平成22年4月19日
大気環境

平成21年度 アジア諸国における石綿対策に関するワークショップの結果について(お知らせ)

 環境省は、アジア諸国における石綿対策に関するワークショップを、平成22年3月17日〜18日にジャカルタにおいて開催しましたので、その結果の概要をお知らせします。

1.日時

 平成22年3月17日(水)〜平成22年3月18日(木)

2.場所

 ジャカルタ(インドネシア)

3.主催

 日本国環境省及びインドネシア環境省

4.参加者

アジア地域6ヵ国(日本、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、ラオス)の実務担当者及び日本の学識経験者等

5.目的

日本における石綿問題への取組に関する情報提供
アジア諸国における石綿問題の現状と今後に関する情報交換

6.内容

本ワークショップにおいては

開会の挨拶・基調講演(セッション1)
アジア諸国における石綿問題の取組(セッション2)
石綿の健康影響と代替品(セッション3)
石綿の測定手法(セッション4)
インドネシアにおける石綿分析機関の視察(セッション5)
石綿含有廃棄物の管理(セッション6)
アジア諸国における今後の石綿対策(セッション7)

を行った。その結果の概要は以下のとおりである。

(1)セッション1(開会の挨拶・基調講演)

 インドネシア環境省から、開会の挨拶と基調講演を兼ねた発表を行った。インドネシアではクリソタイルについては基準を守った上での使用を認めていることに触れる一方、2006年のバンコク宣言に則ってインドネシア政府が石綿による健康被害の防止に努めていることを強調した。石綿の使用をめぐっては議論の余地があり、このワークショップを通じて石綿管理のよりよいアプローチが見出されること、そしてアジア諸国の間での協力が促進されることを願っている旨を述べた。

(2)セッション2(アジア諸国における石綿対策の取組)

 参加各国より、自国における石綿規制の現状や今後の課題等についての発表が行われた。アルファベット順に、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、ベトナムが発表を行い、最後に日本が発表を行った。
 インドネシアでは、省庁横断的なワーキンググループを組織し、石綿の使用に関する技術指針の策定を進めている。作業環境中の石綿測定の必要性も認識している旨、説明がなされた。
 ラオスからは、化学物質管理のための法規制はあるが、石綿を対象としたものはない。また石綿測定機器もなく、利用者や作業者は石綿の危険性について十分に理解していないため、日本の専門家に石綿規制に関する法制度や戦略の策定、石綿管理に関する研修課程の提供等の支援があれば役立つ旨、説明がなされた。
 マレーシアからは、ILOの動向も踏まえて石綿禁止政策を提案中であり、2009年より業界との対話を行ってきている等の説明がなされた。
 フィリピンからは2000年施行の化学物質管理令(Chemical Control Order:CCO)により、石綿規制が導入されたが、まだ不完全な部分があり改善が必要であることと、規制対象となる製品の判別が難しい、測定・分析のキャパシティが乏しいなど、政策の実施面で課題が残されている等の説明がなされた。
 ベトナムからは、石綿に関する公衆の意識啓発活動を実施しているほか、省庁横断的な課題や社会・経済的な諸問題への取り組みを行っている等の説明がなされた。

(3)セッション3(石綿の健康影響と代替品)

 インドネシア、日本の発表者より、石綿の健康影響に関する知見が提供された。また、日本の発表者からは、あわせて代替品の健康リスクに関する現在の知見についても紹介された。

(4)セッション4(石綿の測定手法)

 日本の発表者から建材製品中の石綿濃度の測定方法と大気中の石綿濃度の測定方法について発表がなされた。また、大気中の石綿濃度の測定については測定装置を使用したデモンストレーションも実施した。

(5)セッション5(インドネシアにおける石綿分析機関の視察)

 インドネシア労働・移住省(Ministry of Manpower and Transmigration)の管轄下にある国立労働安全衛生センター(The National Occupational Safety and Health Center)を視察した。
 同センターは、分析の実施、プログラム・政策のレビュー、技術的サービスの提供、人材の開発、労働安全衛生分野での情報発信を主業務としている。その一環として、石綿の分析も行っている。また、作業場における空気中の石綿濃度の測定に関するインドネシア国家規格(SNI)について、産業界に向けて情報提供を行っている。

(6)セッション6(石綿含有廃棄物の管理)

 インドネシアの発表者からバーゼル条約に基づく廃棄物の管理について発表がなされた。一方、日本の発表者からは廃棄物処理法に基づく石綿含有廃棄物の処理について発表がなされた。

(7)セッション7(アジア諸国における今後の石綿対策)

 参加各国において今後必要と考えられる情報・知識・技術及び今後望まれる国際連携のあり方についての意見交換を行った。今後の協力のあり方としては、協力的な取組は継続すること、さらなる協力は情報・知識の共有化及び研修に焦点を置くべきとの認識が共有された。
 また、一般大衆の意識向上、省庁間協力の強化、産業界による石綿管理を促すインセンティブ機構の開発等が重要であるということで一致した。

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8295
課長 山本 光昭(6530)
補佐 手島 裕明(6537)
担当 山口 久雄(6534)