残留性有機汚染物質検討委員会第9回会合(POPRC9)の結果について(お知らせ)
10月14日から18日にかけて、イタリアのローマにて、残留性有機汚染物質を国際的に規制するストックホルム条約で対象となる化学物質について検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC)の第9回会合が開催されました。
本会合では、塩素化ナフタレン(CN)及びヘキサクロロブタジエン(HCBD)について、条約附属書A(廃絶)及び附属書C(非意図的生成物質の排出の削減)への掲載を締約国会議に勧告することが決定されました。
また、ペンタクロロフェノール(PCP)とその塩及びエステル類についてリスクの管理に関する評価案を新たに作成すること、デカブロモジフェニルエーテル(DecaBDE)についてリスクプロファイル案を新たに作成すること、ジコホルについて次回会合で再度議論すること等が決定されました。
次回会合は、平成26年10月に開催される予定です。
今回の会合では、以下が決定されました。
(1)条約対象物質への追加
[1] 塩素化ナフタレン(CN)(提案国:欧州連合
【主な用途】エンジンオイル添加剤、防腐剤等※
POPs条約上の位置づけ(「廃絶」又は製造等の「制限」、及び/又は非意図的生成物質の排出の削減)の特定について審議し、塩素数2〜8の当該物質が、附属書A(廃絶)及び附属書C(非意図的生成物質の排出の削減)へ追加することを締約国会議に勧告することが決定されました。
[2] ヘキサクロロブタジエン(HCBD)(提案国:欧州連合)
【主な用途】溶媒※
POPs条約上の位置づけ(「廃絶」又は製造等の「制限」、及び/又は非意図的生成物質の排出の削減)の特定について審議し、当該物質が、附属書A(廃絶)及び附属書C(非意図的生成物質の排出の削減)へ追加することを締約国会議に勧告することが決定されました。
(2)条約対象物質としての検討
[1] ペンタクロロフェノール(PCP)とその塩及びエステル類(提案国:欧州連合
【主な用途】農薬、殺菌剤
リスクプロファイル案を審議し、ストックホルム条約第8条7(a)の規定に基づき、当該物質が、長距離にわたる自然の作用による移動の結果、世界的規模の行動を正当化するような重大な悪影響をもたらすおそれがあると決定し、リスク管理に関する評価案を作成する段階に進めることが決定されました。
(3)新規提案物質に対する検討
[1] ジコホル(提案国:欧州連合
【主な用途】殺虫剤※
提案国から提出された提案書が審議されましたが、当該物質が、スクリーニング基準を満たすかどうかについて議論が収束しなかったため、次回のPOPRC10において再度議論することとされました。
[2] デカブロモジフェニルエーテル(提案国:ノルウェー)
【主な用途】難燃剤
提案国から提出された提案書を審議した結果、当該物質が、スクリーニング基準を満たすとの結論に達し、デカブロモジフェニルエーテルのリスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されました。
※ 我が国においては、塩素数が3以上の塩素化ナフタレン、ヘキサクロロブタジエン及びジコホルについては、化学物質審査規制法の第一種特定化学物質に指定済み。
(4)ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の適用除外に関する今後の作業計画と代替物質の評価
附属書B(制限)に掲載されているPFOS(界面活性剤)については、いくつかの用途に対して適用除外が条約上で認められており、これらの適用除外が引き続き必要であるかを平成27年の第7回締約国会議(COP7)において評価することとされています。そのために必要な調査を平成25〜26年にかけて各国に対して実施することが、本年5月に開催された第6回締約国会議(COP6)で決定され、今回のPOPRC9では、第7回締約国会議(COP7)で当該評価を行うために必要な報告書作成までの具体的な作業内容とスケジュールが決定されました。
また、PFOS代替物質の用途や安全性について過去にPOPRCが収集した情報をまとめたガイダンスとともに、引き続き情報収集するために各国に送付される調査票のフォーマットが作成されました。
我が国は、エッチング剤、半導体用レジスト、業務用写真フィルムの製造時のPFOS使用について規制の適用除外を認めていますが、今後、適用除外の見直しにかかる国際的な作業プロセスに合わせて、関係省庁において、国内の実態調査を行う予定です。
(5)POPRC新議長
今回の会合で、これまでPOPRCの議長を務めてきたライナー・アーント氏(ドイツ)が任期満了となったところ、POPRCの暫定議長としてエステファーナ・ガスタルデーロ・モレーラ氏(ブラジル)を新たに選任しました。また、これまで副議長を務めたキュンジー・チョイ氏(韓国)に代わって、アザーリ・アブドルバージ氏(スーダン)が新たに副議長に選任されました。
なお、モレーラ氏は、次回会合(POPRC10)で暫定的に議長を務めた後に、第7回締約国会議で正式に議長として決定される予定です。
(6)今後のスケジュール(予定)
次回会合(POPRC10)は、平成26年10月に開催される予定です。また、平成27年5月に、第7回締約国会議(COP7)の開催を予定しています。
添付資料
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
直通 :03-5521-8261
代表 :03-3581-3351
課長 :牧谷 邦昭 (内線 6350)
保健専門官 :田畑 康幸 (内線 6361)
環境保健部企画課化学物質審査室
直通 :03-5521-8253
室長 :木村 正伸 (内線 6309)
室長補佐 :草川 祐介 (内線 6324)
関連情報
過去の報道発表資料
- 平成25年10月7日
- 残留性有機汚染物質検討委員会第9回会合(POPRC9)の開催について(お知らせ)
- 平成24年10月22日
- 残留性有機汚染物質検討委員会第8回会合(POPRC8)の結果について(お知らせ)
- 平成23年10月17日
- 残留性有機汚染物質検討委員会第7回会合(POPRC7)の結果について(お知らせ)