平成24年12月6日
再生循環

「平成23年度 廃ペットボトルの輸出等市町村における独自処理に関する実態調査」結果について(お知らせ)

 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成7年法律第112号。以下「容器包装リサイクル法」)に基づく「容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別収集及び分別基準適合物の再商品化の促進等に関する基本方針」では、市町村により分別収集された使用済ペットボトルについて、資源の有効利用と再商品化の安定的な実施の観点から、国内における指定法人ルートによる再商品化への取組の協力を地方自治体に対して求めているところです。
 また、容器包装リサイクル法に基づく指定法人ルートによらない独自処理を行う場合にも、適切に再商品化がなされること等の事業者に対する引渡し要件を定め、具体的な処理方法等について住民への情報提供を行うことを求めております。 このような観点から、環境省では毎年度「廃ペットボトルの輸出等市町村における独自の処理に関する実態調査」を実施しており、この度平成23年度の調査結果をとりまとめたのでお知らせします。
 調査の結果、平成24年度の容器包装リサイクル法に基づく指定法人ルートでの処理計画量は全市町村の計画量の67.2%(市町村独自ルートは32.8%)であり、平成23年度と同じ値でした。また、使用済ペットボトルの処理先について、住民へ情報を提供していない市町村、引渡事業者と契約時に引渡要件を定めていない市町村の割合は、それぞれ42.5%、37.9%であり、昨年度と比較して大幅な改善は見られませんでした。
 環境省では、平成18年の容器包装リサイクル法の一部改正に伴い改正された容器包装廃棄物の排出抑制並びにその分別収集及び分別基準適合物の再商品化の促進等に関する基本方針(以下「基本方針」という)の趣旨について、引き続き市町村に対して周知、徹底を進めてまいります。

1.背景

 市町村により分別収集された容器包装廃棄物については、基本方針において、「指定法人等に円滑に引き渡すことが必要である。また、市町村の実情に応じ指定法人等に引き渡されない場合にあっても、(中略)分別収集された容器包装廃棄物が環境保全対策に万全を期しつつ適正に処理されていることが必要である。同時に、市町村は、このような容器包装廃棄物の処理の状況等については、住民への情報提供に努めることが必要である。」ことを定めています。
 しかしながら、使用済ペットボトルについては、輸出等市町村における独自処理が数多く行われています。
 今般、市町村における使用済ペットボトルの分別収集の実施状況及び処理の実態を把握することを目的に、平成22年度に引き続き、平成23年度も「廃ペットボトルの輸出等市町村における独自処理に関する実態調査」を実施し、その結果の概要を以下のとおり取りまとめました。

2.「廃ペットボトルの輸出等市町村における独自処理に関する実態調査」調査概要

(1)調査目的:
市町村における使用済ペットボトルの独自処理の実態を把握すること
(2)調査対象:
ペットボトルの分別収集を行っている市町村
(3)調査期間:
平成23年12月〜平成24年3月
(4)回答率:
98.2%(全市町村数(東京都特別区含む)1,742に対し回答数は1,711)

3.調査結果

(1)使用済ペットボトルの処理方法

 回答のあった市町村の指定法人向け処理量の割合は、横ばいの傾向にあり平成24年度(計画)は67.2%となった。

使用済ペットボトルの処理量の割合使用済ペットボトルの処理量の割合

  H21年度 H22年度 H23年度 H24年度
指定法人
のみ
55.6% 56.2% 56.7% 57.3%
市町村独
自処理
31.0% 30.5% 30.7% 30.2%
併用 13.3% 13.3% 12.6% 12.5%

処理市町村数の割合

 

(2)引渡事業者の選定、契約時の要件

 独自処理を行う市町村のうち、事業者に要件を設けている市町村は61.7%、引渡の要件を定めていない市町村が37.9%で前年度とほぼ同じ結果であった。(択一回答)

平成22年度実績値(括弧内は平成21年度実績値)
回答対象自治体数731件(平成21年度は748件)

 

 また、引渡事業者に対する要件の内容としては、「適切に再商品化すること」が64.7%で最も多く、次いで「国内再商品化製品利用事業者が利用すること」が47.4%、「環境保全対策に万全を期しつつ適正に処理されていること」が41.2%、「そのまま輸出事業者に引き渡さないこと」が28.6%となっている。(複数回答)

回収対象自治体数

(3)要件の確認方法

 引渡事業者に要件を設定している市町村のうち、要件の確認方法としては、「仕様・契約書に盛り 込む」が30.6%、「事業者への聞き取り調査だけ」が13.3%、「事業者を信頼して特に確認せず」が4.1%となっており、「現場確認」を行っている市町村は36.5%にとどまっている。(択一回答)

要件の確認方法

(4)市町村独自処理についての市民への情報提供

 独自処理を行っている市町村のうち、独自処理をしていることを市民に説明しているかについては、「情報提供していない」が42.6%と約半数を占めており、次いで「独自処理していることのみを公表」が20.0%、「引き渡した事業者名と引渡量を公表」が11.4%、「指定法人処理と市町村独自処理の量を公表」が10.1%で、「引き渡した事業者名を公表」が8.4%、「引き渡した事業者名と最終利用先まで公表」しているのはわずか2.2%であった。(択一回答)

市町村独自処理についての市民への情報提供

(5)市町村独自処理の引渡先事業者

 市町村独自処理の引渡先事業者の延べ数は863社(平成22年度実績)で、その業種内訳は、「自 らフレークやペレットに加工」する事業者が54.7%と最も多く、次いで「自らは再商品化せず市町村がベール化したものを国内の再商品化事業者に販売」している事業者が14.9%となっている。輸出している事業者は「フレークやペレットに加工して輸出」(7.3%)、「ベール化したものを輸出」(0.5%)を合算した7.8%となっている。(択一回答)

市町村独自処理の引渡先事業者

(6)使用済ペットボトルの行き先

 国内で再商品化されていると回答した市町村は、「国内でマテリアルリサイクル原料として利用」(57.4%)、「国内でケミカルリサイクル原料として利用」(4.2%)を合算した61.6%である。一方、「フレークやペレット化されているところまでは把握しているがそれより先は把握していない」(20.3%)、「全部または一部が国外に輸出」(12.4%)を合算して、最大で32.7%の市町村が使用済みペットボトルを輸出している可能性がある。(択一回答)

使用済ペットボトルの行き先

(7)輸出時の状態確認について

 使用済ペットボトルの行き先について、「全部または一部が国外に輸出」されていると回答した市町村に輸出時の使用済ペットボトルの状態を確認する方法について尋ねた結果、「事業者からの口頭説明」を受けているのみの市町村は36.4%、「自治体担当者の現場確認」が24.2%、「事業者からの提出書類で確認」が20.5%、「委託(売却)時の仕様・契約書」が9.8%となっており、「自治体担当者の現場確認」をしている市町村は24.2%であった。(択一回答)
 平成22年度調査と比較すると、平成23年度調査では「事業者からの口頭説明」、「委託時の仕様・契約書」が増加している。

輸出時の状態確認について

(8)市町村独自処理の選択理由

 市町村が独自処理を行っている理由として、「指定法人ルートよりも高く販売できるため」が42.7%で最も多く、次いで「柔軟に対応してもらえるため」が34.5%、「小ロットでも引き取ってもらえるため」が31.6%など、平成22年度調査と同様に様々な理由が挙げられている(複数回答)。傾向として価格面や対応面でのメリットが重視されている傾向に変わりはない。

市町村独自処理の選択理由

(9)今後の市町村の意向

 独自ルートを利用していない市町村で、「独自ルートで引き渡す予定はない」市町村数は、平成23年度調査では97.1%と圧倒的に多く、平成22年度調査(96.8%)と比較して増加している。(択一回答)

今後の市町村の意向

 また、独自処理を利用している市町村で、「これまで通りとする予定である」市町村数は、平成23年度調査では91.9%と9割以上を占めている。「独自ルートでの引渡しはやめる方向である」(2.9%)、「独自ルートでの量を減らす方向である」(1.8%)と独自ルートから指定法人ルートに資源化を委託する自治体もみられる。

今後の市町村の意向2

4.引渡し要件の設定及び情報提供の有無について

 

 本調査の回答結果として、市町村独自処理ルートによる処理をおこなっている自治体で引渡事業者の選定または契約時に、再商品化等取り扱いに関する要件の設定がなくかつ今後も実施の予定がない市町村は以下のとおりとなった。<・

  • 北海道:美幌町、池田町、本別町、足寄町
  • 福島県:只見町、小野町、北塩原村
  • 奈良県:野迫川村
  • 和歌山県:すさみ町
  • 鹿児島県:徳之島町、天城町、伊仙町
連絡先
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室
直通   :03-5501-3153
代表   :03-3581-3351
室長   :永島 徹也(内線6831)
室長補佐:神谷 仁巳(内線 6823)
係長   :水信 崇  (内線6822)
担当   :西松 恵子(内線6837)