平成29年10月30日
大気環境

平成28年度アスベスト大気濃度調査結果について

 環境省では、アスベストによる大気汚染の状況を把握し、今後のアスベスト飛散防止対策を検討するための基礎資料とするとともに、国民に対して情報提供するため、平成17年度より毎年度、大気中のアスベスト濃度を調査しています。このたび、平成28年度の調査結果を取りまとめました。
 平成28年度は全国36地点、82カ所で測定しました。一部の解体工事の作業現場でアスベストが確認されましたが、その他の地点においては、アスベスト以外の繊維を含む総繊維数濃度について、これまで調査した一般大気環境とほぼ変わりませんでした。
 平成29年度も引き続き大気中のアスベスト濃度を測定する予定です。

1.調査目的

 本調査は、平成17年12月27日付け「アスベスト問題に係る総合対策」(「アスベスト問題に関する関係閣僚による会合」決定)に基づき、アスベストによる大気汚染の状況を把握し、今後のアスベスト飛散防止対策の検討に当たっての基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供するために実施しているものです。

2.調査方法

(1)調査地点

 旧石綿製品製造事業場等、廃棄物処分場等および建築物の解体等工事の作業現場を始め全国36地点82カ所で、大気中のアスベストおよびその他の繊維を含む総繊維数濃度を測定しました。

(2)調査方法および測定精度の管理等

 試料の採取および分析は「アスベストモニタリングマニュアル(第4.0版)」(平成22年6月 環境省水・大気環境局大気環境課)に基づいて行いました。これは、位相差顕微鏡を用いてアスベスト以外の繊維を含む総繊維数濃度を求め、総繊維数濃度が1本/Lを超過した場合は、電子顕微鏡で物質を同定し、アスベスト繊維数濃度を求める方法です。

 精度管理のため、測定者に対する講習会等を実施しました。

 調査の方法、調査結果の評価等については、「アスベスト大気濃度調査検討会」(座長:神山宣彦/前東洋大学経済学部教授)にて専門家の助言を得ました。

3.調査結果

(1)地域分類別の総繊維数濃度

 調査結果の概要は、表1のとおりです。

 なお、各調査地点の地域名、調査期間、アスベスト以外の繊維を含む総繊維数濃度等は、別添1に記載したとおりです。

ア 発生源周辺地域

 調査を実施した15地点のうち、総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点はありませんでした(解体現場(建物周辺)以外の地域については3日間の幾何平均値で評価)。

イ バックグラウンド地域

 調査を実施した21地点のうち、総繊維数濃度が1本/Lを超えた地点はありませんでした。

表1 地域分類別の総繊維数濃度結果

注1)解体等現場:建築物又は工作物の解体、改造又は補修作業現場

建物周辺 :解体等現場の直近で一般の人の通行等がある場所との境界

注2)解体現場(建物周辺)以外の地域については3日間の幾何平均値で評価

[参考]解体現場のセキュリティゾーン出入口及び集じん機排気口

 解体現場では、建物周辺における測定のほかに、参考として2地点においてセキュリティゾーン出入口及び集じん機排気口においても測定を実施したところ、総繊維数濃度が1本/Lを超過しました(参考表(1))。

 さらに、分析走査電子顕微鏡法で確認したところ、鳥取県の解体現場(セキュリティーゾーン出入口)ではアスベスト繊維が確認されましたが、アスベスト繊維数濃度では1本/L以下、大阪府の解体現場(集じん機排気口)では、アスベスト繊維は観察されませんでした(参考表(2))。

参考表(1) 集じん機排気口等における総繊維数濃度結果

注1)セキュリティゾーン出入口:作業員が出入りする際にアスベストが直接外部に飛散しないように設けられた室の出入口の内側又は外側

集じん機排気口:集じん・排気装置の外部への排気口内部又は排気口付近

注2)(参考)は表1の解体現場と同一の地点における調査結果(地点数は内数)

参考表(2) 集じん機排気口等において総繊維数濃度が1本/Lを超えた試料のアスベスト成分の割合及びアスベスト繊維数濃度

(2)継続調査地域における調査結果の推移

 平成17年度~平成28年度まで継続して調査を実施している29地点60箇所について、平成28年度の調査結果を表2のとおり調査地域分類別に集計・整理しました。平成17年度~平成28年度の調査結果を比較したグラフは図1、また調査地点ごとのグラフは別添2のとおりであり、総繊維数濃度は、低いレベルで推移しています。

表2 継続調査地域における平成28年度調査結果(総繊維数濃度)

(a) 発生源周辺地域

(b) バックグラウンド地域

図1 継続調査地域における総繊維数濃度の推移(平成17年度~平成28年度)

4.今後の対応

 環境省では、引き続きアスベストによる大気汚染の状況を把握するため、平成29年度も大気中のアスベスト濃度調査を行う予定です。  

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
直通   03-5521-8293
代表   03-3581-3351
課長   髙澤(6530)
課長補佐 廣田(6533)
担当   五十嵐(6536)

関連情報

過去の報道発表資料

平成28年9月15日
平成27年度アスベスト大気濃度調査結果について