令和2年7月7日
大気環境

令和元年度 夏及び冬の星空観察 デジタルカメラによる夜空の明るさ調査の結果について

 環境省では、星空観察を通じて光害(ひかりがい)や大気汚染、環境保全の重要性について関心を深めていただくことに加え、良好な大気環境や美しい星空を地域資源(観光や教育)として活用していただくことを目指し、平成30年度から星空観察を推進しています。
 この度、令和元年度の夏期及び冬期観察で実施した、デジタルカメラによる夜空の明るさ調査の結果を取りまとめましたので、お知らせいたします。

1.趣旨

 環境省では、屋外照明による光害を防止することが重要になってきていること等を踏まえ、平成30年度から星空公団との共同で夏と冬の2回、肉眼による観察とデジタルカメラによる夜空の明るさ調査を呼びかけています。

 星空観察は、環境保全の重要性について関心を深めていただく良い機会となるだけでなく、星空を地域資源として宿泊客の誘致に活用するなど、地域づくりにも貢献することが期待されています。

 このたび、令和元年度の夏期及び冬期観察で実施した、デジタルカメラによる夜空の明るさ調査の結果を取りまとめましたので、お知らせいたします。なお、この調査は星空公団と共同で実施しました。

2.デジタルカメラによる夜空の明るさ調査概要

(1)<夏期>観察期間と観察時間

 ①令和元年8月21日(水)~同年9月3日(火)

 ②令和元年9月20日(金)~同年10月3日(木)

   日没後1時間半~3時間半まで

 (データ投稿受付期間:①令和元年8月21日(水)~同年9月20日(金)

               ②令和元年9月20日(金)~同年10月17日(木))

注)令和元年度夏期観察については、①の観測期間中天候不良の日が多く②の追加期間を設けた。

(2)<冬期>観察期間と観察時間

 ①令和2年1月15日(水)~同年1月28日(火)

 日没後1時間半~3時間半まで

 (データ投稿受付期間:令和2年1月15日(水)~同年2月14日(金))

(3)調査方法

 デジタルカメラを用いて天頂付近の星空を撮影し、その画像データから「夜空の明るさ」(星空の見やすさ)を測定しました。具体的には、(1)の観察期間中に、全国各地の調査参加者により所定の条件下で撮影された天頂付近の星空の画像データを、報告サイトを通じて環境省に送付していただき、画像解析によって「等級(mag/□"):(マグニチュードパー平方秒角)」を単位とする「夜空の明るさ」を求めています。

 「夜空の明るさ」の値が大きいほど夜空が暗いことを示し、星が見えやすい状態になります。

こうしたデータを継続的に調査することで、地域における光害や大気汚染の状態に関する啓発材料として、積極的に活用することが期待されます。また、星空の地域資源としての活用にも資するため、今後継続的なデータの蓄積を進めつつ、我が国の実態に即した活用手法の検討を進めます。

 ※夜空の明るさを測る単位及び測定方法は、参考資料を御覧ください。

3.調査結果

(1)実施状況

  <夏期>

・継続観察登録地点総数(平成30年度~令和元年度夏までの累計)318地点、令和元年度夏新規登録地点数 35地点(別紙1-1参照)

・継続観察登録地点観測者内訳(111団体・個人91名)※同団体・個人において複数の地点登録も可としている。

・令和元年度夏期観察の投稿データ総数519件(継続観察登録地点におけるデータ投稿総数282件)

<冬期>

・継続観察登録地点総数(平成30年度~令和元年度冬までの累計)346地点、令和元年度冬新規登録地点数    28地点(別紙1-2参照)

・継続観察登録地点観測者内訳(116団体・個人94名)

 ※同団体・個人において複数の地点登録も可としている。

・令和元年度冬期観察の投稿データ総数392件(継続観察登録地点におけるデータ投稿総数217件)

(2)結果の概要

<夏期>

「夜空の明るさ」等級ごとの件数

等級(mag/□")

有効データ投稿数(注1)

継続観察登録地点における有効データ投稿数

21 以上

70 件

47 件

20 以上~21 未満

123 件

60 件

19 以上~20 未満

85 件

37 件

18 以上~19 未満

41 件

21 件

17 以上~18 未満

32 件

24 件

17 未満

15 件

8 件

366 件

197 件

(注1)データ投稿総数519件から、雲天、観察時間外、観察期間外、カメラ設定が極端に異なる

データは除いています。

<冬期>

「夜空の明るさ」等級ごとの件数

等級(mag/□")

有効データ投稿数(注1)

継続観察登録地点における有効データ投稿数

21 以上

56 件

35 件

20 以上~21 未満

112 件

67 件

19 以上~20 未満

64 件

27 件

18 以上~19 未満

47 件

19 件

17 以上~18 未満

29 件

16 件

17 未満

8 件

8 件

316 件

172 件

(注1)データ投稿総数392件から、雲天、観察時間外、観察期間外、カメラ設定が極端に異なる

データは除いています

※継続観察登録地点のうち、天の川が見えやすいと考えられる 20 等級以上であった地点については、別紙2-1、別紙2-2を御覧ください。

※「夜空の明るさ」の目安(個人差があります)

等級(mag/□")

21 以上

天の川の複雑な構造が確認でき、星団などの観測ができる

20 以上~21 未満

山や海などの暗さ、天の川がよく見られる

19 以上~20 未満

郊外の暗さ、天の川が見え始める

18 以上~19 未満

住宅地の明るさ、星座の形がよく分かる

17 以上~18 未満

市街地の明るさ、星座の形が分かり始める

17 未満

都市部の明るさ、星はほとんど見られない

(3)観察地点の周辺状況別に見た「夜空の明るさ」

 <夏期>(継続観察登録地点における投稿データより)

地域区分

件数

平均値(mag/□")

最大値(mag/□")

最小値(mag/□")

住宅地域

57 件

18.67

21.58

15.07

商業地域

11 件

17.96

20.57

16.27

農業地域

37 件

20.28

21.75

17.65

森林山間地

44 件

20.74

21.95

18.67

自然公園等

33 件

20.39

21.90

17.14

工業地域

1 件

19.37

19.37

19.37

その他

14 件

20.54

21.91

19.25

197件

※データ投稿総数519件から、雲天、観察時間外、観察期間外、カメラ設定が極端に異なるデータは除いています

<冬期>(継続観察登録地点における投稿データより)

地域区分

件数

平均値(mag/□")

最大値(mag/□")

最小値(mag/□")

住宅地域

50 件

18.92

21.42

14.51

商業地域

9 件

17.85

20.76

16.45

農業地域

31 件

20.30

21.72

17.69

森林山間地

31 件

20.79

21.62

17.43

自然公園等

31 件

20.16

21.60

17.29

工業地域

0 件

0.00

0.00

0.00

その他

20 件

20.28

21.85

17.52

172件

※データ投稿総数392件から、雲天、観察時間外、観察期間外、カメラ設定が極端に異なるデータは除いています

結果の詳細については、別紙3-1、別紙3-2を御覧ください。

4.その他

1)星空観察の推進について

  平成29年度の「星空観察の推進手法に関する検討会」の結果について、環境省ホームページ(http://www.env.go.jp/press/104711.html)で公表しています。

(2)星空公団による「デジカメ星空診断」

  デジタルカメラによる夜空の明るさ調査は、星空公団と共同で実施しています。

星空公団では、環境省が昭和63年から平成24年まで25年間にわたって続けてきた全国 星空継続観察が休止となった後、その代わりとなる夜空の明るさ観察を実施してきました。詳細は、星空公団ウェブサイト(https://dcdock.kodan.jp)を御確認ください。

添付資料

連絡先

環境省水・大気環境局大気環境課大気生活環境室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8298
  • 室長東 利博(内線 6540)
  • 室長補佐石関 延之(内線 6541)
  • 担当山 眞實(内線 6549)