平成22年9月7日
再生循環

微量のPCBを含む廃棄物の焼却実証試験(平成22年3月実施分)の実施結果について(お知らせ)

 環境省は、秋田県及び兵庫県神戸市並びにエコシステム秋田株式会社及び神戸環境クリエート株式会社の協力を得て、微量のPCBを含む廃棄物の焼却実証試験を実施しましたので結果をお知らせいたします。

1.趣旨

 PCBを使用していないトランス等の中に、実際には微量のPCBに汚染された絶縁油を含むもの(以下「微量PCB汚染廃電気機器等」という。)が大量に存在することが判明しており、環境省ではこれらの処理体制の整備に向け、平成17年度から既存の産業廃棄物処理施設において微量PCB汚染廃電気機器等の焼却実証試験を行い、安全かつ確実に処理できることを確認してきたところです。
 この実証試験については一方、平成21年3月に「中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会微量PCB混入廃重電機器の処理に関する専門委員会」でとりまとめられた「微量PCB混入廃電気機器等の処理方策について」において、「これまで行ってきた微量のPCBに汚染された絶縁油等の焼却等による無害化の実証試験を引き続き行うことが適当」とされ、さらに、「今まで微量PCB混入廃電気機器等を対象として行われてきた実証試験により得られた技術的知見は、微量のPCBを含む他の廃棄物の処理にも応用できる可能性がある。この点を確認するための実証試験を更に実施することにより、PCB廃棄物の処理体制を検討していくことが望ましい。」とされたところです。
 上記を踏まえ、環境省では、微量のPCBを含む廃棄物の処理体制の整備に向け、既存の産業廃棄物処理施設において微量のPCBを含む廃棄物が安全かつ確実に処理できることを確認するため、今般、関係自治体である秋田県及び兵庫県神戸市並びに実証試験施設の設置者であるエコシステム秋田株式会社及び神戸環境クリエート株式会社の協力を得て、微量のPCBを含む廃棄物の焼却実証試験を実施しました。

2.実証試験の概要

(1)実施場所及び実施期間

エコシステム秋田株式会社(秋田県大館市)
平成22年3月9日(火)〜3月11日(木)
神戸環境クリエート株式会社(兵庫県神戸市)
平成22年3月15日(月)〜3月17日(水)
施設の概要は、「別紙」表1参照。

(2)実施内容

 エコシステム秋田株式会社では、微量PCB汚染廃電気機器等(微量(数十ppm 程度)のPCB を含む絶縁油を使用していた変圧器及びOF ケーブル※1で既に絶縁油が抜かれているもの並びに微量のPCB を含む絶縁油)を焼却処理※2し、処理後の変圧器及びOFケーブル並びに排ガス中のPCB濃度等を分析することにより、これらの処理状況を確認しました。
 神戸環境クリエート株式会社では、微量PCB 汚染廃電気機器等(微量のPCB を含む絶縁油)及び微量のPCBを含む廃棄物(汚泥)を焼却処理し、処理後の燃え殻及び排ガス中のPCB濃度等を分析することにより、これらの処理状況を確認しました。
 なお、本試験において、エコシステム秋田株式会社では850℃以上、神戸環境クリエート株式会社では1,100℃以上の温度に保ちつつ、2秒以上滞留させて焼却処理を行いました。

※1
 OF ケーブル(Oil Filled Cable)電力ケーブルの一種であり、内部に絶縁油を満たしたもの。超高圧の電力ケーブルに使用されている。
※2
 絶縁油については、ロータリーキルン式焼却炉で焼却処理(850℃以上)しました。また、変圧器及びOF ケーブルについては、固定床炉で加熱処理(850℃以上)し、発生したガスをロータリーキルン式焼却炉の3次燃焼炉で焼却処理(850℃以上)しました。

3.実証試験の結果

 大気中のPCB及びダイオキシン類の濃度を「別紙」表2に、排ガス中のPCB及びダイオキシン類の濃度等を「別紙」表3に、焼却処理後の燃え殻及び変圧器等のPCB及びダイオキシン類の分析結果を「別紙」表4にまとめました。

(1)エコシステム秋田株式会社

 排ガス中のPCB及びダイオキシン類の濃度については、基準値等よりも低いことを確認しました。また、通常運転時と本試験時において顕著な変化がなかったことから、試験試料を投入したことによる排ガス中のPCB及びダイオキシン類の濃度への影響はないことを確認しました。
 施設の敷地境界における大気中のPCB濃度並びに施設周辺における大気中のPCB及びダイオキシン類濃度については、基準値等よりも低いことを確認しました。
 固定床炉での変圧器及びOF ケーブルの加熱処理後の残渣物に含まれるPCB及びダイオキシン類の量については、OFケーブル(ドラム缶入り)の加熱残渣物に含まれるダイオキシン類の含有量が基準値を上回りました※3が、それ以外は基準値よりも低いことを確認しました。

※3
 当該加熱残渣物は、特別管理産業廃棄物(ダイオキシン類を含む燃え殻)の処分に関する許可を有している焼却施設において処理されました。

(2)神戸環境クリエート株式会社

 排ガス中のPCB及びダイオキシン類の濃度については、基準値等よりも低いことを確認しました。また、通常運転時と本試験時において顕著な変化がなかったことから、試験試料を投入したことによる排ガス中のPCB及びダイオキシン類の濃度への影響はないことを確認しました。
 施設の敷地境界における大気中のPCB濃度並びに施設周辺における大気中のPCB及びダイオキシン類濃度については、基準値等よりも低いことを確認しました。
 焼却処理後の焼却炉の燃え殻に含まれるPCB及びダイオキシン類の量については、基準値よりも低いことを確認しました。

4.その他

 今後も、協力が得られる他の施設において、実証試験を実施していく予定です。

添付資料

連絡先
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課
代表:03-3581-3351
直通:03-5501-3156
課長:廣木 雅史(内線6871)
課長補佐:松崎 裕司(内線6880)
主査:鈴木 聡(内線6895)