平成24年3月15日
大気環境

平成23年度「日本モデル環境対策技術等の国際展開」事業に係る第8回日越合同政策検討会の開催結果について(お知らせ)

 平成23年度「日本モデル環境対策技術等の国際展開」事業に係るベトナムとの協力事業の一環として、3月5日(月)に第8回日越合同政策検討会を開催いたしました。

1.経緯

 環境省では、平成21年度から「日本モデル環境対策技術等の国際展開」事業を開始しており、環境対策技術を法制度整備、人材育成とパッケージにして、アジア諸国の排出企業に普及・展開する方策を検討し、中国・ベトナム・インドネシアを対象としてパッケージ施策を実現するための二国間協力事業を実施しています。本事業の一環として、平成21年7月からベトナム国天然資源環境省 環境総局 環境管理科学院との間で、産業排水対策分野を中心とする協力事業を実施しています。
 ベトナム国との協力事業は今年度をもって終了となり、この度、「第8回日越合同政策検討会」(政府間会合)を東京にて開催し、3年間の協力事業の総括をいたしました。

2.概要

(1)開催日時
平成24年3月5日(月) 9:00〜18:00
(2)開催場所
環境省第1会議室(9:00〜12:00)
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館22階
社団法人 海外環境協力センター 会議室(13:30〜18:00)
東京都港区芝公園3-1-8 芝公園アネックスビル7階

(3)主な出席者

(ベトナム側)
ドゥ・ナム・タン 天然資源環境省 環境総局 環境管理科学院 副院長
ダン・ヴァン・ロイ 天然資源環境省 環境総局 公害防止部 副部長
グエン・ティ・ティエン・フォン 天然資源環境省 環境総局 国際協力・科学技術部 副部長
ディン・ビック・ハ 法務省 法律調査研究所 課長
ドアン・ヴァン・ツアン タイグエン省 天然資源環境部 副部長
ほか、天然資源環境省 環境総局関係者が出席
(日本側)
西本 俊幸 環境省 水・大気環境局 総務課 環境管理技術室長
牧 葉子 川崎市 環境局 理事

3.会合結果

第8回日越合同政策検討会においては、以下の内容について報告・協議を行いました。 
(1) 今年度の共同政策研究の成果報告
 ベトナム側から「ベトナム環境保護基金(VEPF)の組織と運用」と題してVEPFの状況と解決策について報告がなされました。
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VEPFは天然資源環境省(MONRE)の傘下に2003年に設置され、環境保護のための低利融資、助成金の提供等の活動を行っている。環境保護基金制度は、国際的にも経済成長期の企業の環境保護対策のための有効な仕組みであり、現在のベトナムの状況に適していること、またベトナム国内企業に対する意見聴取結果からも約3/4の企業がVEPFによる融資の利用を希望していることが明らかになった。
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一方、現状のVEPF制度は、基金の資本金の規模が小さく基金の収入源が不十分であること、全ての企業への融資金利が均一であること、企業の現状に対して融資条件が厳しいこと、融資期間が短いこと等の問題があり、企業にとって利用しにくく、制度の運用に困難が生じている。
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改善策として、基金を公共事業、主たる汚染排出企業に重点的に融資し、基金による持続的な環境保全対策支援が可能となるように資金力を強化することを提案した。また、MONREとして、VEPFの業務ガイドライン整備、基金運用方針の明確化、資金の適切な提供、基金の収入増加、企業のニーズ高揚のための施策実施が重要であることを提言としてとりまとめた。
 日本側から、ベトナムで全国展開が可能な「法制度整備」、「人材育成」、「技術普及」から成るパッケージ施策を検討するため、タイグエン省のモデル工場や省天然資源環境部(DONRE)において行った具体的協力事業の結果を報告しました。
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汚染排出企業における実効性のある環境管理を実現するため、企業への圧力と支援の両面からの働きかけの仕組みを提案した。モデル工場に対しては、現状の問題点を分析し、技術面、管理面での改善策を提供した。また、工場を直接指導・監督するタイグエン省DONREに対して2回の現場研修を実施した。
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法制度面については関係主体の意識の向上と政府の方針にあったモニタリングの促進、人材育成面では関連主体の能力強化、技術面では企業支援のための環境作りが必要であるとの結論を示した。
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環境管理の重要な要素として、モニタリング、立入検査、排出量目録(インベントリー)整備の3つがあり、行政としてこれらを強化することと、工場にも行政と同じ知識と経験が求められることを説明した。
会合結果
(2)3年間の二国間協力事業の最終報告と課題の整理
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日本側から、これまでの協力事業で実施した合同政策検討会(政府間会合)、共同研究、ワークショップ開催についてそれぞれその目的、成果等を再確認するとともに、この二国間協力で実施された各事業について「法制度整備」、「人材育成」、「技術普及」の3つの要素からなるパッケージアプローチの概念の中の位置づけと相関関係を明示し、それぞれ得られたアウトプットと期待されるアウトカムについて報告した。また、今回の協力事業で組み上げたパッケージ施策の各要素をどのようにベトナム全体に展開していくかが課題であり、ベトナムにおける今後の継続実施が重要であることを説明し、ベトナム側の同意を得た。
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ベトナム側から、環境保全に関する現行法見直しに係る国家研究プロジェクトやMONREの組織構造の見直し、そしてベトナムにおける環境技術実証(ETV)制度のガイドライン案に3年間の二国間協力の成果が取り入れられていくことが説明され、二国間協力の成果をベトナム国内で水平展開していく意向が今後の展望として表明された。また、各論として、ベトナム環境保護法の改正の方針と骨子、汚染改善のための国家ターゲットプログラムの内容と実施方針、ベトナムETV制度構築の進捗と工業団地の環境管理に係る通達の改正、タイグエン省における環境管理のための人材育成の必要性が3年間の協力事業の成果を踏まえて報告された。
(3)二国間協力事業の総括
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日本とベトナムの二国間協力事業については、本日の第8回日越合同政策検討会をもって、事業としては区切りを迎えたことを両国で確認した。
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日本側から、この事業で実施した共同政策研究の内容がベトナム環境保護法の改正作業に反映されるなど実りある成果が得られたことは、他のアジア諸国における環境改善に向けた協力を行うに当たって貴重な先行事例となったことを伝え、ベトナム側の真摯な協力に対し感謝の意を述べた。また、この事業によって得られた成果を活用し、制度や人材育成をシステムとして有効に機能させ、定着させるためベトナム側の一層積極的な取り組みへの期待を表明し、併せて引き続きの情報交換とフォローアップの実施を提案した。
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ベトナム側から、この3年間の協力事業で様々な成果が得られ、日本側の研究成果、公害克服経験をはじめ日本側関係者のプロジェクトへの取り組み姿勢も参考になったことが述べられ、感謝の意が表明された。また、引き続きの相互の連絡と、将来の新たな協力事業の実施への期待感が示された。
連絡先
環境省水・大気環境局総務課環境管理技術室
直通:03-5521-8297
代表:03-3581-3351
室長:西本 俊幸(内線6550)
補佐:高野 厚 (内線6551)
担当:山本 享 (内線6554)