平成21年1月22日
大気環境

平成20年度 アジア諸国における石綿対策に関するワークショップの結果について(お知らせ)

 環境省は、アジア諸国における石綿対策に関するワークショップ(Workshop on Countermeasures against Asbestos in Asian Countries)を、平成21年1月 20日(火)〜21日(水)に、東京において開催しましたので、その結果の概要をお知らせします。

1.日時

平成21年1月20日(火)〜平成21年1月21日(水)

2.場所

三田共用会議所 (東京都港区) 他

3.主催

環境省

4.参加者

  • アジア地域5ヵ国(日本、中国、インドネシア、マレーシア、ベトナム)の実務担当者及び日本の学識経験者等

5.目的

本ワークショップは、以下の事項を主な目的として開催した。

  • 日本におけるアスベスト問題への取組に関する情報提供
  • アジア諸国におけるアスベスト問題の現状と今後に関する情報交換

6.内容

本ワークショップにおいては

  • 日本におけるアスベスト問題への取組、アスベストの測定手法、建築物の解体及び廃棄物処理等についての日本からの情報提供
  • アジア各国におけるアスベスト問題の現状についての各国からの情報提供
  • アジア地域におけるアスベスト問題に対する今後の取組についての意見交換

等を行った(別添プログラム参照)。その結果の概要は以下のとおりである。

(1)セッション1(日本におけるアスベスト問題の取組)

 日本から、アスベストの有用性及び危険性についての説明を行うとともに、大気汚染防止法を中心とした政府におけるアスベスト対策の概要、アスベストによる健康障害及び国際機関におけるその評価の概要、アスベスト代替品・除去技術を含む対策技術の概要等について総括的に説明した。

(2)セッション2(モニタリング手法等について)

 横浜市環境科学研究所において、同市におけるアスベスト対策や一般環境におけるモニタリングの概要について説明を受けるとともに、同研究所の協力を得て、建築物解体に伴うモニタリング手法の例として、大気中アスベスト濃度測定及び建材中アスベスト含有量分析についてのデモンストレーションを実施し、参加者も実際に顕微鏡操作やアスベスト繊維の計数などを体験した。

(3)セッション3(アスベストの測定手法について)

 日本から、建材製品中のアスベスト含有率の測定及び環境空気中のアスベスト濃度の測定について、分散染色法、X線回折分析法等の手法や測定に用いる各種顕微鏡等の機器について説明した。

(4)セッション4(アスベスト含有廃棄物の処理について)

 日本から、アスベスト含有廃棄物の定義、埋立や溶融・無害化処理等の処理方法及びアスベスト含有廃棄物の処理における課題等について説明した。

(5)セッション5(アジア各国におけるアスベスト問題の現状)

 参加各国より、自国におけるアスベスト問題や規制の状況等についての発表がなされた。
 中国からは、世界的に主要なアスベストの生産・使用国であるが、アスベストの規制の強化を進めているとの現状について説明がなされた。インドネシアからは、主に環境保全の観点からのアスベストの規制状況や、使用が認められているクリソタイルの使用状況についての説明がなされた。マレーシアからは、労働者の暴露状況に関する調査結果や、現在政府内で議論が行われているアスベストの使用禁止に関する様々な提案についての紹介があった。ベトナムからも同様に、アスベストの使用状況及び規制状況について説明がなされるとともに、今後の取組の強化に向けた課題・提案や国際協力への期待が述べられた。

(6)セッション6(アジア地域におけるアスベスト問題に対する今後の取組)

 参加各国及びアジア地域全体におけるアスベスト問題の状況について質疑を行うとともに、参加各国において今後必要と考えられる情報・知識・技術及び今後望まれる国際連携のあり方についての意見交換を行った。
 今後必要と考えられる情報等としては、アスベストの暴露防止技術等に加え、アスベスト代替品の開発・普及状況、日本における規制やその執行に関する取組方法、現在多くの国で使用されているクリソタイルやその代替品の毒性等に関する情報等が挙げられた。このうち代替品については、その開発が不可欠であるが、単に性能だけではなく、そのコストや安全性の観点も考慮すべき、との意見が多く出された。また、情報共有に当たってインターネットを活用することが効果的との提案がなされた。
 今後の国際連携・国際協力のあり方については、各国の状況を踏まえたものとすること、より多くの国から政府関係者だけでなく企業や労働者等も参加して議論ができるような場を設けること、分析方法等についての研修を行うこと、等の提案がなされた。
 また、今回のようなワークショップは非常に有意義であるため、継続的な開催が望まれるとの意見で一致した。

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
TEL:03-3581-3351(代表)
03-5521-8295(直通)
課長 早水 輝好(ex.6530)
補佐 西村 洋一(ex.6537)
担当 植松 宗久(ex.6534)