平成26年12月4日
地球環境

「低炭素アジア研究ネットワーク(LoCARNet)」第3回年次会合の開催結果について(お知らせ)

 「低炭素アジア研究ネットワーク(LoCARNet)」の第3回年次会合が11月24日~26日、インドネシア・ボゴールにて開催されました。
 会合では、アジアでの低炭素社会実現に向け、喫緊でアジア地域に特徴的な課題について参加者間で活発な議論がなされ、最終日には「気候安定化に向けアジアは準備万端である」とのLoCARNetボゴール宣言を採択し閉会しました。
 次回会合は、2015年秋にマレーシア・ジョホールバルにて開催の予定です。

1.会合概要

  日程:2014年11月24日(月)~26日(水)

  主催(順不同):ボゴール農業大学、バンドン工科大学、インドネシア国家開発計画庁、インドネシア環境・林業省、日本国環境省、独立行政法人国立環境研究所(NIES)、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)

  開催場所:Aston Bogor Hotel and Resort(インドネシア・ボゴール)

  出席者数:24日(全体会合) 171名

       25日(分科会) 120名

       26日(分科会及び総括セッション) 84名

2.主な成果とその活用

・ 発展著しいアジアは、現在のままエネルギー多消費型発展を続けると、2050年には世界のおよそ半分の温室効果ガスを排出するようになり、これはこの地域のみならず全世界の人々に深刻な影響を与えることや、現在の力強い発展を低炭素社会構築の方向に導くことができれば、アジアが低炭素発展において世界をリードできるとの意見が述べられた。

・ 年次会合最終日に採択されたLoCARNetボゴール宣言「気候安定化に向けアジアは準備万端である」では、アジアの前向きな発展と潜在可能性が示された。例えば、アジアの幾つかの国で行われている、温室効果ガスの削減可能性を定量的に示す統合評価モデルを使った政策形成や、衛星を使った温室効果ガスモニタリングなどのツール・エコハウスやグリーンビルディング、温室効果ガスモニタリングに必要な低炭素技術・地域研究資金・低炭素技術やインフラの導入を促進するような資金メカニズム、域内の複数の大学・大学院による共通カリキュラムの提案や、研修センターの設置等による域内の人材の育成等、低炭素発展に向けた様々な準備が整っていることが示された。

・ 一方、今後低炭素社会への実装に向け、様々なステークホルダー、とりわけ実行主体である経済界・産業界との更なる連携が図られるべきこと、上記の前向きな兆しをさらに促進していくため、域内の知識集約・知識共有の仕組みを考えていくべきことが課題として挙げられた。

・ そのほか、今後低炭素発展研究が、貧困撲滅、低炭素発展における女性の役割、ライフスタイル変化などをも踏まえ、より学際的な広がりを持っていくべきとの指摘があった。

・ 本会合の成果は、今月ペルー・リマで開催される気候変動枠組条約第20回締約国会議(COP20)のサイドイベント等で発表・報告される。また、本会合の主要な見解や各セッションの要約等は統合報告書にまとめられ、低炭素社会・低炭素発展に関連した様々な会合にて積極的に発信される。

(参考)LoCARNet概要

(1)経緯

 アジアの低炭素発展に資する研究及びその実現に向けた人材育成について日本には大きな蓄積がある。NIESが主導する研究チームはアジア太平洋統合評価モデル(Asia-Pacific Integrated Assessment Model: AIM)を用いて各国の低炭素成長の可能性を現地の研究者とともに研究してきており、また、IGESに事務局をおく低炭素社会国際研究ネットワーク(LCS-RNet)は、上記研究チームとともにアジア数か国において研究者・政策担当者の対話の促進、研究者間の連携を支援するワークショップを開催してきた。こうした活動の結果、アジアにおける低炭素知識を地域で共有すべきとの必要性が浮かび上がってきた。

 LoCARNetは、2011年10月にカンボジア・プノンペンで開催されたASEAN+3環境大臣会合において日本政府とIGESより提案され、2012年4月に東京で開催された「東アジア低炭素成長パートナーシップ対話会合」にて正式に立ち上げられた。以来、ASEAN+3環境大臣会合に活動進捗を毎年報告してきており、低炭素アジアに向けた知識中核として機能することが期待されている。2012年10月にはバンコク(タイ王国)にて第1回年次会合を、2012年7月には横浜で第2回年次会合を開催し、また、アジアの複数国で研究者と政策担当者による政策対話や能力構築ワークショップ等を多数実施してきている。

(2)目的

 LoCARNetは、研究者と政策担当者の対話を進めていくことで、低炭素成長に向けた政策研究を促進していくこと、また、研究能力や知識がしっかりとそれぞれの国に根付いた(オーナーシップをもった)形で、各々の国の中での研究者間の協力を進めていくこと、さらに、域内における知識共有・情報交換の機会を提供することにより、南北協力のみならず南南地域協力に基づいたアジア地域の研究能力を高めていくことを目指している。

関連Webページ

LoCARNet 概要

http://lcs-rnet.org/about_locarnet/ (英語)

連絡先
環境省地球環境局国際連携課国際協力室
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8248
室  長: 木 野 修 宏 (内線:6765)
室長補佐: 山 我 哲 平 (内線:6764)
担  当: 植 松 朋 樹 (内線:6708)