報道発表資料
今回の政府間会合には、アジア太平洋地域から過去最大の18か国の政府及び4つの国際機関の代表が参加し、1)APNの中長期的な活動方針を定めたAPN戦略計画の策定、2)APNセンター(仮称)への事務局移転、3)平成11年度にAPNが支援するプロジェクトの決定等が行われた。
1.趣旨
世界的な協力が必要な地球環境研究の推進のためには、各国政府は、「南北アメリカ」 、「欧州・アフリカ」、「アジア太平洋」の各地域ごとに、政府間の地球変動研究の支援組織を形成している。「アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)」は、この「アジア太平洋」地域の組織であり、我が国は、その事務局を引き受けるなど、その発展に中心となって取り組んできている。
今回は、APNの第4回の政府間会合であり、APNの中長期的な活動方針を決めるAPN戦略計画の策定、神戸市内に設置されるAPNセンター(仮称)への事務局移転、平成11年度に新たに支援すべき研究プロジェクトの決定の他、平成12年度のAPNの優先課題の選定、APNの組織規定の改定、支援プロジェクト提案基準の改定、各国によるAPNの認定を目的とした文書の検討等について討議した。
2.主催:APN(事務局:環境庁地球環境部研究調査室)
3.開催日程:平成11年3月18日(木)~20日(土)
4.開催場所:兵庫県神戸市神戸国際会議場(神戸市・ポートアイランド)
5.参加国
オーストラリア、バングラディッシュ、カンボジア、中国、インドネシア、日本、韓国、ラオス、マレーシア、モンゴル、ネパール、パキスタン、フィリピン、ロシア、タイ、米国、ベトナム、<オブザーバー参加:カナダ>(計18か国)
我が国からは、開催国代表として、真鍋大臣が閉会式で挨拶を行った他、環境庁・浜中 地球環境部長、環境庁国立環境研究所・小野川主任研究企画官、外務省担当官の他、各国の科学者の代表で構成されるAPN科学企画グループ会合(SPG)の共同議長を務める
樋口敬二・名古屋市科学館館長らが出席した。また、APN事務局から、森APN事務局 長らが出席した。
この他、APNとの連携を図るため、国際的なネットワーク組織として、南北アメリカ における地球変動研究支援機関である「米州地球変動研究機関(IAI)」、国際学術団
体である「地球変動に関する分析、研究、トレーニングのためのシステム」(START )及びそのアジア地域各委員会並びに「地球環境戦略研究機関(IGES)」の各機関が
出席した。
6.本会合の主な結果
環境庁・浜中地球環境部長から開会の挨拶、兵庫県の貝原知事から歓迎の挨拶が行われ た。その後、議長には浜中部長が、副議長にはマレーシアのスブラマニアム・モテン氏 (Dr.Subramaniam MOTEM)及びパキスタンのマブーブ・エラヒ氏(Mr.Mahboob ELAHI)が 選出され、議事が進められた。主な結果は以下のとおりである。
(1) APN戦略計画の策定
APNの活動をより効果的かつ効率的に実施するため、APNの中長期的な活動方針を 定めたAPN戦略計画が策定された。APN戦略計画の主な内容は以下のとおりである。
{1} |
事務局機能の強化
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{2} |
地域に関連した地球変動研究の推進
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{3} |
政策決定者との協力関係の強化
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{4} |
地域諸国の科学及び技術能力の支援強化
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(2) APNセンター(仮称)への事務局移転
平成11年の夏ごろを目途に、新たに神戸市に設置されるAPNセンター(仮称)に APN事務局を置くことが紹介され、歓迎された。
また、APNセンター(仮称)の設置を記念し、本年秋に「アジア太平洋地域における地球環境変動への挑戦」をテーマとした記念シンポジウムを開催することが合意された。
(3)平成11年度予算及び平成11年度支援プロジェクトの検討
平成11年度においては、総額で約2億1千万円で事業を実施することが決定された。その内訳は、わが国からの供出額が、兵庫県からの協力を含め、昨年度と比較して約
30%増加し、約1億6千5百万円、米国からの供出額も約30%増加して約31万ドル( 約4千万円)となっている。
さらに、科学企画グループ会合から推薦のあった12のプロジェクトをAPNとして支 援すること等が合意された。
今回の会合で合意された支援プロジェクトのうち主なものは以下のとおりである。
a. | 第3回人間社会的側面研究オープン会合の支援 平成11年6月に日本で開催される第3回人間社会的側面研究オープン会合の開催を支 援する。 |
b. | IGBP(地球圏・生物圏国際協同研究計画)コングレスの支援 平成13年のIGBPオープン科学会合の開催に向け、モンスーンアジア地域の地球環 境への影響等について議論するために平成11年5月に日本で開催されるIGBPコング レスの開催を支援する。 |
c. | 東南アジア地域における陸域炭素貯蔵量に及ぼす土地利用変化の影響の評価に関する トレーニングワークショップの支援 京都議定書に対応するために、東南アジア地域における陸域炭素貯蔵量に及ぼす土地利 用変化の影響の評価を行う研究者の能力を向上させるとともに、政策決定者及び研究者との間の連携を強化するトレーニングワークショップの開催を支援する。 |
その他の支援プロジェクトは、温帯東アジア地域の土地利用変化に関するワークショッ プ、東南アジア地域のエルニーニョ及びラニーニャが人間社会的側面に及ぼす影響と政策 決定に関するワークショップ等である。
(4) その他
次回政府間会合は、科学企画グループ会合と併せて、パキスタンで同時開催すること が決定した。
- 連絡先
- 環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課研究調査室
室 長: 森 秀行 (内線6743)
補 佐: 水野 理 (内線6746)
担 当: 東岡 礼治 (内線6747)