報道発表資料

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2000年07月14日

第10回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー(The Tenth Asia-Pacific Region Seminaron Climate Change)の結果について

環境庁、マレーシア気象庁及び国連アジア太平洋地域経済社会委員会(ESCAP)は、21カ国・8国際機関の参加を得て、本年7月9日(日)から13日(木)にかけて、マレーシアのペナン島で「第10回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」を開催した。
 21カ国・8機関の行政官を中心に52人の専門家の出席を得て、地球温暖化問題、特に現在の交渉の中心的な課題であるクリーン開発メカニズム(CDM)や技術移転に関して活発な意見交換が行われた。今回のセミナーにおいては、これら交渉課題についての各国の理解が進むとともに、独自の活動として実施されている情報ネットワークの更なる行動について合意された。
 セミナーの成果は、アジア太平洋地域における行動として支持されるよう、閣僚等の参加を得て開催されるエコ・アジア2000及び第4回ESCAP環境大臣会合(本年9月。於:北九州)に報告される予定である。
 なお、これらの一連の活動は、アジア太平洋諸国の温暖化対策に係る理解と協力の促進を通じて、COP6の成功に資するものと期待している。

 

1.開催日時、開催場所
  開催日時  平成12年7月9日(日)~13日(木)
開催場所  マレーシア・ペナン島
 
2.実施主体
  主催  環境庁(日本)、マレーシア気象庁、ESCAP
協力  気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)
 
3.参加者
参加国21カ国
オーストラリア、中国、インドネシア、日本、カザフスタン、キリバス、マレーシア、モルジブ、モンゴル、ミャンマー、ネパール、ニュージーランド、パキスタン、パラオ、パプアニューギニア、スリランカ、タイ、ツバル、米国、ウズベキスタン、ベトナム
国際機関8機関
国連アジア太平洋地域経済社会委員会(ESCAP)、地球環境ファシリティ(GEF)、経済協力開発機構(OECD)、南太平洋地域環境計画(SPREP)、国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC事務局)、世界気象機関(WMO)、日本国際協力銀行(JBIC)、日本国際協力事業団(JICA)
 
4.開催趣旨
   アジア太平洋地域では、地球温暖化問題に対処するために、これまでに多大の努力がなされてきた。環境庁でも、各国と協力してこれまでに本セミナーを9回開催し、アジア太平洋地域における地球温暖化問題への認識の向上、経験の交流及び取組の強化を支援してきた。
 今回のセミナーの目的は、域内諸国における地球温暖化問題に関する情報、経験及び意見の交換を行うとともに、域内における同問題への取組を促進することである。具体的には、
(1)  アジア太平洋地域の国々によるCDMプロジェクトの準備に資するよう、ベースラインやモニタリングなど、CDMの技術的課題に焦点を当て、京都メカニズムに関する議論及び意見交換を行った。
(2)  アジア太平洋地域内の技術移転に関する経験の交流を行い、その改善に関する方策について議論を行った。技術移転に関するIPCC特別報告書や技術移転に関するアジア太平洋地域ワークショップ(フィリピン・セブ島、2000年1月開催)の成果も報告された。
(3)  気候変動に関する科学的知見、特に[1]吸収源に関する特別報告、[2]温室効果ガス目録の優良事例と不確実性への対処に関する報告、を含むIPCCの最新の活動に関する情報交換を行った。
(4)  アジア太平洋地球温暖化情報ネットワーク「APNET」(Asia-PacificNetworkonClimateChange)の利用促進の方策を議論した。
 
5.会議の概要  議長サマリー参照

 

(参考) 過去の地球温暖化アジア太平洋地域セミナーの開催状況
  第1回 名古屋市 1991年1月
  第2回 バンコク(タイ) 1993年3月
  第3回 大阪市 1994年3月
  第4回 バンコク(タイ) 1995年3月
  第5回 仙台市 1996年1月
  第6回 スバ(フィジー) 1996年11月
  第7回 山梨県富士吉田市 1997年7月
  第8回 プーケット(タイ) 1998年6月
  第9回 彦根市 1999年7月

プログラム(実績)

1日目:7月9日(日)
 

    ロー・ヒエン・ディン マレーシア科学技術環境大臣主催レセプション
 

2日目:7月10日(月)
 

  開会式
 
  主催者挨拶
リム・ジョー・ティック (マレーシア気象庁長官)
浜中 裕徳 (環境庁地球環境部長)
ロー・ヒエン・ディン (マレーシア科学技術環境大臣)
 
オープニングセッション
 
  議長団選出
 
基調講演
「COP5と条約事務局主催の会議の成果及びCOP6に向けて」
クリスティイ・ズムケラー (気候変動枠組条約事務局協力メカニズムサブプログラムマネージャー)
 
アジア太平洋地域における気候変動に関する地域内協力
市村 正和 (国連アジア太平洋地域経済社会委員会(ESCAP)環境天然資源開発部環境政策専門官)
 
政策措置におけるベストプラクティスに関する経験と情報の共有
梶原 成元 (環境庁地球環境部温暖化国際対策推進室長)
 
第1セッション:CDMとアジア・太平洋地域
 
  京都メカニズムに関する最新の議論
クリスティイ・ズムケラー (気候変動枠組条約事務局協力メカニズムサブプログラムマネージャー)
 
CDMの制度設計における技術的課題1:プロジェクトサイクル
チャオ・コック・キー (マレーシア気象庁副長官兼京都メカニズムコンタクトグループ議長)
 
CDMの制度設計における技術的課題2:ベースライン
松尾 直樹 ((財)地球環境戦略研究機関主任研究員)
ステファン・ウイリアム (OECD環境課長)
 
CDMの制度設計における技術的課題3:モニタリングと検証
ラーセン (DNV副所長(ノルウェー))
 
CDMの制度設計における技術的課題4:登録と報告
マリー・ウォード (ニュージーランド環境省気候変動プログラムチームリーダー)
 
討論
 
環境庁・ESCAP主催レセプション
 

第3日目:7月11日(火)

  第2セッション:技術移転
 
  技術移転に関するアジア太平洋ワークショップの成果等、技術移転に関する最新の議論
ワナ・タヌンチャイワタナ (気候変動枠組条約事務局テクノロジーサブプログラムマネージャー)
 
技術移転に関するIPCC特別報告
スクマール・デボッタ (インド国立化学研究所)
 
技術移転に関する機会、障害、ニーズ及び関心
レイ・テジュン (中国、SPパワーエコノミックセンター主任研究員)
芦野 誠 (国際協力事業団(JICA)環境・女性課課長代理)
マヘンドラ・クマル (南太平洋地域計画(SPREP)国際交渉官)
ラエクォン・チュン (韓国外務貿易省審議官(チャオ議長代読))
 
気候変動枠条約第4条5項の意味のある効果的な対策のためのフレームワークの要素(パネルディスカッション)
(司会)
ワナ・タヌンチャイワタナ (気候変動枠組条約事務局テクノロジーサブプログラムマネージャー)
(パネリスト)
チャオ・コック・キー (マレーシア気象庁副長官兼京都メカニズムコンタクトグループ議長)
リチャード・ブラッドレー (米国エネルギー部地球変動担当シニアアドヴァイザー)
マヘンドラ・クマル南太平洋地域環境計画(SPREP)国際交渉官
ソング・リ (GEF環境専門員)
 
第3セッション:APNET
 
  APNETの現状とその促進
稲見 浩之 (野村総研(株)環境・エネルギーコンサルティング部長)
 
討論(APNETを通じた情報交換と利用促進のための方策)
 

第4日目:7月12日(水)
 

  第4セッション:IPCC報告書:
    [1]「土地利用、土地利用変化及び林業」
[2]「温室効果ガス目録の優良事例と不確実性の対処」
 
土地利用、土地利用変化及び林業に関するIPCC特別報告
山形 与志樹 (国立環境研究所地球環境研究センター研究管理官)
 
温室効果ガス目録の優良事例と不確実性の対処
田辺 清人 ((財)地球環境戦略研究機関主任研究員、IPCCテクニカルサポートユニット)
 
討論
 

第5日目:7月13日(木)
 

  第5セッション:気候変動における地域協力のイニシアティブ
 
  国際機関の発表
ソング・リ (GEF環境専門員)
ミハエル・ハリソン (WMOCLIPS計画室長)
グルナラ・ズブコヴァ (ウズベキスタン水資源庁汚染監視局主任環境専門家)
 
民間主体におけるAIJ実施の経験とCDMへの期待
永田 敬博 (東京ガス(株)環境部マネージャー)
柿崎 信男 (日揮(株)プロジェクトエンジニアリングマネージャー)
サラザール (日揮(株)フィリピン店マーケティングビジネス部マネージャー)
チャオ・コック・キー (マレーシア気象庁副長官兼京都メカニズムコンタクトグループ議長)
 
討議
 
最終セッション
 
  議長サマリー案の採択
 
閉会式

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課    長 :竹本 和彦(内線6740)
温暖化国際対策推進室
 室    長 : 梶原 成元(内線6741)
 課長補佐 : 川上 一郎(内線6764)