報道発表資料

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2017年06月30日
  • 総合政策

(仮称)秋田県由利本荘市沖洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、30日、秋田県で計画されている「(仮称)秋田県由利本荘市沖洋上風力発電事業計画段階環境配慮書」(株式会社レノバ)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、秋田県由利本荘市沖合において、最大で総出力1GWの大規模な洋上風力発電所を着床式で設置するものである。
 環境大臣意見では、1)累積的な影響について、調査、予測及び評価を行い、重大な影響が懸念された場合は、適切な環境保全措置を講じること、2)騒音及び風車の影について、住居等から風力発電設備を離隔すること、3)最新の知見及び先行事例の知見を反映し、調査、予測等を実施すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書※について、経済産業大臣からの照会に対して意見を述べることができるとされている。
 今後、経済産業大臣から事業者である株式会社レノバに対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要

 ・事業者   株式会社レノバ

 ・計画位置  秋田県由利本荘市沖合(事業実施想定区域面積 約85km2

 ・出力    最大1GW(最大8,000kW × 最大140基)

3.環境大臣意見の概要

〔1〕総論

(1)対象事業実施区域の設定

 対象事業実施区域の設定及び風力発電設備等の配置等の決定に当たっては、計画段階配慮事項に係る環境影響の重大性の程度を整理し、反映させること。

(2)関係機関等との連携及び住民への説明

 関係する地方公共団体の意見を十分勘案し、方法書以降の環境影響評価手続を進めること。また、住民等の関係者に対し丁寧かつ十分な説明を行うこと。

(3)累積的な影響

 事業実施想定区域においては、本事業が段階的に行われる可能性があり、また、事業実施想定区域の周辺においては、他事業者による風力発電所が稼働中又は環境影響評価手続終了若しくは手続中であることから、これらの風力発電設備等による累積的な影響が懸念される。よって、本事業との累積的な影響について、調査、予測及び評価を行うとともに、本事業が段階的に行われる場合には、各段階間の累積的な影響についても、併せて調査、予測及び評価を行うこと。また、重大な影響が懸念された場合は、適切な環境保全措置を講ずること。

(4)環境保全措置の検討

 環境保全措置の検討に当たっては、環境影響の回避・低減を優先的に検討し、代償措置を優先的に検討することがないようにすること。

(5)最新の知見の反映

 洋上風力発電事業の環境影響については十分に解明されていない点もあることから、調査、予測等の実施に当たっては、最新の知見及び先行事例の知見を反映すること。

(6)事業計画の見直し

 〔1〕(3)並びに〔2〕(1)及び(2)により、騒音等及び風車の影による生活環境への影響を回避又は十分に低減できない場合は、風力発電設備等の配置等の再検討、対象事業実施区域の見直し及び基数の削減を含む事業計画の見直しを行うこと。

〔2〕各論

(1)騒音等に係る環境影響

 事業実施想定区域の周辺には多数の住居等が存在しており、供用時における騒音による生活環境への重大な影響が懸念されることから、風力発電設備を住居等から離隔すること等により、騒音等による生活環境への影響を回避又は極力低減すること。

(2)風車の影に係る環境影響

 事業実施想定区域の周辺には多数の住居等が存在しており、供用時における風車の影による生活環境への重大な影響が懸念されることから、風力発電設備を住居等から離隔すること等により、風車の影による生活環境への影響を回避又は極力低減すること。

(3)鳥類に対する影響

 事業実施想定区域及びその周辺では、ハチクマ等の渡りが確認されており、また、本事業は南北約30kmに及ぶ区域に最大約140基の風力発電設備を設置する計画であることから、風力発電設備への衝突事故及び移動経路の阻害による鳥類への影響が懸念される。よって、専門家等からの助言を踏まえつつ、調査を実施し、その結果を踏まえ、風力発電設備等の配置等を検討すること。

(4)景観に対する影響

 事業実施想定区域の周辺には、本荘マリーナ等が存在しており、本事業の実施により、これら眺望点からの眺望景観への影響が懸念されることから、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、眺望景観に係る客観的な予測及び評価を行い、その結果を踏まえ、眺望景観への影響を回避又は極力低減すること。

(5)人と自然との触れ合いの活動の場に対する影響

 事業実施想定区域の周辺には、本荘マリーナ等が存在しており、人と自然との触れ合いの活動の場への影響が懸念されることから、風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、調査、予測及び評価を行い、その結果を踏まえ、影響を回避又は極力低減すること。また、事業計画の具体化等に当たっては、関係自治体等の意見を踏まえること。


(参考)環境影響評価に係る手続

・平成29年5月16日   経済産業大臣から環境大臣に意見照会

・平成29年6月30日   環境大臣から経済産業大臣に意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局
環境影響審査室
代表   03-3581-3351
直通   03-5521-8237
室長   大井通博(内6231)
室長補佐 伊藤史雄(内6233)
審査官  吉澤泰輔(内6248)
担当   松浦 航(内6209)

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