平成26年6月20日
自然環境

モニタリングサイト1000 平成25年度シギ・チドリ類調査 冬期調査結果について(お知らせ)

環境省生物多様性センターでは、モニタリングサイト1000の一環として実施しているシギ・チドリ類調査について、平成25年度の冬期(2013年12月~2014年2月)に行った調査結果をまとめました。今年度は連続して調査を行っている調査サイトの最大数の合計が近年漸減傾向にあったところ、32,367羽と調査開始以来最も少ない数となりました。総観察個体数の98.5%を占めている関東以南の調査サイトのほとんどで前年度に比べ減少しました。また、シギ・チドリ以外では干潟や湿地に生息する絶滅危惧種であるツクシガモ、クロツラヘラサギ、ズグロカモメについては前年度よりも観察数が増加しており継続的な増加が認められました。

1.平成25年度冬期調査概要

・調査期間 : 平成25(2013)年12月1日から平成26(2014)年2月28日

・調査地  : 116地点

・調査方法 : 各サイトに調査員を配置し、双眼鏡等を使用した目視により、シギ・チドリ類の個体数を種ごとにカウント

2.結果概要

平成25年度の冬期の調査では、日本全国のシギ・チドリ類の最大個体数の合計は、昨年度に比べ5,565減の48,126羽でした。連続して調査が継続されている44サイトの最大個体数の合計は32,367羽となり調査開始以来最も少ない数となりました。越冬数の減少や増加については、夏期の繁殖状況や越冬期の気温などが関係していると思われますが、今回の調査で減少した原因は不明であり今後も継続して調査を実施し推移を監視していきます。

種別に見ると、ハマシギが31,924羽と全体の66.3%を占め、最も個体数の多い種となり、次いでシロチドリ(4,322羽、9.0%)、ダイゼン(2,885羽、6.0%)と続いており上位を占める構成種は前年と同様の状況が確認されました。

また、前年度と比較すると、トウネンが約8割減少したほか、オオハシシギが約5割減、タゲリ、ケリ、キョウジョシギが約4割減となっています。トウネンは平成19年度の479羽をピークに減少しており、今年度は最も少ない観察数となりました。増加した種は、チュウシャクシギが前年度に比べ約9割増となったほか、アオアシシギが3割増、タカブシギが約2割増となっています。

絶滅危惧種に注目すると、干潟や湿地に生息する絶滅危惧種であるツクシガモ(環境省レッドリスト:絶滅危惧II類)が前年度に比べ1,381羽増の6,091羽、クロツラヘラサギ(同IB類)が40羽増の368羽、ズグロカモメ(同II類)が139羽増の3,484羽となっており、いずれの種もここ数年間は継続的に増加しています。これらの種は国内の個体数は安定的に推移していますが、主な越冬地である大陸沿岸の生息環境に影響を受けると考えられるので、今後も注視していく必要があります。

詳細については、添付資料のニュースレターをご覧ください。

※モニタリングサイト1000シギ・チドリ類調査について

モニタリングサイト1000(重要生態系監視地域調査)はわが国を代表する様々な生態系の変化状況を把握し、生物多様性保全施策への活用に資することを目的とした調査で、全国約1,000か所のモニタリングサイトを設置し、平成15年から長期継続的に実施しています。

 シギ・チドリ類調査は、干潟生態系の指標として干潟の微生物・ゴカイ類・貝類・甲殻類等を採食しており干潟生態系の上位に位置するシギ・チドリ類の調査を実施しているものです。代表的な全国140地点の干潟を中心としたサイト(添付資料2)において、シギ・チドリ類が日本へ渡ってくる春(4~5月)、秋(8~9月)、冬(12月~2月)の3期の個体数調査を行っています。

3.参考

○モニタリングサイト1000ウェブサイト

 http://www.biodic.go.jp/moni1000/index.html

○シギ・チドリ類調査の速報ページ

http://www.biodic.go.jp/moni1000/findings/newsflash/index.html#shorebirds

○シギ・チドリ類調査の調査報告書ページ

http://www.biodic.go.jp/moni1000/findings/reports/index.html#shorebirds

添付資料

連絡先
環境省自然環境局生物多様性センター
直通:0555-72-6033
センター長:中山 隆治
保全科長 :木村 元