報道発表資料

この記事を印刷
2010年07月16日
  • 保健対策

平成20年度 大気汚染に係る環境保健サーベイランス調査結果について

環境省では、昭和63年公害健康被害補償法改正(第一種地域指定解除)に伴い、地域人口集団の健康状態と大気汚染との関係を定期的・継続的に観察し、必要に応じて所要の措置を講ずるために、大気汚染に係る環境保健サーベイランス調査を平成8年度から毎年度実施している。

【平成20年度調査結果の概要】

引き続き3歳児を対象とした調査(以下「3歳児調査」という。)及び小学1年生を対象とした調査(以下「6歳児調査」という。)を実施して、それらの調査結果についての単年度解析、並びに、平成8年度~平成20年度の3歳児調査及び平成16~20年度の6歳児調査のそれぞれを統合したデータを用いた経年解析等を行った。また、6歳児調査回答者のうち平成16~17年度に実施した3歳児調査時に回答のあった者について追跡解析を行った。
 3歳児調査の対象者は全国38地域の約9万人(回答者は約7万4千人)であり、  6歳児調査の対象者は全国39地域の約9万3千人(回答者は約7万5千人)であった。
 これらの解析の結果、呼吸器症状のうちぜん息については以下のとおりであった。
 6歳児調査においては、昨年度に大気汚染(SPM)とぜん息との有意な関連性を示す結果が初めて認められたが、今年度は認められなかった。一方、3歳児調査では過去13年間、オッズ比が1を超えてはいるものの有意な関連性は認められていなかったが、今年度はオッズ比による検討において大気汚染(SPM)とぜん息に有意な関連性(オッズ比1.09、95%信頼区間[1.01~1.18])が認められた。SPM以外の大気汚染物質とぜん息については、3歳児調査及び6歳児調査ともに、今年度も有意な関連性は認められなかった。環境調査における大気汚染(SPM)については全般的に低下傾向にあり、さらに、環境調査と健康調査の関連性における対象者別背景濃度区分ごとの呼吸器症状有症率の関係、調査対象地域ごとの対象者別背景濃度の平均値と呼吸器症状有症率の関係においても大気汚染物質濃度が高くなるほどぜん息有症率が高くなるような関連性は認められなかった。
 なお、ぜん息以外の症状については、かぜひき回数(5回以上)で大気汚染物質濃度が高くなるほど有症率が高くなる傾向がみられたが、ぜん鳴、ぜん鳴(かぜなし)ではみられなかった。

【今後の課題】

1.SPMについて
 本年度の3歳児調査及び昨年度の6歳児調査のオッズ比による検討においてぜん息と有意な関連性が認められ、また、一部の地域でぜん息有症率の上昇との関連性を示す結果がみられたため、ぜん息との関連性について地域特性も踏まえて、今後も注意深く観察する。
2.今後着目する環境因子
1)光化学オキシダント
近年、西日本地域を中心に注意報が発令され、健康影響が懸念されるとともに、諸外国において基準の改訂が行われており、今後の動向について注視する。
2)PM2.5
昨年9月に環境基準が告示され、今後、常時監視体制の整備が行われる見込みであるが、その整備状況を踏まえ、SPMとの関連性も考慮して、必要に応じて検討を進める。

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境保健企画管理課保健業務室
直通 03-5521-8256
代表 03-3581-3351
室長 森口 裕(6320)
室長補佐 佐々木 正大(6322)
主査 高田 朋子(6327)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。