報道発表資料

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2018年06月26日
  • 自然環境

生物多様性条約第22回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA22)および第2回条約実施補助機関会合(SBI2)の開催について

 生物多様性条約第14回締約国会議(COP14)に向けて、条約の実施状況について科学技術的な見地から検討を行う第22回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA22)および条約の構造とプロセスを効率化するための検討を行う第2回条約実施補助機関会合(SBI2)が、それぞれ7月2日(月)~7月7日(土)と7月9日(月)~7月13日(金)に、モントリオール(カナダ)で開催されます。
 SBSTTA22では保護地域およびその他の効果的な地域をベースとする保全手段や、生物多様性と気候変動などについて議論され、SBI2ではエネルギー分野、鉱業、インフラストラクチャー分野、製造業、加工業および健康分野における生物多様性の主流化や、2020年以降の新たな生物多様性の世界目標に関する準備プロセスなどについて議論される予定です。
 議論の結果は、本年11月にシャルム・エル・シェイク(エジプト)にて開催予定のCOP14での決定案などに反映される予定です。

1.第22回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA22)(注1)の概要


(1)会議名称
 日本語...第22回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA(サブスタ)22)
 英 語...Twenty-second meeting of the Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice

(2)開催期間
 平成30年7月2日(月)~7月7日(土)
(3)場所
 モントリオール(カナダ)
(4)主な議題
 ○保護地域およびその他の効果的な地域をベースとする保全手段(OECM)(注2)
 ○生物多様性と気候変動:気候変動適応および防災・減災への生態系の活用(注3)
 ○生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)(注4)の第2次作業計画
 ほか
(5)議論の内容
 ○保護地域などと周辺地域との連結および保護地域管理の効果的な運営方法に関するガイダンスや、OECMの定義や原則など
 ○生態系を活用した気候変動への適応策(EbA)や防災・減災対策(Eco-DRR)を実施するための実務者向け任意ガイドラインの内容
 ○2019年の第7回IPBES総会において決定される2030年までのIPBESの作業計画(第2次作業計画)に関し、生物多様性条約が要請する内容などについての取りまとめ
 ほか

【本会合の公式ウェブサイト】 https://www.cbd.int/doc/?meeting=SBSTTA-22

(注1)科学技術助言補助機関(SBSTTA: Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice: SBSTTA)
 ・生物多様性条約第25条に基づいて設立された。
 ・条約の実施状況について科学技術的な見地から締約国会議(COP)および他の補助機関に対して助言を行うことを任務とする。

(注2)その他の効果的な地域をベースとする保全手段(Other effective area-based conservation measures: OECM)
 愛知目標11において、保護地域と並んで挙げられている保全手段。今次会合で議論される予定の定義案では「生物多様性の生息域内保全に対し継続的に正の成果をもたらすような方法で運営・管理される、保護地域以外の地理的に定義された地域」とされている。

(注3)EbAおよびEco-DRR
 ・生態系を活用した気候変動への適応策(Ecosystem-based Adaptation:EbA)
   将来予想される気候変動の影響への適応策を実施する際に、生態系サービスを活用する考え方(街路樹のまとまった配置による都市のヒートアイランド対策など)。
 ・生態系を活用した防災・減災(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction:Eco-DRR)
   健全な生態系が有する森林の土砂崩れ防止機能、サンゴ礁の高潮被害軽減機能などの防災・減災機能を積極的に活用して、災害リスクを低減させる考え方。

(注4)生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム
(Intergovernmental science-policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services:IPBES)
 生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価し、科学と政策のつながりを強化する政府間のプラットフォームとして、2012年4月に設立された政府間組織。科学的評価、能力開発、知見生成、政策立案支援の4つの機能を柱とし、気候変動分野で同様の活動を進めるIPCCの例から、生物多様性版のIPCCと呼ばれることもある。

2.第2回条約実施補助機関会合(SBI2)(注5)の概要


(1)会議名称
 日本語...第2回条約実施補助機関会合(SBI2)
 英 語...Second meeting of the Subsidiary Body on Implementation
(2)開催期間
 平成30年7月9日(月)~7月13日(金)
(3)場所
 モントリオール(カナダ)
(4)主な対象分野
 ○生物多様性条約戦略計画2011-2020実施の進捗点検
 ○とりわけエネルギー分野、鉱業、インフラストラクチャー分野、製造業、加工業および健康分野における生物多様性の主流化(注6)
 ○2020年以降の新たな生物多様性の世界目標に関する準備プロセス
 ほか
(5)議論の内容
 ○各締約国の生物多様性国家戦略および国別報告書をもとにした生物多様性条約戦略計画2011-2020の実施状況の分析結果と今後の対応について
 ○エネルギー分野、鉱業、インフラストラクチャー分野、製造業、加工業および健康分野における主流化に向けた取組み、主流化全般に関する長期的な戦略的アプローチの策定などについて
 ○COP15(2020年・中国)において採択が予定されている、2020年以降の新たな生物多様性の世界目標に関する準備プロセス
ほか
  
【本会合の公式ウェブサイト】 https://www.cbd.int/doc/?meeting=SBI-02

(注5)条約実施補助機関(SBI: Subsidiary Body on Implementation)
 ・CBD-COP決定Ⅻ/26により、条約の構造とプロセスを効率化するために設立された。
 ・生物多様性条約第23条第4項に従い、条約の実施を常に評価する上で締約国を支援することを目的として、生物多様性条約、並びにカルタヘナ議定書および名古屋議定書の実施状況について科学技術的な見地以外の観点からCOPおよび補助機関に対して助言を行うことを任務とする。

(注6)生物多様性の主流化
 生物多様性の保全と持続可能な利用の重要性が、国、地方自治体、事業者、NPO・NGO、国民などのさまざまな主体に広く認識され、それぞれの行動に反映されること。具体的には、それらの重要性について、セクター内およびセクター間の計画、事業、方針などへ組み込むこと、生物多様性の価値を国家勘定や報告制度に組み込むこと、国の意思決定に反映すること、ビジネスを含む関係者が持続可能な生産および消費のための行動を行うことなどが盛り込まれている。

3.環境省関連のサイドイベント


<ランドスケープ・アプローチは、人々の暮らし、科学および自然保護を繋ぐことができるか?SATOYAMAイニシアティブと科学・政策インターフェース>
 国連⼤学サステイナビリティ⾼等研究所(UNU-IAS)、日本環境省およびガーナ国家生物多様性委員会の共催で、7月5日(木)夜に開催予定。
 SATOYAMAイニシアティブが構想しているランドスケープ・アプローチに焦点を当て、今後のCBDのプロセスにおいて重要とされる科学と政策の橋渡しと、SATOYAMAイニシアティブと「生物多様性および生態系サービスに関する政府間プラットフォーム(IPBES)」の作業の関係について取り上げる予定。

<生産ランドスケープ・シースケープにおける生物多様性の主流化:統合的アプローチによるNBSAPsの策定と実施>
 UNU-IAS、生物多様性条約事務局、日本環境省およびエストニア環境省の共催で、7月12日(木)夜に開催予定。
 UNU-IASと東京大学サステイナビリティ学連携研究機関が、CBD事務局の協力のもとで実施しているプロジェクト「自然共生社会の実現に向けた生物多様性国家戦略および行動計画(NBSAPs)の策定と実施に係る研究」により、人間の生産活動を維持するランドスケープ・シースケープの統合的アプローチという観点が、各国のNBSAPsにどの程度含まれているかを特定する目的で、各国のNBSAPsを評価し、分析した結果を報告する予定。

<ランドスケープ管理アプローチへのファイナンス:生物多様性と持続可能な開発の複製と拡大>
 国連開発計画(UNDP)、コンサベーション・インターナショナルおよびUNU-IASの共催で、7月10日(火)夜に開催予定。
 持続可能なファイナンスを通じた、地域コミュニティのランドスケープ計画と管理アプローチの成功事例から得られた知見を共有する目的で、SATOYAMAイニシアティブ推進プログラム(COMDEKS)、GEF-SATOYAMAプロジェクト、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)の協力活動等の事例を発表する予定。

<戦略計画2011-2020・愛知目標およびポスト2020年目標に向けたサブナショナル政府の貢献>
 愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合、nrg4SD、ICLEI、生物多様性条約事務局の共催で、7月6日(金)に開催予定。
 連合のメンバーである、愛知県、メキシコ州政府連合、カンペチェ州(メキシコ)、カタルーニャ州(スペイン)、江原道(韓国)、オンタリオ州(カナダ)、ケベック州(カナダ)、サンパウロ州(ブラジル)の生物多様性に関する取組について、愛知目標の個別の項目にフォーカスし、発表する予定。これを踏まえ、愛知目標の評価に向けて、サブナショナル政府の貢献を強く印象づけるとともに、COP14 に向けた準備や決意を示す予定。

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性戦略推進室
代表   03-3581-3351
直通   03-5521-8275
室長   中澤圭一 (内 6480)
室長補佐 尼子直輝 (内 6481)
係長   蔵本洋介 (内 6489)
係長   加藤優里 (内 6482)