報道発表資料
環境省は、川内原子力発電所3号機増設計画に係る環境影響評価準備書について、本日付けで経済産業大臣に対し、二酸化炭素排出抑制のための本発電所の最大限の活用や、自然環境を保全するための取り組みなどを求める環境大臣意見を提出した。
1.
環境省は、川内原子力発電所3号機増設計画(事業者:九州電力株式会社(以下、「九州電力」)に係る環境影響評価準備書について、環境の保全の見地からの意見を求められたことから、平成21年9月28日付けで経済産業大臣に対し、別紙のとおり環境大臣意見を提出した。
2.
本事業は、九州電力が既設の川内原子力発電所の隣接地に埋立地を造成し、新たに159万kWの発電所を増設する計画である。温室効果ガスの削減には安全の確保を大前提として、原子力発電の着実な推進が必要であるが、一方でその新増設は周辺環境に大きな影響を及ぼすおそれがあることから、慎重に計画されるべきである。したがって、環境大臣意見では以下の措置を適切に講じる必要があるとの意見を提出した。
(1)温室効果ガス
- ○
- 効率の低下した既設火力発電所における化石燃料の抑制等発電所全体の適切な運用などにより、九州電力全体として可能な限り温室効果ガス排出抑制を図ることが重要であることにかんがみて、本事業により整備される原子力発電所の最大限の活用を図ること。
(2)自然環境
- ○
- 工事中、供用後にアカウミガメが上陸、産卵しやすい環境を保つために、緑化マウンドの設置、夜間工事の自粛等の環境保全措置を適切に行うとともに、必要に応じて流木等の漂着物の撤去、埋立に伴う海岸地形変化の監視等を行うこと。また、事業の実施に伴い異変が生じたと考えられる場合には、適切な環境保全措置を実施すること。
- ○
- 取放水量、水温の変化と水質及び海生生物の状況との関係について検討し、必要に応じて適切な環境保全措置を講じること。
- ○
- 本事業で発生する土砂は最大限、有効利用を図るとともに、適切に飛散防止措置を行うこと。また、作業終了後も土砂が周囲に飛散・流出しないよう適切な環境保全措置を講じ、適切に緑化を行うこと。
- ○
- 工事中において、重要な動植物が確認された場合には、速やかに専門家や関係自治体と協議し、対象種の生息、生育環境に対する影響が最小限となるよう、適切な環境保全措置を講じること。
3.
なお、事業者に対しては、経済産業大臣から、環境大臣意見を勘案した勧告がなされることとなる。
[参考]
- ○事業概要
-
- ・名称
- 川内原子力発電所3号機増設計画
- ・事業者
- 九州電力株式会社
- ・計画位置
- 鹿児島県薩摩川内市久見崎町及び寄田町
- ・発電方式
- 原子力(改良型加圧水型軽水炉)
- ・出力
- 159万kW(現状出力合計178万kWから337万kWへ変更)
- ・燃料
- 低濃縮ウラン
- ・運転開始時期(予定)
- 平成31年度(2019年度)
- ○環境影響評価手続(環境影響評価法及び電気事業法に基づく手続)
-
- ・方法書縦覧
- 平成17年8月31日~平成17年9月30日(住民意見42件)
- ・鹿児島県知事意見提出
- 平成18年2月 6日
- ・経済産業大臣勧告
- 平成18年2月27日
- ・準備書縦覧
- 平成21年1月15日~平成21年2月16日(住民意見269件)
- ・鹿児島県知事意見
- 平成21年7月31日
- ・環境大臣意見照会
- 平成21年7月31日
添付資料
- 川内原子力発電所3号機増設計画に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見 [PDF 134 KB]
- (参考)アセス手続の流れ [PDF 64 KB]
- 川内原子力発電所の配置計画 [PDF 457 KB]
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境影響評価課環境影響審査室
室長 山本 昌宏 (内6231)
補佐 馬場 康弘 (内6233)
TEL 03-3581-3351(代表)
03-5521-8237(直通)