平成30年11月8日
自然環境

生物多様性条約第14回締約国会議、カルタヘナ議定書第9回締約国会合及び名古屋議定書第3回締約国会合(国連生物多様性会議 エジプト シャルム・エル・シェイク2018)の開催について

 生物多様性条約第14回締約国会議(COP14)、カルタヘナ議定書第9回締約国会合(COP-MOP9)及び名古屋議定書第3回締約国会合(COP-MOP3)(国連生物多様性会議 エジプト シャルム・エル・シェイク2018)が、11月17日(土)~29日(木)にシャルム・エル・シェイク(エジプト)で開催されます。
 COP14では「人間と地球のための生物多様性への投資」がテーマとなり、とりわけエネルギー・鉱業、インフラ分野、製造・加工業及び健康分野における生物多様性の主流化が焦点となります。また、生物多様性の新たな世界目標である、ポスト2020目標の検討プロセスが決定される予定です。
 また、14日(水)~15日(木)には閣僚級会合(ハイレベルセグメント)が開催され、各国閣僚出席の下で事例の共有がなされるとともに、上記テーマに関するシャルム・エル・シェイク宣言の採択が行われる予定です。

1.経緯

○ 生物多様性条約(正式名称=生物の多様性に関する条約)は、生物多様性の保全、その構成要素の持続可能な利用及び遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を実現することを目的として、1992年に採択されました。現在、194カ国、EUとパレスチナが締結しています。
 2010年10月に愛知県名古屋市で開催された第10回締約国会議(COP10)では、日本が議長国を務め、生物多様性に関する世界目標である愛知目標の採択や、遺伝資源へのアクセスと利益配分に関する名古屋議定書の合意など、歴史的な成果が得られました。
○ カルタヘナ議定書(正式名称=生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書)は、遺伝子組換え生物等による生物多様性への悪影響を防ぐための枠組であり、平成15年9月11日に発効しました。日本は同年11月に本議定書を締結し、翌年2月に日本について発効しました。
○ 名古屋議定書(正式名称=生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書)は平成26年10月12日に発効しました。日本は平成29年5月に本議定書を締結し、同年8月に日本について発効しました。

(参考)最近の締約国会議の開催状況
 COP10  2010年10月 愛知県名古屋市
 COP11  2012年10月 ハイデラバード(インド)
 COP12  2014年10月 ピョンチャン(韓国)
 COP13  2016年12月 カンクン(メキシコ)

2.会議概要

 今次会合は「人間と地球のための生物多様性への投資」が主題となっています。開催場所はシャルム・エル・シェイク国際会議センター(エジプト)です。

(1) 生物多様性条約COP14

i) 会議名称
日本語 生物多様性条約第14回締約国会議
英語   The fourteenth meeting of the Conference of the Parties to the Convention on Biological Diversity

ii) 開催日程 平成30年11月17日(土)~29日(木)

iii)主な議題

○ 生物多様性の主流化
 COP13での農林水産業、観光業における生物多様性の主流化(参考1)の議論に続き、エネルギー・鉱業、インフラ分野、製造・加工業及び健康分野における生物多様性の主流化についての検討が行われます。

○ 2020年以降の新たな生物多様性の世界目標に関する準備プロセス
 COP15(2020年・中国)において採択される予定である、2020年以降の新たな生物多様性の世界目標に関して、地域ワークショップの開催等を通じて多くの関係者が参加する準備プロセスが検討されます。

○ 生物多様性と気候変動
 生態系を活用した気候変動への適応策(EbA)や防災・減災対策(Eco-DRR)(参考2)を効果的に実施するため計画手法等を含む実務者向け任意ガイドラインの内容について検討が行われます。

○ 合成生物学
 本議題がCOPにおいて議論すべき「新規事項」の基準に該当するか否か、遺伝子ドライブ(参考3)の不確実性を踏まえた締約国の対応等について検討が行われます。

○ 空間計画、保護地域及びその他の効果的な地域をベースとする保全手段
 愛知目標11において保護地域システムと並んで保全の手段として掲げられている「その他の効果的な地域をベースとする保全手段」の定義や特定方法等について検討が行われます。

(参考1)生物多様性の主流化
 生物多様性の保全と持続可能な利用の重要性が、国、地方自治体、事業者、NPO・NGO、国民などのさまざまな主体に広く認識され、それぞれの行動に反映されること。具体的には、それらの重要性について、セクター内及びセクター間の計画、事業、方針などへ組み込むこと、生物多様性の価値を国家勘定や報告制度に組み込むこと、国の意思決定に反映すること、ビジネスを含む関係者が持続可能な生産及び消費のための行動を行うことなどが盛り込まれています。

(参考2)EbA及びEco-DRR
・生態系を活用した気候変動への適応策(Ecosystem-based Adaptation:EbA)
将来予想される気候変動の影響への適応策を実施する際に、生態系サービスを活用する考え方(緑地のまとまった配置による都市のヒートアイランド対策など)。
・生態系を活用した防災・減災(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction: Eco-DRR)
健全な生態系が有する森林の土砂崩れ防止機能、サンゴ礁の高潮被害軽減機能などの防災・減災機能を積極的に活用して、災害リスクを低減させる考え方。

(参考3)遺伝子ドライブ
 遺伝子ドライブとは、生物集団内に目的の変異を急速に拡散することが可能な技術です。例えば、マラリア原虫を媒介する蚊や特定外来生物等の繁殖制御技術として期待されている一方、特定の生物を根絶することによる環境影響や、他の生物種への拡散などが懸念されています。

(2)カルタヘナ議定書COP-MOP9

i) 会議名称
  日本語 生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書第9回締約国会合
  英語  The ninth meeting of the Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties to the Cartagena Protocol on Biosafety


ii) 開催日程:平成30年11月17日(土)~29日(木)


iii) 主な議題
○ 戦略計画2011-2020及びカルタヘナ議定書戦略計画のフォローアップ準備
○ リスク評価・リスク管理(議定書第15条及び16条)
○ 意図的でない国境を越える移動・緊急措置(同第17条)

(3)名古屋議定書COP-MOP3


i) 会議名称
  日本語 生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書第3回締約国会合
  英語  The third meeting of the Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties to the Nagoya Protocol on Access and Benefit-sharing


ii) 開催日程:平成30年11月17日(土)~29日(木)


iii) 主な議題
○ 名古屋議定書の有効性評価(議定書第31条)
○ ABS(遺伝資源へのアクセスと利益配分)情報交換センターの活用(同第14条)
○ 専門家会合の結果を踏まえた遺伝資源の利用から生ずる利益の多国間利益配分メカニズム(同第10条)の必要性及びあり方

(4)閣僚級会合(ハイレベルセグメント)


i) 開催日時 平成30年11月14日(水)~11月15日(木)
ii) 主要議題
 「エネルギー・鉱業、インフラ分野、製造・加工業及び健康分野における生物多様性の主流化」をテーマに、環境分野のみならず生物多様性に関連する分野の主務閣僚等が集まり、対話と成功事例の共有を行い、「シャルム・エル・シェイク宣言」の採択をする予定です。同宣言には、関連セクターの主流化に関する内容に加えて、現行の「愛知目標」を含む「生物多様性戦略計画2011-2020」を確実に実施していくための努力を倍加していくことや、2020年以降の新たな生物多様性の世界目標の準備プロセスのCOP14での採択を歓迎すること等が記載される予定です。

(5)ビジネスフォーラム


i) 会議名称
  日本語 ビジネスと生物多様性フォーラム2018
  英語  2018 Business and Biodiversity Forum


ii) 開催日時 平成30年11月14日(水)~11月15日(木)


iii) 主要議題
 「人と地球のための生物多様性への投資 生物多様性の保全のために学んだ教訓を共有し、民間部門の行動を推進する」のテーマの下、幅広い経済分野のビジネスリーダーが、ビジネスモデルや事業における生態系や生物多様性の考慮事項、先進的な技術の採用にあたっての経験等について議論を行います。

3.サイドイベント、その他会合などについて

(1)サイドイベント


○ 「国連生物多様性の10年の日」(UNDB-DAY)
  「国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)」(委員長:中西経団連会長)と生物多様性条約事務局は、COP14のサイドイベントの一つであるCEPAフェアにおいて、COP14期間中の1日を「国連生物多様性の10年の日」として、UNDBの推進による愛知目標達成のための行動を国際的に呼びかけるイベントを実施します。
 日時:平成30年11月19日(月)10:00~18:00
 会場:Building 1, CEPAフェア会場
 主催:UNDB-J、生物多様性条約事務局
 概要:日本の提案により国連総会で決議された国連生物多様性の10年(UNDB)の推進のためのイベントです。COP14の議論及び愛知目標達成に向けた行動の加速化に貢献するために、生物多様性の主流化に関する事例とそこで活用されたアプローチなど優良事例を共有、議論します。併せてCOP15を見据え2020年以降の新たな生物多様性の世界目標に関する情報・意見交換を行います。
 プログラム(予定):
  ・愛知目標の達成に向けた主流化促進施策・優良事例の紹介
  ・2020年に向けて各セクターが強化する取組について発表
  ・2020年以降の目標や課題に関する各国・各セクターによるパネルディスカッション 

○ 生物多様性と人々の暮らしのための社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ:ポスト2020世界生物多様性枠組における役割
 日時:平成30年11月17日(土)13:15~
 会場:Building 2、M7-Youth Room
 主催:コンサベーション・インターナショナル(CI)、生物多様性条約事務局(SCBD)、国連開発計画(UNDP)、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)、環境省、公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)
 概要: SATOYAMAイニシアティブの下で実施されている活動がどのように愛知目標や持続可能な開発目標(SDGs)に貢献しているかを考察するとともに、2020年以降の新たな生物多様性の世界目標において、日本の里地・里山のような、社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープが持つ可能性を議論します。

○ 生物多様性の保全と人々の暮らしのための効果的なランドスケープ・アプローチに関するまとめと普及
 日時:平成30年11月19日(月)18:15~
 会場:Building 2、M3-IGOs Room
 主催:国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)、国連開発計画(UNDP)、コンサベーション・インターナショナル(CI)、公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)、環境省
 概要:SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)の下で資金メカニズムを運営したことにより得られた優良事例・教訓をまとめるとともに、2020年以降もこれらの取組を普及し、改良し、広める意味について議論します。

(2)展示ブース


 COP14期間中、以下の展示を行う予定です。
 ・環境省及び農林水産省が共同で、日本の生物多様性の主流化に関する取り組みを紹介。
 ・国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)が、SATOYAMAイニシアティブに関する取組を紹介。

【本会合の公式ウェブサイト】
・生物多様性条約事務局運営サイト: https://www.cbd.int/conferences/2018
 ・主催国エジプト運営サイト:https://www.cop14-egypt.com/

【対象者別ページ】
 ・メディア向け:https://www.cbd.int/conferences/2018/information/media

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性戦略推進室
直通 03-5521-8275
代表 03-3581-3351
室長   中澤圭一  (内6480)
室長補佐 尼子直輝   (内6481)
係長   蔵本洋介  (内6489)
係長   稲子谷昂子 (内6482)

環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性主流化室
室長   中澤圭一  (内6480)
室長補佐 西田将人 (内6666)
室長補佐 中原一成 (内6662)
係長   松本真歩 (内6665)

環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室
室長   北橋義明  (内6680)
室長補佐 八元綾   (内6681)
係長   岡本敬子  (内6683)