報道発表資料

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2012年05月22日
  • 自然環境

生物多様性条約第16回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA16)及び条約実施に関する第4回作業部会(WGRI4)の結果について(お知らせ)

 生物多様性条約第11回締約国会議(COP11)の各議題について検討を行う第16回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA16)及び条約実施に関する第4回作業部会(WGRI4)が、それぞれ4月30日(月)~5月5日(土)及び5月7日(月)~11日(金)に、モントリオール(カナダ)で開催されました。
 これらの会合では、本年10月にインド・ハイデラバードで開催されるCOP11に向けて、戦略計画2011-2020の実施及び愛知目標の進捗、資源動員、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)との協働、生物多様性と気候変動、海洋・沿岸の生物多様性等について議論され、合計23の勧告が採択されました。これらの勧告は、COP11で検討される予定です。

1.第16回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA16)の概要

会議名称
日本語
:第16回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA16)
英語
:The sixteenth meeting of the Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice
開催期間:
平成24年4月30日(月)~5月5日(土)
場所:
モントリオール(カナダ)
会議の概要:
 本会合では、締約国代表の他、国際機関、NGO、研究者等計約500名の参加により、 合計15の勧告案が科学技術的観点から検討され、採択されました(一部留保が付いたも のも含む)。
(1) SBSTTAの有効性向上の方策及びIPBESとの協働にかかるオプション
 事務局長に対し、政策支援手段や生物多様性の観測や条約に基づく手段の効果等について整理し、また生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)に対して、地球規模生物多様性概況第4版(GBO 4)のとりまとめや愛知目標の達成度評価等の活用や寄与について検討を促すこと等を内容とするCOPへの勧告が採択されました。
 あわせて、条約事務局長に対して、COP11での検討に向け、生物多様性条約からIPBESへの要望提出手続きに関する案を作成することが要請されました。
(2)地球規模生物多様性概況(GBO)
 GBO-4は、愛知目標の達成度に関する中間評価として、理解しやすいものを様々な形態で提供することとし、COP12で公表を開始する旨の計画が示されました。また、事務局長に対し、締約国等がGBO-4にインプットできるよう第5回国別報告書を準備する際の手引を提供することを要請すること等を内容とするCOPへの勧告が採択されました。
(3)生物多様性と気候変動
 (ア)REDD+関係
 締約国等に対する、森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減(REDD+)と愛知目標の協働実施の奨励、 REDD+の生物多様性セーフガードについての留意または奨励事項、事務局長に対する同セーフガードのイニシアティブに関連する機関等とイニシアティブへの生物多様性の更なる統合に向けた協力及び気候変動枠組条約(UNFCCC)などの関連機関等との協働や情報の編纂の要請等を内容とするCOPへの勧告が採択されました。
 (イ)ジオ・エンジニアリング
 ジオ・エンジニアリングに関して、生物多様性への影響に対する理解の欠如の存在、生物多様性への影響や規制枠組に関する調査レポートへの留意、関連する可能性のある条約・機関等を示し、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次報告書におけるジオ・エンジニアリングによる生物多様性への影響についての検討の奨励やSBSTTAに対するIPCC報告書レビューの要請等を内容とするCOPへの勧告が採択されました。
 なお、ジオ・エンジニアリングの規制や気候変動対策のあり方に関する部分については、留保が付されました。
(4)海洋・沿岸の生物多様性
 生態学的生物学的重要海域(EBSAs)の情報蓄積と情報共有メカニズムを発展させること、EBSAsの要件を満たす海域の科学的記載を支援するための研修ワークショップの実施等を事務局長に求めるCOPへの勧告が採択されました。
(5)世界分類学イニシアティブ
 SBSTTA15で採択された包括的能力育成戦略案を改訂することを求める勧告XV/3に対応し、改訂案が採択されました。
 同改訂案には、生物多様性戦略計画2011-2020に対応するため、分類学における能力育成の必要優先度付け、関係政府機関等の関与、人的資源・基盤の向上等の活動及び政策決定において活用されるよう分類学的な情報の生成・共有活動等が含まれています。
【本会合の公式ウェブサイト】
 http://www.cbd.int/sbstta16/

2.条約実施に関する第4回作業部会(WGRI4)の概要

会議名称
日本語
:第4回条約実施に関する作業部会(WGRI4)
英語
:The fourth meeting of the Ad-Hoc Open-ended Working Group on Review of Implementation of the Convention
開催期間:
平成24年5月7日(月)~5月11日(金)
場所:
モントリオール(カナダ)
会議の概要:
 本会合では、締約国代表の他、国際機関、NGO等約300名の参加により、合計8つの勧告案が政策的観点から検討され、採択されました(一部留保が付いたものも含む)。COP議長国である我が国は、本会合において議長も務めました。
(1) 戦略計画2011-2020の実施及び愛知目標の進捗
(ア)国別目標の設定及び生物多様性国家戦略の改定
 戦略計画2011-2020の実施及び愛知目標の達成に向けて、各国が生物多様性国家戦略の改定及び国別目標の設定を進めていくことが中心的課題であるとの認識が共有され、締約国は本年6月末までに事務局に進捗状況を報告することが決定されました。また、国家戦略の改定・実施においてあらゆる関係者の参画促進等を内容とするCOPへの勧告が採択されました。
(イ)能力養成支援
 生物多様性日本基金を通じた我が国の支援に対し、多くの国から謝意や賛辞が表明されました。また、国家戦略の改定及び国別目標の設定を中心とした戦略計画2011-2020の実施に対する取組支援を継続・強化するとともに、途上国支援のための地域レベルの能力養成支援ネットワークの構築への関与等を内容とするCOPへの勧告が採択されました。
(ウ)技術・科学的協力
 戦略計画2011-2020の実施のための技術・科学的協力の強化、クリアリングハウス・メカニズムの活用促進等を内容とするCOPへの勧告が採択されました。
(エ)国連生物多様性の10年(UNDB)
 UNDB戦略案が提示され、同戦略の実施推進、UNDB関連活動において「Living in harmony with nature(自然との共生)」というメッセージの使用推奨等を内容とするCOPへの勧告が採択されました。
(2)国連持続可能な開発会議(リオ+20)へのメッセージ
 持続可能な開発の実現に果たす生物多様性及び生態系サービスの役割、愛知目標の達成の重要性を強調するメッセージが採択されました。また締約国を代表し、COP議長国である我が国がリオ+20の機会において本メッセージを発信することとなりました。
(3)資源動員
 資源動員戦略については、確固たるベースラインと効果的な報告枠組が採択されることを前提として、COP11において資源動員に関する目標採択を行うこととされています。
 今次会合では、条約事務局に対して暫定報告枠組の改善が要請されたほか、暫定報告枠組と指標に関するガイダンスは、柔軟かつ暫定的なものとして、各国及び世界の資源動員の報告及びモニタリングに活用することがCOPに勧告されました。
(4)民間参画
 締約国に対して、企業による生物多様性への影響評価等を促すため、自主的な基準・認証制度の事例を検討するとともに、企業に対して、戦略計画の実施や愛知目標の達成に資する活動の促進、生物多様性に対する影響・依存度やリスクとチャンスに関する分析の奨励等を内容とするCOPへの勧告が採択されました。
 また、「日本経団連生物多様性宣言・行動指針への手引き」への言及やビジネスと生物多様性に関する各種イニシアティブやグローバルパートナーシップを活用し、関係者の対話構築を継続すること等も勧告に盛り込まれました。
【本会合の公式ウェブサイト】
 http://www.cbd.int/wgri4
連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性地球戦略企画室
直通   :03-5521-8275
代表   :03-3581-3351
室長   :奥田 直久(内 6480)
室長補佐:守分 紀子(内 6979)
専門官  :久慈 淳一郎(内 6979)