報道発表資料

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2011年11月21日
  • 自然環境

生物多様性条約第15回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA15)の結果について(お知らせ)

 生物多様性条約第11回締約国会議(COP11)の各議題について検討を行う生物多様性条約第15回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA15)が、11月7日(月)から11日(金)にモントリオール(カナダ)において開催されました。
 本会合では、来年10月にインドで開催予定のCOP11に向け、2011年から2020年までの戦略計画(愛知目標)の達成評価指標や生物多様性の持続可能な利用等について科学技術的観点から議論されました。

1.会議の概要

名称

日本語:
第15回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA15)
英語:
The 15th meeting of the Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice

開催期間

平成23年11月7日(月)から11日(金)

場所

モントリオール(カナダ)

公式ウェブサイト

http://www.cbd.int/doc/?meeting=SBSTTA-15

2.会議の結果

 締約国代表の他、国際機関、NGO、先住民団体等約600名の参加により、合計8つの勧告案が科学技術的観点から議論され、採択されました(一部留保が付いたものも含む)。これらの勧告は、来年10月にインド・ハイデラバードで開催される生物多様性条約第11回締約国会議(COP11)で検討される予定です。
 主な議題の結果概要は以下のとおりです。

(1)2011年から2012年までの戦略計画(愛知目標)の指標枠組

 専門家グループより提案された愛知目標の達成評価のための指標枠組の有用性を認識し、各国の実情に応じた柔軟な活用の推進、指標の適用手法や評価手法等に関する実践的ツールの作成、追加的指標の開発や優先的に使用すべき指標の絞り込み等を内容とする勧告が採択されました。

(2)生物多様性の持続可能な利用

 景観の観点に基づく生物多様性の持続可能な利用の推進、持続可能な利用に関するアジス・アベバ原則ガイドライン及びエコシステム・アプローチの適用の促進、食料用の野生鳥獣(ブッシュミート)の適切な管理等を内容とする勧告が採択されました。
 我が国の提案により、景観レベルの持続可能な利用を推進するツールとしてSATOYAMAイニシアティブの有用性を認識することについて、勧告に盛り込まれました。

(3)生態系回復の支援方策

 生態系回復は、あくまで過去に劣化した生態系を改善する最終手段であることを再認識し、関係機関と連携しつつ、実践的ガイダンスの作成等、生態系回復に関する各種取組を進めていく必要性等を内容とする勧告が採択されました。
 作業部会における審議においては、原住民・地域社会の役割、伝統的知識や手法、社会経済的評価の重要性、気候変動対策やラムサール条約との協働等が強調されました。

(4)世界分類イニシアティブ(GTI)能力養成戦略案

 GTI調整メカニズムにより作成された愛知目標達成に向けた能力養成戦略案の詳細については今次会合で議論は行われず、今後事務局において締約国他関係者からの意見を募った上で、来年5月開催される次回会合において討議されることとなりました。
 その他、分類学に関する調査研究や生物多様性情報の整備、人材育成、関連機関間の情報共有や技術協力の推進等を内容とする勧告が採択されました。
 我が国より、東・東南アジア生物多様性情報イニシアティブ(ESABII)を通じたGTIへの貢献について紹介しました。

(5)侵略的外来種

 侵略的外来種に関する国際基準やガイドラインの適用推進、ペット・動植物園での展示物・生き餌・生食料の導入による影響防止、インターネット取引等新たな取引形態への対応、税関当局における分類学能力の向上、WTO・衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)等関連機関との連携の必要性等を内容とする勧告が採択されました。

(6)内陸水の生物多様性

 水循環、淡水資源は、条約のあらゆる分野に深く関連していることが認識されました。ラムサール条約との連携強化、水循環と生物多様性との関連性にかかる普及啓発の推進等を内容とする勧告が採択されました。

3.サイドイベントの開催

 会議期間中に、生物多様性条約事務局及びSATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップとの共催により、生態系回復に関するサイドイベントを開催しました。また、ESABIIの活動を報告するサイドイベントを開催し、我が国の取組を発信するともに参加者との意見交換を行いました。

(参考)SBSTTA15 勧告一覧

1)
2011年から2012年までの戦略計画(愛知目標)の指標枠組
2)
生態系回復の支援方策
3)
世界分類イニシアティブ(GTI)能力養成戦略案
4)
侵略的外来種
5)
内陸水の生物多様性
6)
生物多様性の持続可能な利用
7)
北極圏の生物多様性
8)
SBSTTAの有効性の改善方策
勧告本文は、本会合公式ウェブサイトhttp://www.cbd.int/doc/?meeting=SBSTTA-15をご参照下さい。
連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性地球戦略企画室
直通:03-5521-8275
代表:03-3581-3351
室長  :奥田 直久(内線 6480)
室長補佐:伊奈 康治(内線 6476)
室長補佐:守分 紀子(内線 6979)