ速度が高くなるにつれて概ね騒音レベルも高くなる傾向にあった。同程度の速度で走行している場合の騒音レベルについては、東海道・山陽新幹線では0系、100系、300系の順で低くなり、東北・上越新幹線ではE1系、200系、E2及びE3系の順で低くなっていた。
また、測定地点の近接側からの騒音レベルが遠隔側からの騒音レベルよりも大きくなっていた。
-
(1)騒音測定結果
- 3.今後の対策
平成4年度から進めてきた第2次75ホン対策区間における対策については、平成8年度末までに達成された。
第2次75ホン対策区間は、新幹線鉄道の両側総延長約3,700kmのうちの約170kmの区間であり、75デシベルを超えている地域が当該対策区間以外に残されている状況であることから、更に対策地域の拡大を図り、環境基準(主として住居の用に供される地域:70デシベル以下、商工業の用に供される地域等:75デシベル以下)の達成に向けて対策を推進していく必要がある。このため、環境庁としては、以下のとおり関係機関に要請することとしている。
- (1)音源対策等
- {1}音源対策が新幹線鉄道の騒音の防止又は軽減を図る上で、最も基本的な施策であることに鑑み、第1次及び第2次75ホン対策区間以外においても引き続き音源対策を推進する。特に、東海道・山陽新幹線沿線の住宅集合地域に準じる地域及び東北・上越新幹線沿線の住宅立地地域(住宅が点在する地域を除く。)のうち75デシベルを超える地域にあっては、平成14年度末を目途に75デシベル以下とするとともに、その他の地域についても環境基準の達成に向けて対策の実施に努める。
- {2}環境基準を超える区域の住宅防音工事については、音源対策の進捗状況等を勘案しつつその推進を図る。
- {3}今後とも騒音低減技術の開発に努めるとともに、その成果のうち実施可能なものから逐次音源対策への活用を図る。
- (2)土地利用対策
環境基準の円滑な達成のためには土地利用の適正化を図ることが必要であることから、市街化のおそれのある沿線地域においては、土地利用計画の決定又は変更に際し、新幹線鉄道騒音の影響に配慮した適正な土地利用を確保するために必要な措置が講じられるよう努める。
また、沿線の既成市街地において市街地再開発事業が計画される場合には、新幹線鉄道騒音防止の観点から、可能な限り望ましい公共施設等の配置が図られるように努める。
- (1)音源対策等
添付資料
- 連絡先
- 環境庁大気保全局自動車環境対策第一課
課 長 :鈴木 安次(内線6520)
補 佐 :徳田 博保(内線6521)
専門官 :今田 滋彦(内線6523)