報道発表資料

平成10年6月29日 この記事を印刷

平成9年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書について

 環境庁は、平成9年度のオゾン層の破壊の状況、CFC(いわゆるフロンの一種)等の大気中濃度の状況等の監視結果を取りまとめた。主な内容は、以下のとおりである。

  1. 南極域上空において、最大規模であった過去5年と同程度のオゾンホール が出現するとともに、北半球高緯度域において、1997年3月から4月にかけて大 規模なオゾン減少が観測された。
  2. オゾン全量の長期的傾向については、低緯度を除いた地域で減少傾向にあり、高緯度ほどその傾向が強い。我が国上空でも、札幌で統計的に有為な減少傾向が確認されている。
  3. 北半球中緯度においては、CFCの大気中濃度の増加はほとんど止まって おり、1,1,1-トリクロロエタンの大気中濃度は減少に転じている。一方、HCF C、HFCについては、最近増加の傾向にある。
  4. 晴天時等の同一条件下では、オゾン全量が減少すれば紫外線の地上照射量 が増加する関係にあることが確認されているが、我が国においては、紫外線の地上照射量の明らかな増加傾向は見られていない。

1.背景

  境庁では、今般、「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」(オゾ保護法)第22条第2項の規定に基づき、「平成9年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書」を取りまとめた。取りまとめに当たっては、専門家(成層圏オゾン層保護に関する検討会科学分科会及び環境影響分科会(「参考」参照))の意見を踏まえた。

2.平成9年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書の主な内容

 (1) オゾン層の状況  1997年の南極域上空のオゾンホールの規模は、最大規模であった過去5年と同程度のものであった。日本上空のオゾン全量について平年と比較すると、国内4観測地点(札幌、 つくば、鹿児島、那覇)のうち、鹿児島及び那覇で平年より多いオゾン全量が観測された月もあったが、全体としては平年並か平年より少ない状況が見られた。年の前半は、札幌 、つくばでオゾン全量が少ない状況が連続して現れ、特に3、5月に顕著であった。北半球高緯度域では、3月から4月にかけて大規模なオゾン減少が現れた。
 オゾン全量の長期的傾向については、低緯度を除いた地域では減少傾向が確認されており、高緯度ほどその傾向が強く、減少は春先に顕著である。日本上空でも、札幌で統計的 に有意な減少傾向が確認されている。
 (2) CFC等の大気中濃度
 CFC等の大気中濃度は依然として増加しているが、北海道の、北半球中緯度の平均的 な状況を代表するとみなせる観測点においては、最近、CFC-11、12、113の濃度の増加 がほとんど止まっている(増加率は年0〜2%となっている)ほか、大気中寿命の短い1,1 ,1-トリクロロエタンについては、減少に転じている。また、都市域の状況の一つとして 川崎市で測定したCFC-11、12及び四塩化炭素の大気中の濃度については減少傾向にあ り、次第に北海道におけるこれらの物質の大気中濃度(近隣にCFC等の排出源の少ない 地域における値)のレベルに近づきつつある。
 一方、HCFC-22、141b、142b及びHFC-134aの北海道における大気中濃度につ いては、最近増加の傾向にある。
 (3) 太陽紫外光の状況
 我が国においては、オゾン全量の統計的に有意な減少傾向が確認されている札幌を含 め、国内4ヶ所におけるUV−Bの観測値には、観測開始以来、累年平均値に対して著しく大きい変化は見られない。また、オゾン全量の変化に敏感な波長300nmの紫外光につい ても、明らかな増加の傾向は見られていない。ただし、UV−Bの観測値は、オゾン全量 のほか、天候(雲量)や大気混濁度等の影響を受けることに留意する必要がある。
 なお、UV−B量とオゾン全量の関係については、1997年の国内4ヶ所における晴れた 日のオゾン全量とUV−Bの観測結果に基づく気象庁の解析で、太陽高度角が同じであれ ば、オゾン全量の減少に伴いUV−Bの地上照射量が増加することが確認されている。

(参考)
 成層圏オゾン層の破壊に伴い、有害な紫外光(UV−B)の地上への照射量が増大した場合には、皮膚がんや白内障の増加、さらに免疫抑制などの人の健康への影響のほか、陸上、水界生態系への影響や大気汚染の増加が懸念される。

(参考)

成層圏オゾン層保護に関する検討会
科学分科会
座長 富永   健 東京大学名誉教授
委員 秋元   肇 東京大学先端科学技術研究センター教授
  岩坂  泰信 名古屋大学太陽地球環境研究所教授
  小川  利紘 宇宙開発事業団地球観測データ解析研究センター
研究ディレクター
  中根  英昭 国立環境研究所大気圏環境部上席研究官
  宮内  正厚 気象庁観測部環境気象課オゾン層情報センター所長
  村松  久史 名城大学理工学部教授
  山内   恭 国立極地研究所北極圏環境研究センター教授
環境影響分科会
座長 大城戸 宗男 東海大学医学部教授
委員 青木  康展 国立環境研究所環境健康部
病態機構研究室長
  近藤  矩朗 東京大学大学院理学系研究科教授
  滝澤  行雄 国立水俣病総合研究センター所長
  竹内  裕一 北海道東海大学工学部教授
  中根  英昭 国立環境研究所大気圏環境部上席研究官
連絡先
環境庁大気保全局企画課
課   長 :櫻井 正人(内6510)
広域大気管理室
 室   長 :一瀬 壽幸(内6560)
 室長補佐 :山崎 元資(内6562) 
 担   当 :木野 修宏(内6562)

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