令和2年2月14日
保健対策

平成30年度水銀汚染防止法に基づく水銀等の貯蔵・水銀含有再生資源の管理に関する報告について

 水銀に関する水俣条約(以下「水俣条約」という。)が平成29年8月16日に発効したことを受け、水銀による環境の汚染の防止に関する法律(以下「水銀汚染防止法」という。)が同日付けで施行されました。
 水銀汚染防止法では、水銀のライフサイクル全体を包括的に規制する水俣条約の的確な実施を確保するため、水銀及び水銀化合物(以下「水銀等[1]」という。)を貯蔵する者及び水銀含有再生資源を管理する者に対し、水銀等による環境の汚染を防止するために適正な措置を講じることを求めています。
 また、水銀等を一定量以上貯蔵した者及び水銀含有再生資源を管理した者は、上記に加えて、貯蔵や管理の状況等について、主務大臣に定期的に報告しなければなりません。
 今般、水銀汚染防止法施行後2回目の報告となる、平成30年度水銀等の貯蔵及び水銀含有再生資源の管理に関する報告がまとまりましたので、その結果を公表いたします。また、平成30年12月25日(火)に発表しました「平成29年度水銀汚染防止法に基づく水銀等の貯蔵・水銀含有再生資源の管理に関する報告について」の内容に一部に修正がありますので、併せてお知らせいたします。

<経済産業省同時発表>

1.背景

 水銀等は様々な排出源から環境中に排出され、分解されることなく地球上を循環し、食物連鎖により生物中にも蓄積すること等から、世界規模での水銀汚染対策を推進するため、水俣条約が2013年に我が国で開催された外交会議で採択されました。

 水俣条約は、水銀の採掘から貿易・使用・排出・放出・廃棄等に至るライフサイクル全体を包括的に規制するものであり、我が国は、同条約の的確かつ円滑な実施を確保するため、新たに制定した水銀汚染防止法を含む様々な法律に基づく措置を総合的かつ計画的に講じています。

 水銀汚染防止法は、貯蔵する水銀等による環境の汚染を防止するため、水銀等の貯蔵者に対し、「水銀等の貯蔵に係る環境の汚染を防止するためにとるべき措置に関する技術上の指針(平成27年総務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省・防衛省告示第1号)」を勘案して、水銀等が飛散・流出しないようにする等の適切な措置の実施と、貯蔵の状況に関する報告書の主務大臣への定期報告を求めています。

 また、水銀含有再生資源[2]の管理者に対しては、「水銀含有再生資源の管理に係る環境の汚染を防止するためにとるべき措置に関する技術上の指針(平成27年内閣府・総務省・法務省・外務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省・防衛省告示第1号)」を勘案し、水銀含有再生資源が飛散・流出しないようにする等の適切な措置の実施と、管理の状況に関する報告書の主務大臣への定期報告を求めています。

2.報告制度の概要

(1)水銀等の貯蔵に関する報告

 水銀等の種類ごとに一年度において事業所ごとに貯蔵した水銀等の最大量が30 kg以上である場合には、水銀汚染防止法第22条に基づき、事業所ごとに貯蔵の状況[3]に関する報告書を翌年度の6月末までに主務大臣に提出する必要があります。

(2)水銀含有再生資源の管理に関する報告

 一年度において水銀含有再生資源の保管等の管理を行った場合(管理を外部に委託した場合を含む。)には、水銀汚染防止法第24条に基づき、事業所ごとに管理の状況[4]に関する報告書を翌年度の6月末までに主務大臣に提出する必要があります。

3.平成30年度の報告に関する結果の概要(詳細は添付資料参照)

 水銀汚染防止法施行後2回目の報告となる平成30年度の結果概要は以下のとおりです。なお、当該報告の対象期間は、平成30年4月1日から平成31年3月31日までです。

(1)水銀等の貯蔵

 水銀等の貯蔵に関する報告を行った事業所は全国で90事業所、報告された水銀等の年度末貯蔵量は計40,500.8kgでした。水銀等の種類別では、水銀に関する報告が計84件、硫化水銀に関する報告が計7件でした。そのうち水銀及び硫化水銀の両方を貯蔵していると報告した事業所が1事業所ありました。その他の水銀等(塩化第一水銀、酸化第二水銀、硫酸第二水銀、硝酸第二水銀及び硝酸第二水銀水和物)に関する貯蔵の報告はありませんでした。また、水銀等を環境上適正に貯蔵するための措置の実施についても確認しました。

(2)水銀含有再生資源の管理

 水銀含有再生資源の管理に関する報告を行った事業所は全国で685事業所でした。また、報告された水銀含有再生資源は「非鉄金属製錬スラッジ」、「歯科用アマルガム[5]」、「分析用途で使用された水銀」、「製品から回収された水銀」、「酸化銀電池」等でした。

 水銀含有再生資源の種類別報告件数及び年度末時点で管理されていた水銀含有再生資源の種類別の内訳は、非鉄金属製錬スラッジが8件で計372,411.0 kg(湿重量)、歯科用アマルガムが638件で計32.5 kg(湿重量)及び計228.7 kg(乾重量)、分析用途で使用された水銀が15件で計1,707.0 kg(湿重量)及び計12.5 kg(乾重量)、製品から回収された水銀が5件で119.8 kg(湿重量)、酸化銀電池が15件で計1,309.0kg(湿重量)及び計870.0 kg(乾重量)、その他の水銀含有再生資源が6件で計361.7 kg(湿重量)でした。(なお、事業所によって複数の水銀含有再生資源を管理している場合があるため、報告を行った事業所数と水銀含有再生資源の報告件数の合計値は異なっています。)また、水銀含有再生資源を環境上適正に管理するための措置の実施についても確認しました。

4.平成29年度の報告に関する結果の修正

 平成29年度の水銀等の貯蔵及び水銀含有再生資源の管理に関する報告結果について、その報道発表以降に追加報告等の提出がありましたので、以下のとおり修正いたします。(修正箇所は赤字)

(1)水銀等の貯蔵に関する報告

 水銀等の貯蔵に関する報告を行った事業所は全国で91事業所、報告された水銀等の年度末貯蔵量は計46,322.3 kgでした。水銀等の種類別では、水銀に関する報告が計86件、硫化水銀に関する報告が計件でした。そのうち水銀及び硫化水銀の両方を貯蔵していると報告した事業所が1事業所ありました。その他の水銀等(塩化第一水銀、酸化第二水銀、硫酸第二水銀、硝酸第二水銀及び硝酸第二水銀水和物)に関する貯蔵の報告はありませんでした。また、水銀等を環境上適正に貯蔵するための措置の実施についても確認しました。

(2)水銀含有再生資源の管理に関する報告

 水銀含有再生資源の管理に関する報告を行った事業所は全国で557事業所でした。また、報告された水銀含有再生資源は「非鉄金属製錬スラッジ」、「歯科用アマルガム」、「分析用途で使用された水銀」、「製品から回収された水銀」、「酸化銀電池」等でした。

 水銀含有再生資源の種類別報告件数及び年度末時点で管理されていた水銀含有再生資源の種類別の内訳は、非鉄金属製錬スラッジが8件で計242,727 kg(湿重量)、歯科用アマルガムが509件で計64.2 kg(湿重量)及び計777.0 kg(乾重量)、分析用途で使用された水銀が18件で計2,915.9 kg(湿重量)及び計22kg(乾重量)、製品から回収された水銀が4件で計158.0kg(湿重量)、酸化銀電池が16件で計5,175kg(湿重量)及び計3,312.0kg(乾重量)、その他の水銀含有再生資源が4件で計731.2kg(湿重量)でした。(なお、事業所によって複数の水銀含有再生資源を管理している場合があるため、報告を行った事業所数と水銀含有再生資源の報告件数の合計値は異なっています。)また、水銀含有再生資源を環境上適正に管理するための措置の実施についても確認しました。

添付資料

平成30年度 水銀汚染防止法に基づく水銀等の貯蔵に関する報告の集計結果

平成30年度 水銀汚染防止法に基づく水銀含有再生資源の管理に関する報告の集計結果

※「平成30年度 水銀汚染防止法に基づく水銀含有再生資源の管理に関する報告の集計結果」の数字を一部訂正いたしました。(令和2年3月)


  • [1] 水銀、塩化第一水銀、酸化第二水銀、硫酸第二水銀、硝酸第二水銀及び硝酸第二水銀水和物、硫化水銀並びにそれらの混合物で濃度95%以上のもの、辰砂
  • [2] 水銀等又はこれらを含有する物であって、水銀濃度に関する一定の要件に該当し、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約附属書IVBに掲げる処分作業がされ、又はその処分作業が意図されているもの(廃棄物処理法第二条第一項に規定する廃棄物並びに放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)のうち有用なものをいう。
  • [3] 年度当初(施行初年度は施行日時点)の水銀等の貯蔵量、製造した量、引渡しを受けた量、使用した量、引き渡した量、廃棄物となった量、年度末の貯蔵量、貯蔵の目的等
  • [4] 年度当初(施行初年度は施行日時点)の水銀含有再生資源を管理していた量、生じた量、譲り受けた量、譲り渡した量、処分作業を行った量、廃棄物となった量、年度末に管理していた量、管理の目的等(管理の状況に応じて湿重量又は乾重量で記載)
  • [5] 歯科用アマルガムは、一部容器を含む重量が報告されている。

連絡先

環境省大臣官房環境保健部環境保健企画管理課水銀対策推進室

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8260
  • 室長須田恵理子(内線 6353)
  • 主査黒田 一樹(内線 6368)
  • 担当伊藤 悟志(内線 6356)