平成25年9月12日
自然環境

平成25年度生物多様性保全推進交付金(エコツーリズム地域活性化支援事業)の採択結果について(お知らせ)

 環境省では、エコツーリズムを活用した地域活性化を推進するため、地域が取り組むエコツアープログラムの作成やモニターツアー等の活動に対して支援を実施しています。
 今般、下記の26件の事業を採択しましたのでお知らせします。

1.事業の概要

 地域の自然資源を守りながら持続的に活用するエコツーリズムは、元気な地域づくりを行う上で有効です。本事業では、エコツーリズムに取り組む又は取り組もうとする地域の協議会(以下「協議会」)がエコツーリズムに係るルールやプログラムづくりなどの活動を行うにあたり、その経費の一部を国が支援します。(国費1/2以内)

2.採択事業

No 管轄 協議会名称 事業の概要
1 北海道地方環境事務所 南富良野エコツーリズム
推進協議会
 南富良野エコツーリズム推進協議会の組織整備、関係者へのエコツーリズム推進法の普及啓発を行うとともに協議会への参加を促進する活動を行う。
 また、基盤となるルールの取り決め、及びエコツーリズム推進マニュアルの作成を今年度の課題とし事業を行う。
 そのための、資源調査、エコツアーの企画活動のほ か、エコツーリズムの先進地である小笠原地区や屋久 島への調査研修も行っていくとともに、次年度以降の準備として全体構想も視野に入れた活動を行う。
2 北海道地方環境事務所 東川エコツーリズム
推進協議会
 自然環境とソフト事業の連動するプログラムの開 発について観光地(国立公園温泉地)と商工農との連携を軸に取り組む。
 また、地域住民への周知やエコツーリズム事業を通じた、新しい観光の在り方や魅力ある地域資源の発見をすることにより、地域活性化につなげていく。
 今年度は、エコツアーのプログラムの確立とツアーの実施の他、ホームページの作成等、活動の基盤となる部分の確立と情報発信に力を入れて活動を行う。
3 釧路自然環境事務所 てしかがえこまち
推進協議会
 世界的な景勝地で阿寒国立公園の特別保護地区に も指定されており、ミシュラングリーンガイドでも三ツ星の評価を受けた『摩周湖』、同じく星一つに選ばれ、今なお噴火を続ける活火山の『硫黄山』とその周辺について、それらの貴重な自然環境を後世に残すための保全活動が継続してできるよう、地域経済の活性化と、必要な経費を地域経済の循環により捻出する『てしかがスタイルのエコツーリズム』の仕組みを検討し、保護と利用のバランスのとれた基本方針を策定する。
 また、方針に基づき具体的な実施計画を作りより地域の価値を高め、住民の満足度が向上する事業展開を行い、全体構想も視野に入れた活動に取り組む。
4 東北地方環境事務所 環白神エコツーリズム
推進協議会
 今後の持続的なエコツーリズム推進に向けて、協議会運営体制の見直しの他、白神山地で実施するエコツアーのガイドマニュアルについて環境教育の要素を取り入れ山・川・海・まで含めたガイドマニュアルとして作成し、白神山地でのエコツアー事業の充実を図る。今年度からは特に、利用ルールの共通化、ガイド及びコーディネーターの人材育成に取り組むための基盤づくりに重点を置くことにより、将来的には全体構想の策定も視野に入れた活動を行っていく。
5 東北地方環境事務所 本吉復興エコツーリズム
推進協議会
 東日本大震災における未曾有の被害を乗り越えて本吉にそれでも住み続けたいと決めた人と人とのつながりを大切に、本吉町における固有の自然・文化・歴史にふれあう機会の提供、地域資源の保全と適正な管理、東日本大震災における生きた教材を今後の災害の教えとする減災学習、被災地ガイドに取り組み、地域活性化への貢献を同時に実現するという復興エコツーリズムを確立することを目的とし、幅広い関係者が連携し事業に取り組んでいく。
6 関東地方環境事務所 伊豆半島ジオパーク
推進協議会
 伊豆半島ジオパークの地質資源とそれに関連する自然・文化等の様々な地域資源を保全し、持続可能な形で活用する取組を行う。また、現在、73名の認定ジオガイドを有するが、更なるガイド養成と認定ガイドのフォローアップをめざし、養成講座を開講していくとともに、世界ジオパーク加盟に向け、外国人客を含めた来訪客へのPR媒体の整理や、ジオマップの多言語化も行っていく。
 伊豆半島ジオパーク固有の取組として「海のジオ」のPR強化も引き続き取り組んでいく。
7 関東地方環境事務所 飯能市エコツーリズム
推進協議会
 飯能市エコツーリズムを永続的な取組としていくため、ロードマップの作成、飯能の魅力を活かしたエコツアーの提供、エコツーリズムの担い手の支援に取り組むとともに、エコツーリズム推進全体構想の見直しの検討に取り組む。
8 関東地方環境事務所 湯之谷温泉郷・尾瀬ルート
活性化推進委員会
 新潟県魚沼市から行く尾瀬ルートは、尾瀬国立公園までの道のりが長いため、手軽な日帰り尾瀬ツアーとしては敬遠されがちである反面、トンネル道路や湖上遊覧・樹海を眺めながらの旅ができ、交通手段も車・船・バスとバラエティに富んでいる。その特性を活かし、尾瀬国立公園だけでなくルート上に点在する自然資源・文化資源を活かした、「魚沼市から行く尾瀬ルート」の魅力を発見・整理してプログラム化し、その魅力を旅行者に伝えるための人材育成を中心とした受入体制づくり等を行う。
9 関東地方環境事務所 銚子ジオパーク
推進協議会
 日本ジオパークネットワークの基本理念に則り、地域の資源である地質遺産を「教育」、「保護と保全」、「地域振興」の3つの観点から活用し、地域住民、事業者、研究者、行政など、地域を構成する多様な主体が共通認識のもとで持続可能なジオパーク推進を図る。そのために、今年度は、ウェブサイトの充実や、ガイドの教育など活動の基盤となる取組を行っていく。
10 中部地方環境事務所 白山手取川ジオパーク
推進協議会
 地域活性化につながる活動を目標に、ジオパークによる地域づくりを目指すマスタープランの作成、白山市の魅力を体感するジオツアーの調査や企画、ジオパークを支える人材の育成を行っていく。
 また、活動のツールとして、パンフレットの作成やHPの運営などにも力を入れた活動に取り組む。
11 長野自然環境事務所 谷川岳エコツーリズム
推進協議会
 平成24年6月にエコツーリズム推進法に基づく国の認定を受けた『谷川岳エコツーリズム推進全体構想』の具現化に向け、エコツアープログラムの開発、活動の周知・啓発、協議会の組織強化に重点的に取り組むとともに、エコツアーが地域活性化に資するための仕組みづくりを行う。
12 長野自然環境事務所 上市町エコツーリズム
推進準備委員会
 エコツーリズムの推進にあたり準備委員会を設立し、推進体制の整備及び基本方針策定に向けての準備を行ってきた昨年度に対し、今年度はさらなる普及をめざし、啓発活動を行う。そのために協議会の核となる、組織の育成に努め行政のみではなく地域が主体となるような組織づくりを心掛けるとともに、ガイドの人材育成を図り、将来的には全体構想策定も視野に入れた活動を行っていく。
13 長野自然環境事務所 茅野エコツーリズム
協議会
 エコツーリズムの推進体制の整備と強化を目標に、協議会の推進体制の見直しによる活動の円滑化と関係団体の協調・協働関係の強化行う。その中で、地域全体の活動活性化を目指し事業に取り組んでいく。
 また、駅中・街中をフィールドとする身近な観光・エコツアープログラムの発信や企画を行うとともに、エコツアーサロンを設置し情報発信や広報面での強化にも取り組んでいく。
14 長野自然環境事務所 上高地ネイチャーガイド
協議会
 中部山岳国立公園 上高地地域においてエコツーリズムを推進するため、学習旅行の受け入れ強化やガイドによる外来植物の除去活動など既存の取組を強化するとともに、シャトルバス内ガイドや上高地従業員ガイドなど、地域のニーズに応じた新たなガイダンスプログラムを実施する。
 また、外部の専門家をアドバイザーとして招聘し、それらの取組を行う上で必要となるガイド養成システムやエコツーリズム推進体制、広報活動などについて検討を行う。
15 近畿地方環境事務所 山陰海岸ジオパーク
推進協議会
 山陰海岸の地質遺産を活かして、地域に対する住民の愛着と誇りを育んでいくとともに、環境保全・創造、環境教育・体験を主としたツーリズムの展開を図ることで持続可能な社会の形成をめざす。
 今年度は運営委員会等の助言、提言を得ながら、山陰海岸ジオパークをわかりやすく解説したガイドブックの作成や、旅行者がエリア内のジオサイトを巡るドライブコース、海から楽しめるマリンコースを策定する。さらに、近年増えている中国、韓国の旅行者向けパンフレットを作成する他、継続したジオサイトのモニタリング調査を行うとともに、地域住民が参加する保護保全計画を策定し、地域資源の保護保全に取り組む。
16 近畿地方環境事務所 六甲摩耶
観光推進協議会
 平成24年4月にオープンした六甲ケーブル山上構内の【六甲夕算案内処】の運営を今年度も引き続き行い、案内所で対応するガイドの指導・統括ならびに六甲山上でのエコツアーや体験プログラムの継続、拡大を図っていく。
 また今年度は、エコツアーの広報・営業方法として、団体向け六甲山上エコツアーパンフレット検討・作成や誘致プロモーションへの参加、関係者向けモニター体験会の開催などにも取り組んでいく。
17 近畿地方環境事務所 北摂里山博物館
運営協議会
 生物多様性の宝庫である北摂里山の持続的な保全・活動を図るため、北摂里山サポーターズクラブの運営を通して市民レベルで北摂里山の認知度を高め、北摂里山の保全・利活用に向けた機運の醸成を図る。
 また、里山に関心を寄せている層は比較的年齢が高いため、幅広い年齢層に興味を持っていただく取組みを進め、サポーターのすそ野を広げる。北摂地域には約60もの里山保全活動団体があるが、団体間の連携が十分とはいえず、里山保全の技術、ノウハウ、課題等が共有されていないため、地域内外の団体間の連携を強化し里山保全に関する地域全体のスキルの向上を図る。
18 中国四国地方環境事務所 瀬戸内ツーリズム
推進協会
 瀬戸内海国立公園の豊かな自然環境資源と歴史文化資源を長期的に保護し活すとともに、自然景観と生物多様性の存在を実感し、その価値を満喫するための「エコツーリズム」を具現化するエコツアー活動に取り組んでいく。本年度は、過去2年間の活動を深耕させていくことに加え、来年に控えた瀬戸内海国立公園制定80周年や広島県・愛媛県が中心となって企画している「瀬戸内しまのわ2014」の開催に当たり、瀬戸内海国立公園や海域の魅力を五感しながら、改めて瀬戸内海の資産を活用し継承することが求められてきている背景を踏まえ、一過性では終わらない継続性・交流性・集客性を考慮した事業を展開していく。
19 中国四国地方環境事務所 智頭町森林
セラピー推進協議会
 森林の3次利用である森林セラピーを核としてエコツアーのメニューを拡充することで各メニュー参加者相互の流動化、交流の促進につなげ、地域間交流の活性化、且つ事業間交流のためのコミュニケーションの場づくりなどを積極的に行っていく。
 また、智頭町全体のエコツーリズムの確立のために、各活動が相互に関わりあったリピート性の高い、かつ、地域で行うメニューの選択肢が豊富なエコツアーを企画し、これを活性化することで、地域産業への波及効果を高めていくことを目標にし活動を行っていく。
20 中国四国地方環境事務所 大山道ロングトレイル
事業協議会
 鳥取県の大山は、大山古道と呼ばれる古い道(ルート)が大山(大山寺)に向かい複数存在しており、一部は中国自然歩道などとして利用されているが、現在、使われなくなった古道もある。これら大山古道を復活させ、既存の登山道や自然歩道と接続させることで、大山を中心としたロングトレイルコースづくりを進める。古道の保存復元とあわせて、大山道を資源活用したエコツアープログラムを開発するとともに、このプログラムに対応できるガイド・インストラクターなどの人材の発掘や育成を行う。また、古道の復元活用や景観保全の活動を加速させることで、埋もれつつあった歴史の掘り起こし、歴史的資源の復元や次世代への歴史の継承をはかるとともに、春の女神ギフチョウをシンボルに大山道沿道の林野域にかつて見られた里山や草原の環境を再生し、生物多様性を保全する取り組みも実施する
21 中国四国地方環境事務所 大山・中海
エコツーリズム協議会
 鳥取ならではの自然・歴史・文化・食を組み合わせたエコツアープログラムの造成・磨き上げを行い、価値ある商品づくりを地域ぐるみで進めるとともに、ツアーガイドの育成や普及啓発、国内外への売り込みを併せて実施し、住まうように旅する「とっとりスタイルエコツーリズム」の形成を図る。また、大山中海圏域のエコツーリズムの取組を世界へ発信し、エコツーリズムの地域への定着と国内外からの誘客促進を図る。
22 中国四国地方環境事務所 せんの森プロジェクト
運営委員会
 山村の自然を活用した地域活性化を行うため、内子町小田深山を現場に活動を行っていく。
 小田深山は、四国を代表する渓流とブナ等の自然美しい場所であり、その保全を住民活動としてすすめるとともに、新たな山村の産業として「エコツアー」に取組、自然と山村の持続、発展を目指していく。特に今年度は、活動エリアの選定やルール作り、人材育成など基盤づくりから徹底し活動を行っていく。
23 中国四国地方環境事務所 愛媛県石鎚山系
エコツーリズム推進協議会
 西日本最高峰の石鎚山を中心とした地域でエコツーリズムの推進に取り組んでおり、今年度は当地域の見どころや季節の情報などの広告ホームページを作るとともに、大手旅行情報誌のメールマガジンに情報の掲載を依頼し、また、石鎚周辺を紹介するエコツアーパンフレットを作成することで、エコツアーの魅力と石鎚山系のイメージアップを図っていく。
24 九州地方環境事務所 阿蘇ジオパーク
推進協議会
 日本ジオパークネットワークの認定を受け、世界認定をめざし活動に力を入れる今年度は、世界ジオパーク認定を視野に入れ、昨年度に引き続き、魅力あるエコツアーの企画や試行、広報に取り組んでいく。
 また、専門ガイドのスキルアップを目的とした講習会の実施や、地域住民の理解向上を目的とした意見交換会を設けるなど関係市町村や周辺地域と連携を強めながら活動を行っていく。さらに地質、水系等科学的調査の実施や、国立公園とジオパークの取組の普及活動も継続的に行うことで、地域主体の活動促進を図っていく事を目標とし活動を行っていく。
25 九州地方環境事務所 浮羽まるごと
博物館協議会
 伝統的建造物群をはじめとして古民家(屋敷)、棚田、大正時代に造られた水力発電所など魅力ある地域資源が豊富に残存しているうきは地域。一方で、自治体および地域住民の様々な働き掛けにも関わらず、人口減少・高齢化が進む中で、2012年7月の九州北部豪雨により甚大な被害を受け、地域資源の多くも被災した。これらの復旧と合わせて、住民がそれまで気付いていなかった地域資源にも外部の視点を取り入れて理解・愛情を深め、また地区外の市民との交流活動を通して地域が活性化することをめざし活動を行う。準備段階となる今年度は、協議会活動の定例化や地域資源を発掘するためのワークショップの開催し、将来的にはエコツーリズム全体構想策定をめざし活動の基盤を作っていく。
26 九州地方環境事務所 串間エコツーリズム
推進準備会
 串間市は、宮崎県の最南端に位置し、非常に豊富な自然観光資源の宝庫となっている。これまでも体験型観光の推進事業によって、様々なエコツアーメニューとツアー実施者が育っているが、現状ではそれぞれの実施者が単独でメニューの実施をしており、メニューの質や実施者のスキルにバラつきがあるために、『串間のエコツアー』という統一のブランドとして提供するには難しい状態であった。そのため、今年度は共通の理念に基づく保護活用のルール作りや、観光客による野生動物に対する餌やり行為、希少植物の盗掘、ゴミの不法投棄などの問題解決を課題とした事業を行っていく。また、将来的に、エコツーリズム全体構想の策定も視野に入れた活動を行っていく。
連絡先
環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8271)
室長  :中尾 文子  (内:6641)
専門官:小倉 茂   (内:6643)
担当  :深津 加奈絵(内:6646)