平成22年4月30日
自然環境

平成21年度(第41回)ガンカモ類の生息調査暫定値について(お知らせ)

 ガンカモ類の生息調査(通称「全国ガンカモ一斉調査」)は、我が国に渡来するガンカモ類の冬期の生息状況の把握を目的として、昭和45年から各都道府県の協力を得ながら実施しているものです。平成21年度は第41回目の調査実施となり、平成22年1月10日を中心に平成20年度とほぼ同数の全国約9千地点において約4千人の協力を得て調査を行いました。
 その結果を暫定値として取りまとめたところ、全国において、ハクチョウ類約6万8千羽、ガン類約17万3千羽、カモ類約172万7千羽が観察されました。過去10年間の調査結果の推移を見ると、ガン類の個体数に増加傾向が見られ、ガンカモ類全体では大きな変化は見られませんでした。

1.調査概要

・目的:
我が国におけるガンカモ類の冬期の生息状況を把握すること
・調査期間:
平成22年1月10日(予備日:1月3日〜17日)
・調査地:
ガンカモ類の生息地になっている全国約9千地点の湖沼等
(ハクチョウ類及びガン類については、原則として全ての生息地を対象とし、カモ類の生息地については、可能な限り多くの生息地を対象としました。)
・調査方法:
全国的に定めた調査日に、各都道府県において各調査地点に調査員を配置し、双眼鏡等を使用した目視により、ガンカモ類の個体数を種ごとにカウント
・集計:
各都道府県の調査結果を環境省において全国集計

2.結果概要

 調査は平成20年度とほぼ同数の約9千地点の全国の調査地点で約4千人の協力を得て調査が行われました。調査が行われた地点のうち、約6千地点でガンカモ類が観察され、そのうちコハクチョウなどのハクチョウ類は約6百地点、マガンなどのガン類は約百地点、マガモなどのカモ類は約6千地点で観察されました。全国における観察数は、ハクチョウ類約6万8千羽、ガン類約17万3千羽、カモ類約172万7千羽でした(表1)。

(1)
ハクチョウ類について
 観察数を20年度と比較すると、ハクチョウ類全体では7%(約5千羽)減少しました。過去10年間の調査結果の推移をみると(図1)21年度の観察数はこの期間の変動範囲内にほぼ収まっています。種別にみても、20年度に比べ、オオハクチョウでは7%(約2千5百羽)、コハクチョウでは8%(約3千2百羽)減少しましたが、過去10年間の調査結果の推移をみると、特に著しい減少とはいえないようです。
 都道府県別の観察数を見ると(表2)、例年同様、北海道、東北6県及び新潟県の地域で観察数が多く、この地域で全国の87%に当たる約5万9千羽が観察されました。特に、新潟県、山形県、宮城県では、各県とも観察数は1万羽を超えており、3県のみで全体の61%に当たります。
(2)
ガン類について
 ガン類の合計は20年度に比べ22%(約3万1千羽)増加しました。過去10年間でみると、年によって変動はあるものの、全体としては増加傾向が見られます。これはガン類の中で最も多く観察されるマガンの増加傾向を反映したものです。マガンは、宮城県で全国の90%以上にあたる約14万羽が観察され、ラムサール条約登録湿地である、蕪栗沼(かぶくりぬま)、伊豆沼、内沼及び化女沼(けじょぬま)の4湖沼で、そのほとんどが観察されました。
 また、ヒシクイについても、20年度と比べ21年度は170%(約1万2千羽)と大幅に増加しています。特に秋田県で10360羽、新潟県で4190羽と、例年の数倍の個体数が観察されました。ヒシクイには、生態や分布の異なる2亜種(亜種ヒシクイとオオヒシクイ)があり、日本海側には主にオオヒシクイが分布することが知られています。
(3)
カモ類について
 カモ類の合計では、20年度に比べ1%(約1万7千羽)の減少と、観察数にほとんど変化は見られず、過去10年間の推移でも明らかな増減傾向は見られませんでした。種別に過去10年間の推移を見ると、カモ類の中で最も個体数の多いマガモについて緩やかな減少傾向がみられます(図2)。
 なお、今回の集計結果は暫定値であり、現在行っているデータ精査の結果を踏まえて6月頃を目途に確定値を取りまとめる予定です。本結果を利用される場合には、その点をご留意願います。

3.資料

 表及び図は以下のページから参照できます。
 ガンカモ類の生息調査の成果物の提供ページ
 http://www.biodic.go.jp/gankamo/seikabutu/index.html

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
電話:03-5521-8283(直通)
    03-3581-3351(代表)
課長:塚本 瑞天(内6460)
課長補佐:山崎 進(内6465)
係長:木村  元(内6465)

環境省自然環境局生物多様性センター
電話:0555-72-6033(直通)
センター長:水谷 知生
総括企画官:阪口 法明
科長:藤田 道男
担当者:吉田 祥子

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