報道発表資料

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2013年07月02日
  • 地球環境

第22回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー(The Twenty-Second Asia-Pacific Seminar on Climate Change)の結果について(お知らせ)

 環境省は、豪州産業・イノベーション・気候変動・科学・研究・職業専門教育省及びベトナム天然資源・環境省との共催により、6月27日(木)・28日(金)の2日間、ベトナム・ハノイにおいて「第22回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」を開催しました。
 今回のセミナーには、アジア太平洋地域(13カ国)及び国際機関等(14機関)から49名の緩和分野における測定・報告・検証(MRV)、適応分野におけるモニタリング・評価(Monitoring and Evaluation: M&E)の担当官や専門家、気候変動交渉等に係る行政官が参加し、同地域における緩和分野のMRVと適応分野のM&Eについて議論を行いました。
 環境省からは、戸田課長等が参加し、2日目の議長を務めました。

1.日時
平成25年6月27日(木)・28日(金)
2.主催
環境省
3.共催
豪州産業・イノベーション・気候変動・科学・研究・職業専門教育省(Department of Industry, Innovation, Climate Change, Science, Research and Tertiary Education)、ベトナム天然資源・環境省
4.事務局
海外環境協力センター(OECC)
5.開催場所
ベトナム・ハノイ
6.参加者
アジア太平洋地域諸国(約13カ国)及び国際機関等(約14機関)の担当官等
7.議題
アジア太平洋地域における緩和分野・MRV及び適応分野・M&E
8.主な成果
 本セミナーでは、1日目に緩和分野における測定・報告・検証(MRV)、2日目に適応分野におけるモニタリング・評価(Monitoring and Evaluation: M&E)について、各日とも、専門家によるMRVとM&Eに関する概念や問題意識についての発表が行われた後、アジア太平洋地域の各国より、MRVとM&Eに関わる具体的なプロジェクトの経験、国内体制などについてプレゼンテーションが行われ、その後、援助機関等による支援の現状について共有された。各日で議論された結果概要は以下の通り。

(1) 緩和分野におけるMRV

途上国における適切な緩和行動(NAMA)とMRVの理解:
NAMAとMRVには様々なタイプがあるが、BAU排出シナリオからの削減などNAMAは重要な要素を持っている。NAMAは堅牢なMRVによって支援されることとなっており、NAMAのモダリティは、異なるレベル(国、分野、プログラム/政策)の排出削減ゴールによって設計される。
緩和行動の選択:
(アジア太平洋地域の)各国はNAMAを作成するに際し、それぞれに異なる要素を検討してきた。各要素の重要性は、各国の状況に応じて異なるが、各NAMAの開発ゴールとの連携は、根本的なものとして認識されている。また、NAMA実施のためのコストは重要。例えば、幾つかの国では、NAMAオプションの費用便益分析が実施されている。さらに途上国はNAMAの設計・実施において技術移転の機会も模索している。
情報やデータの正確性:
一般的に、多くの途上国にとって、温室効果ガスにおける情報やデータの入手やその正確性は依然として大きな課題。また、関連情報・データが入手可能な場合でも、データ収集とデータの報告システムの間には、しばしば齟齬が生じる。この観点で、いくつかの途上国からは、情報・データの正確性と妥当性のバランスを考慮し、合意された測定方法を活用することが有益との経験が共有された。
NAMAと隔年報告書のための資金:
地球環境ファシリティ(Global Environment Facility: GEF)は、国別報告書と隔年報告書のために資金的な支援を行ってきている。NAMAに関しては、GEF信託基金がNAMAの実施のために利用可能だが、各国は依然として、資金へのダイレクト・アクセスに関する能力、関連省庁と援助機関含む利害関係者間の調整など、多くの障害に直面している。NAMAの情報に関しては、民間部門からの資金規模を拡大するためには、投資を促進するための環境を整備することが重要。幾つかの国からは、NAMA実施のための資金動員のための革新的な手段として、(日本政府が実施する)二国間オフセットメカニズムに対する期待が表明された。
情報共有と意見交換のためのプラットフォーム:
NAMAレジストリと、様々な機関が作成しているNAMAガイドブックのような情報共有のツールが有用である一方、ベトナムの気候変動プログラム(Support Programme to Respond to Climate Change: SPRCC)やAPセミナーのような、意見交換のためのプラットフォームも、各国のナレッジ共有や具体的な経験からの教訓を共有するのに有益との認識が共有された。

(2) 適応分野におけるM&E

適応とM&E:
適応におけるM&Eは、実践段階にやっと入ったところで、異なるアプローチで、各国、援助機関、国際機関によってM&Eに係る努力が行われているところ。先進国・途上国における、適応のM&Eに係る教訓とベスト・プラクティスを共有するために、具体的な実践を蓄積していくことは有効。
適応、開発行動、M&Eの間のシナジーと相違:
適応に関する定義は様々な機関で存在するが、各国では、適応行動は持続可能な開発のための継続的な努力に統合されるべきと認識されている。適応のM&Eの幾つかの点は、開発業界の伝統的なM&Eとは異なる。開発業界におけるM&Eに係る経験は有益なガイダンスになり得る。
M&Eのための指標:
適応は国や地域の文脈に応じて実施されてきているため、進捗や効果を追跡・評価するための共有の指標を設定することは困難である。多くの国で、援助機関の活動や指標は、定量的・定性的な観点で、それぞれに開発されてきている。良い指標は、変化をモニタリングするのに相応しい、かつ報告のための重荷とならない、入手可能なデータを利用すべきである。指標の数を簡素化することは、適応ゴールに焦点をあてた、有益なアプローチとなり得る。定性的な情報も適応行動の結果と脆弱性の変化を認識するために有益。特に評価段階における研究を実施することは有益なラーニング・ツールとなり得、指標を使った方法論を補完する。
プロジェクトレベルのM&Eの取り組みを国レベルの取り組みにリンクさせる重要性: プロジェクトレベルのM&Eの取り組みはかなり行われているが、国レベルにおけるM&Eの取り組みはまだ少ない。各国や援助機関は、現在、プロジェクトレベルの取り組みを国レベルにシフトさせようとしているところ。合意されたハイレベルの適応ゴールや戦略的な枠組みは、適応行動のM&Eを調整する上で求められている。更に、M&Eの報告のための役割や責任は、効果的なM&Eシステムの一部分として相応しい形で計画されるべき。
利害関係者の関与:
適応のためのM&Eを実施する過程において、M&Eの指標の設定やM&Eの枠組みを設計する上で、様々な利害関係者が関与することは非常に重要。ボトムアップの参加型のアプローチは、長期的な視点でトップダウンの計画作成を補完する。
M&Eのリソースと能力:
M&Eのためのリソースと能力は適応の取組を強化する上で重要。
連絡先
環境省地球環境局国際地球温暖化対策室
代表:03-3581-3351 直通:03-5521-8330
室長   :新田 晃    (6772)
室長補佐:浦上 亜希子 (6774)

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